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西洋美術雑感 29:クロード・ロラン「日没の港」
長い西洋古典絵画の歴史において、ただ自然だけを描いた絵というのはだいぶ後になって現れた。それはたとえば、フランスのミレーやコローといったバルビゾン派の画家たちが描いた、情緒に溢れる広大な土地の風景画あたりまで待たないといけない。それまでの絵画では、そこには必ず、神話の主題があり、宗教的な主題があり、なんらかの人間劇があり、物語があった。そして、自然の風景はその物語の舞台として描かれたのであって、そ
もっとみる長い西洋古典絵画の歴史において、ただ自然だけを描いた絵というのはだいぶ後になって現れた。それはたとえば、フランスのミレーやコローといったバルビゾン派の画家たちが描いた、情緒に溢れる広大な土地の風景画あたりまで待たないといけない。それまでの絵画では、そこには必ず、神話の主題があり、宗教的な主題があり、なんらかの人間劇があり、物語があった。そして、自然の風景はその物語の舞台として描かれたのであって、そ
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