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トピックス(小説・作品)

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素敵なクリエイターさんたちのノート(小説・作品)をまとめています。
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2022年8月の記事一覧

華曼荼羅。

内なる何か 探って見つめた暗闇で 見つけたのは何色 内なる何か 探って伸ばした指の先 触れたのは何色 内なる何か 芯部の種を優しく包む その花びらは何色 咲いていく 咲いていく どんな世界で生きても 咲かせていく 咲かせていく 私だけの花 個性的で麗しい 一つひとつの輝きを くるっと集めて 華曼荼羅 寄り添って与え合う 私たちの花 そうこれは これから生きたい 世界の姿 魅せて 愛おしい 花よ 花よ その心に 咲いていけ 言葉の

とある小学校の先生の苦悩。

8月の終わりからとある仕事のことで、うわごとのように呟き続け、ずっと頭の片隅から離れないことがある。 2学期が始まること? コロナ対策を踏まえた行事の提案? 複雑になってきた、児童生徒への対応? はたまた多くの先生が見にくる研究授業? まあ、それもよぎりはするけれど、 これに比べれば些細なものだ。 ーそう、ダンスである。 体育科における表現運動、 ずばりは運動会で踊るあのダンスである。 わたしは本当に自分でも呆れるくらい、リズム感がない。 小中学生では、低めの身長

【9/5発売!】「ぼくは福祉で生きることにした」、ブックライティングしました

春から夏にかけては、せっせと本づくりに勤しんでいました。 その一つが、来週9月5日、いよいよ発売になります。 「本を作ろう!」ということになった時点では、まさか商業出版までできるとは考えていませんでした。 だけど、伝わるものってやっぱり、コンテンツが強い。私自身、こんだけおもしろい(といっては語弊がありますが)ものを著者の心のうちにとどめておくのは、もったいないと思いました。 「伝わる」とはやっぱり、コンテンツそのものが人を動かしていくことなんですね。 ++++++

台風一過 [短編小説]

 嵐が近づいていた。朝方は綺麗に澄み渡っていた空が、今は真っ黒な分厚い雲で覆われている。保田麻里はデザイン事務所の窓から空を見上げてため息をついた。  関西地方はすでに暴風雨なのだろう。ここでもビルの隣の大きな銀杏の木が風に揺れている。今朝、出勤前に見てきた天気予報では、夜中に紀伊半島に上陸すると予想されていた。まだ8月の半ばだというのに、まさか台風で帰宅できない事態になるとは、麻里は夢にも思っていなかった。  この数年の間に、台風は大型化していて被害も年々大きくなっている。

ただ好きなことだけを書いているだけなのに感謝される世界が、noteにはある。

noteってつくづく、おもしろい世界だな、と思います。 自分の好きなことをただ好きなように書いた記事が、思いのほかたくさんの人に読んでもらえて、スキと言ってもらえるなんて。 この記事です。 美術展で絵画に描かれてる「衣装」について、けっこう偏ったことを、えんえんと7000字以上も好き勝手に書いているだけなのに、あろうことかnoteでもTwitterでも「記事をシェアしてくださってありがとうございます」って感謝のコメントまで来るだなんて、なんというか、変わってるというか、

有料
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「蜜月トロイカ」

鞭もつ手で涙を 馭者はおしかくし これでは世も末だと 悲しくつぶやく *  どうして、来てしまったんだろう。  好きでもない男とのデートは、決まって苦痛なもので、まして、憎い相手ならいっそう、疎ましいというのに。  この先に起こる、茶番の数々を予見して、漏出した緩い溜息は解けて、夏の一部になった。  俗説的に溜息を吐くと、幸せが逃げてしまうらしい。けれど私のヘモグロビン、或いはタールで塗れた肺の中に、そんな摩訶不思議が宿っているなら、もっと妙々に暮らしている筈だ。    

おやすみ日記 8月後半

noteでは何かひとつのテーマに絞ってつらつらと綴ることが多くて、ずっといろんな方の日記に憧れていた。誰かのたわいもない、けれど愛おしい日々がすきだ。わたしの休日もそうあってほしい。そう思って、いつまで続くかは分かりませんが、気が向くままに覚えているかぎり、綴ろうと思います。好きなところだけつまみ食いしていただけたら幸い。 8月前半の日記はこちらから。 8月18日 シフト調整の余波により、なぜか爆誕してしまった3連休。そしてなぜかこのタイミングで夫もまた4連休とのこと。ご時

“ときめき”を掬って生きた、8月

8月を迎えた時、ふと立ち止まった。 最近、自分が生きている実感があまりなくて困っていた時期があった。 いや、正確には今この瞬間もそうで、 毎日を一生懸命頑張れば頑張るほど、心の色や、新しいものへの関心、心の振れ幅が少なくなって、心が貧しくなっていく実感があった。 生きているのに、生きてない。 毎日は充実してるのに、自分の心だけがどんどん置いてきぼりになって、カレンダーだけが進んでいく。 「生きてる実感がほしい」 生きてるって感じるのはどんな時だろう。 と、思っ

「怠惰は罪」という呪いを解いて生きる

大学生の時、ドイツ語の授業の教材がカフカの短編小説だった。『変身』のように翻訳されている有名なものではなかったので、今となってはタイトルすら思い出せない。ただ、その小説の中にあった一文が今も私の人生に大きくかかわっている。 「この世の中の罪の中で最も大きな罪の一つが怠惰である」 怠惰は罪。 このフレーズに出会った時、私の中で何かストンと落ちるものがあった。 決して落ちてはいけなかったのに。 家族がとんでもなく健康で、活動的な人たちだった。 生まれた時から26歳で家を出るま

箱根の休日 2 〜【岡田美術館】日本画の殿堂で秋のお花見を〜

2013年秋、 温泉地として有名な 小涌谷にオープンしたのが 「岡田美術館」です。 殿堂と呼ぶにふさわしい 450点が展示された美術館。 現在開催中なのが 『花鳥風月 名画で見る日本の四季 琳派・浮世絵から御舟・一村まで』 2022年3月6日(日)~2022年12月18日(日) でした。 これが麗しくて! 5階建ての3階に その企画展が。 円山応挙の 初秋のモチーフ、綿の弾けた実と 愛らしい子犬の描かれた 《子犬に綿図》 酒井抱一 《月に秋草図屏風》や 鈴木其

8月31日

みなさん、こんばんは。禧螺です。 今日もnoteをご覧いただき、ありがとうございます。 本日は題名の通り、8月31日です。 この日になるたびに願って止まない。 どうか、1人でも多く、幸せでいるように。 ☕ 8月の終わり。 私にとって、夏を見送る日。 「今年も楽しかったよ、また来年も会いに来てね」と、名残惜しい気持ちになる。 それで悲しいなんて思ったことはなかった。 夏はまた会いに来てくれる。 季節が巡って、帰って来る。 じゃあ、人間はどうなのだろう。

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クマとハム(番外編3)3周年

流れ溶ける日々

中期とは、安定期と聞いていたので穏やかな日々を送るのかと思っていたが初期よりもメンタルが若干荒れやすかった。甘いものを食べるようになったので血糖値がどうのこうの、というのもあるのかもしれない。台風が直撃した日に同居人にブチ切れたりしていた。まあこれは理由があることで、会社帰りに台風に直撃され、好意とリクエストで夕飯にお弁当を買って帰ろうとしたが軒並み売り切れていた私と、そこまで悪天候ではない自宅で休日に友人と酒を飲んで寝てた同居人という既に不穏な設定のエピソードがあるのだが割

あなたさえいれば

たばこを、辞めなければよかった。と思う。 医者に辞めろと言われたので、すっぱりと辞めた。 ニコチンを失って苦しんだのは1週間程度 口寂しさで苦しんだのは、そこから更に数週間。 買っておいたガムもぜんぜん減らなかった。 体重も増えなかったし、寝起きもよくならなかった。 わたしのからだは、思ったよりも薄情だった。 辞めなければよかった、という表現は正しくないかもしれない。 息を切らせながら吸うたばこに、限界を感じていたのも事実だ。 辞めないですむからだでいたかった。 この表現