私は有名になりたかったのでせうか 人気者になりたかったのでせうか なんともまあ他人任せで、不確定で、不誠実なのでしょう 否、 愛されたかったのだ! 愛して欲しかったのだ! 確実な愛を求めていた! しかしそれもまた他人任せで、不確定で、不誠実で… 私はとんだ淺ましい人間であります
生とて、死とて! 愛さへあれば 愛さへあれば とにかく生きることを誓ふ 愛されたかった故、 とても愛されたかった故 愛さへ与えてくれるのであらば 私は海へ飛び込むことさへできましょう 春のように柔く接し 雨のように静かに笑い ときには雷のように激しく愛を説いて さすれば私は!
学校へ行く朝、後ろのリュックが重いことに ひどく安心する わすれものはきっとこのリュックに入っているのだと ひどく納得する わすれものを詰め込んだ背中のリュックはたいへん素敵だ ひどく嬉しくなる わすれものをもし本当に忘れても私のリュックはとっても素敵だ ひどく重たいから
恋愛なんてと思えましょうか 街ゆく男女のなんと優しい笑みだろうか 恋愛なんぞと憎めましょうか 悩めるあの子のなんと健気なことか 小説を読み、詩を語って、 なんとか恋愛に齧り付く 全てが壊れるあれそれも、壊れたら 友人には戻れませぬ 私には一か八かのギャンブルにしか、 思えませぬ
私が儚くなるとき それは遊びに疲れた子供のようであればいい ああ面白かった、ああ楽しかった、疲れたなあ! 別れまでまだ多くの時間があると慢心する今日 私もいつの日にか、この世で餞の主役を飾る時がくるのでしょう それは避けられず、はたまた必ず捕まってしまうのでしょう それならば!
春、散りゆく桜を知り儚さを呪う 夏、暑さに顔を歪め額を隠して泣く 秋、濃くなった金木犀を眺め逃げる 冬、雪を踏み締め冷たさを歩む 四季折々、呪い、泣き、逃げ、歩む 春を好き、夏を嫌い、秋を巡って、冬に眠る 私は星が灯る夜空の下で云う 嗚呼あれは夢であったか? 私の青さだったのか…
私のいいところは 優しくあって笑みを絶やさないこと 私のいいところは 優しさとその笑みが良い事であるか悩めること 私のいいところは 優しさに気づける人が1番優しいのだと気づけること そうであるので、 優しさとはなんたるかを考える、わたくしが きっと1番素敵であると思うのです。
いつ帰るの、いつ着くの いつかちゃんとつくことを いつかちゃんと帰れることを 知らない幼子は目が冴える 「これから」故の無邪気さ 時々戻りたくもなるけれど 「今まで」の過程を見下ろして 愛おしくて、忘れがたくって、戻れない大きな幼子 選んだ自由と、なんでも選べる自由は相容れず
立ったままでは思ったよりも浸らない 湯船に座り込み 身体を隠す ここでは化粧も仮面も熔けてゆく 恋もできねば泣きもせず うたうように言葉をのせて 白い靄に味方する たをるに顔を押し付けて ワンデイマスクで明日もゆく
足が冷えても 指が悴んでも この心は赤く紅く燃え盛る! たとえ氷水をかぶっても 冷たい人の心に心触れても 私のこの心はいつも赤く耀く! 美しさに力漲らせ 悲しみをも飲み込んでさて、 強くあれ、 強くなれ、 強くあれ!
愛に目が眩んだ者たちよ かの有名な名探偵も申し上げる 恋とは解き明かせない難事件であると。 私は思いまする 相手をよく知りたいのならば 少し離れることであると 隣では甘い匂いに欲が膨らんでしまう 然しながら私にはやっぱりそれが わからない 解らないのだ!
何を買ってこようか 母の言葉に欲しいものを探す 幸せな懷ひの、幸せを感じたもの りんごジュースに和菓子と栗の甘露煮 暫くして世界に戻り私はうたう なにもないよ。 きっと幸せ(懷ひ)がなくても 今の私はやってのける 今の私は越えてゆける
外食へ行くときのこと 食後に差し出されるほうじ茶は 大人のみに配られて 子供扱いをと憤る 今思へば私はほうじ茶を好まないので 頂けども残すことはわかっていた 子供扱いには子供故の理由がある 帰りのキャンディは喜んで受け取る 都合が良いが無邪気で愛らしい 私も普通の子供でありました