秋山菜津子

尽きることのない暴力性と純粋な魂がとぐろを巻き合いながら互いを高みへと押しやるような迫力に満ち、現代人の心に鋭い切っ先を向ける…★劇評★【舞台=カリギュラ(2019)】

小説「異邦人」や戯曲「誤解」などを生み出したアルベール・カミュの黄金期と言われる1940年代に発表されたカミュの代表作のひとつ「カリギュラ」。暴虐の限りを尽くして孤立を強める中で破滅の予感を抱きながらも、不可能なことを実現しようとする美学の中に没入していくローマ帝国皇帝カリギュラの姿を、若き演技派として注目される菅田将暉が舞台「カリギュラ」で狂おしいまでに表現している。人間の裏地のようなざらついた

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『108 海馬五郎の復讐と冒険』

松尾スズキ監督・脚本・主演『108 海馬五郎の復讐と冒険』をTOHOシネマズ日比谷にて鑑賞。観たいのだけど午前中から上映しているのが日比谷ぐらいだったので、久しぶりに日比谷。舞台を観に来たマダムな上品な女性が多いっていう感じ、舞台好きな人ってお金かかるからそもそも富裕層であるんだろうけど。
脚本家として活躍している海馬五郎(松尾スズキ)は元女優の綾子(中山美穂)が浮気しているのをFacebookで

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出口なし

首藤康之が踊るというので観に行くことにした。
フランスの哲学者サルトルの戯曲「出口なし」を演劇と舞踊の融合で作るという。

踊りパートによって、言葉で説明できない心情が雄弁に、切迫感を伴って伝わってきて、見入ってしまった。普段あまり演劇は観ないのだけれど、とても楽しかった。

ところで、この作品は演劇と舞踊の境界を超える作品として創作したとある。その試みは何を目指していたのだろう?一観客の感想をそ

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それを地獄と呼んでも天国と呼んでも構わない…★劇評★【舞台=出口なし(2019)】

人間とは何か、「私」とは何かを生涯追究し続けたフランスの哲学者、ジャン=ポール・サルトルが劇作家としてこの世界に残した最高傑作「出口なし」を、世界的なバレエダンサーで俳優の首藤康之と舞踊家で振付師の中村恩恵、そして俳優の秋山菜津子と白井晃の4人で、演劇と舞踊の境界線を越えた全く新しいパフォーマンスとして描き出した。これは演劇界にとってひとつの事件だ。ダンスによって描き出される感情は言葉によって強化

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そこには見てはいけないもの、なにか大切な、語られるべき物語が埋まっている…★劇評★【舞台=贋作 桜の森の満開の下(2018)】

そこには見てはいけないもの、なにか大切なものが埋まっていることに、早くから気付いていた。それでなくても人柱が埋められているとか、花見はこの世ではない極楽の景色を見る儀式だとかおどろおどろしい気配に包まれた場所だという印象付けがされていて、近づきがたい場所だった。しかし桜の下に私たちが本当に知るべき真実が隠されていることにはほとんど確信に近いものがあった。ましてや満開の桜の下には、それだけでひとつの

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