福田フクスケ@編集&ライター

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福田フクスケ@編集&ライター

『TBSラジオ「空気階段の踊り場」公式本2017-2021』、斉藤章佳『盗撮をやめられない男たち』の編集を担当。田中俊之・山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』、プチ鹿島『芸人式新聞の読み方』、松尾スズキ『現代、野蛮人入門』の構成も。fukusuke611@gmail.com

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凡庸なバチェラーが歴代一の支持を集めた理由ーー『バチェラー・ジャパン』シーズン5評

新しい「令和のバチェラー」…ではなかった『バチェラー・ジャパン』シーズン5を見た。「史上もっともらしくないバチェラー」として起用された長谷川さんは、「かっこいい」ではなく「かわいい」と言われ、「選ぶ」側のはずがバチェラーに相応しい男かどうか「選ばれる」側にもなる。時にいじられ、なめられ、怒られることすらある、その頼りないが等身大の姿は、最初の数回こそ「令和の新バチェラー像」を提示してくれるかに見えた。 しかし、長谷川さんは「(従来の)バチェラーらしくない」というだけで、中身

    • 直球フェミニズム映画と変てこカルトムービーの両立ーー映画『バービー』評

      悪ふざけに満ちたカルトムービー映画『バービー』(Barbie)を見た。直球のフェミニズム映画だけど、想像よりもかなり批評的でブラックで悪ふざけに満ちたカルトムービー。皮肉の効いた自己言及、さまざまな映画パロディ、あえてのチープさを狙うなど、親近感のあるサブカルノリに小気味よさと気恥ずかしさを同時に感じる映画だった。 話の構造としては、バービーの生みの親ルースと、グロリア&サーシャ母娘の3世代の女性がそれぞれフェミニズムの歴史をなぞっている。当時は女性の解放だったものが、時代

      • お前のバカで目が覚める! 第13回「俺の顔を肴に酒を飲め!」

        俺の顔を肴に酒を飲め! いきなりだが、顔は力だ。見た目で人を判断するなとか、ニンゲン顔じゃないよとか、世の中にはうっかりするとそういう口当たりのよいメルティな論法がまかり通りがちであるが、私に言わせればバカも休み休みYEAH!  今「言え!」を無闇にハシャいでしまったことは見逃してほしい。ともかく、顔は対人関係において、家にたとえれば門がまえであり、映画にたとえれば冒頭の十数分。その人のニンゲンとしてのテイストや味わいは、すべからく自ずと顔に出てしまうものだ。  そんな観

        • 男のコンプレックス Vol.13「亀頭男子の生理的嫌悪」

          亀とか海老とか言ってますが おめでたい話ではありません。 どんなに言葉を尽くしても、どんなに理屈を重ねても、人は結局、生理的感情で動く生き物なのだ。生理的に嫌い、生理的にむかつく、生理的に受け付けない……など、人は“生理”の前であまりにも無力である。  たとえば、君が女の子から「今は誰とも付き合う気ないの」「しばらく恋とかいいかな…」みたいな、ゆるふわポエミーな理由でフラれたとする。本当の理由は十中八九、君のことが「生理的にムリ」だったからだ。彼女が2週間後、市川海老蔵のよ

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        • ○○○○になりたいの
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          魁!!テレビ塾 第13訓『ごめんね青春!』

          『ごめんね青春!』が示した サブカルの役割と矜持 押忍!! ワシが当テレビ塾を開いて早一年。テレビウォッチャーとして成熟してきたはずの諸君なら、今期のドラマ『ごめんね青春!』の最終回を見ていなかったとは言わせない。最終回前にこの原稿を書いているワシもまだ見ていないのだが、それはさておきだ。  本作では、犬猿の仲だったカトリック系の女子校と、仏教系の男子校が、やむを得ない事情から合併・男女共学に至る騒動が描かれる。『木更津キャッツアイ』に代表される過去のクドカン作品は、男同士

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          お前のバカで目が覚める! 第12回「ぴあ独占!○ティちゃんロングインタビュー」

          ぴあ独占!○ティちゃんロングインタビュー「……というわけでみんな、これからもピューロ○ンドに遊びに来てね☆」  ……あ、ごめん。いったん止めて、録音止めて! なんか疲れちゃった、休憩入れよ。あ、だいじょぶだいじょぶジャーマネに取りに行かせるから。ねぇ吉岡ちゃん、吉岡! カルカン持ってきて。早く、急いで! まっしぐらで持ってきて!  あれあれぇ、あなたたち、なんか面食らってる? 別にあたいのことね、あんまり○ティちゃんだと思って気ィ遣わなくていいですから。あたいだって普段は

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          男のコンプレックス Vol.12「ナイメン男子のイケメン批判」

          男子、ナイメンなど見るな、 イケメンを見よ! 水嶋ヒロがポプラ社小説大賞を受賞。その一報を聞いて私が最初に抱いたのは疑念でも反感でもなく、「イケメンはこっち来んなよ!」という人としてきわめてアヌスの小さい、嫉妬にも危機感にも似た焦りだった。  お笑い芸人のチュートリアル徳井をテレビで初めて見たとき、「これほどのイケメンが何の必要があってこんなにおもしろいのか」とたじろいだが、そのときの感情によく似ている。  男はただでさえプライドが高いのに、ブンガクやお笑いを目指そうとい

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          魁!!テレビ塾 第12訓『ヨルタモリ』

          『ヨルタモリ』の至福と憂愁 芸人・タモリの遅すぎた春 押忍!! ワシが当テレビ塾塾長、福田フクスケである!  いいとも終了から半年を経て、タモリが新番組『ヨルタモリ』でフジテレビに帰ってきた。しかも、かつてないほど芸人としての顔を見せて。  番組の中で、彼は一度もタモリ本人として登場しない。バーに立ち寄った客の体で、あるときは大阪の工務店の社長、またあるときは岩手のジャズ喫茶のマスターに扮して現れる。そのキャラ設定は、あの“白紙の弔辞”のように、その場のアドリブにも見える

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          ロンドン滞在日記 10&11日目:もうヌン活なんて言わないなんて言わないよ絶対

          ヌンチャクを広める活動みたいに言うなここ数年、日本で急激に流行したのがアフタヌーンティーだ。コロナ禍に入って人気が再燃したのは、夜間営業と酒類提供ができなくなったホテルやレストランの起死回生の一手という供給側の事情と、昼間でも手軽に贅沢気分を味わいSNS映えするイベントがしたいという消費者の需要が一致したからだろう。 いきなり「東洋経済オンライン」みたいなことを書き始めてしまったが、私が気になるのは「ヌン活」という略称である。終活、ポイ活、サ活など雨後の筍のようにニョキニョ

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          お前のバカで目が覚める! 第11回「忘れることだけ上手になって」

          忘れることだけ上手になって 私は今ヘコんでいる。これまで前田亘輝やはなわ、ときにはステラおばさんにまでムリヤリ難癖をつけてここまでやってきた私である。せめて自分だけはソツなくツッコまれず生きたいと願っていたが、ついに先日、自分で自分に愛想を尽かす大バカをこいてしまった。  その日私は大学の同級生のつくる自主制作映画に出演を依頼され、ロケのため真鶴くんだりまで向かっていたのだが、その途上、撮影に使う衣装などを入れた紙袋を丸ごと東海道線の車内に置き忘れてしまったのだ。どうやら途

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          男のコンプレックス Vol.11「ヒンヌー教男子の見積もり」

          “ヒンヌー教徒”の卑屈な姿勢が 女性を傷つけている、かも…!? 27年間生きてきて、貧乳の女性としか付き合ったことがない。別に選んでそうしているわけではなく、好きになった女性がたまたま貧乳だっただけだ。  だからと言って、私のことを「貧乳好き」→「幼女マニア」→「変態ロリペド野郎」と決め付けるのは待ってほしい。  我われ“ヒンヌー教徒”の戒律では、幼女崇拝は禁止。成熟した大人の女性でありながら、胸だけがお菓子なのかパンなのかはっきりしない“甘食”のような小ぶりサイズという

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          魁!!テレビ塾 第11訓『家、ついて行ってイイですか?』

          ガチンコの素人ロケで テレ東が見せるテレビの底力 押忍!! ワシが当テレビ塾塾長、福田フクスケである!  カリフラワーがブロッコリーの突然変異で生まれたように、テレビ東京は日本のテレビ界が生み落とした鬼っ子のような存在だ。人気番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』で、蛭子能収が見せる旅番組のセオリーを無視した気ままな言動は、重大事件が起きてもあえて通常通りアニメを放送するテレ東の“空気を読まない”姿勢をまさに体現しているようにも見える。  そんなテレ東の真価が発揮されるのが

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          お前のバカで目が覚める! 第10回「分別を鼻から吸ってトリップしたい」

          分別を鼻から吸ってトリップしたい ユニバーシアードがいつの間にか閉幕していた。結局テレビを観ていても競技や試合状況については何ひとつわからず、北朝鮮の美女軍団の動向にだけやけに詳しくなってしまった。  それにしても「美女軍団」ってすごい言葉だな。なんか、テレビ東京で木曜の夜にやりがちな映画のサブタイトルみたいだ。「地獄の女囚コマンド~ブロンド美女軍団の復讐」みたいな。「ブス軍隊」とかでもすごいけど。ねぇよ、そんな軍隊! ブスだわ軍隊だわじゃ逃げ場がないだろ。  まあ美女軍

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          男のコンプレックス Vol.10「検索男子のオレプライム危機」

          女子(メゴ)サーチは未練ではなく、 自分を守る“言い訳探し” 男というものは、誰もが「俺王国」の王様である。「どうせ俺なんか…」と言っている奴に限って、本当は自分大好き人間。「意外と鍛えてるんですね」と言われたくて、わざとピチピチのTシャツを着るタイプだ。  スキあらば、今以上それ以上に愛されたい。男の心はいつもワインレッドなのである。  自分の名前をネット検索してみる、いわゆる「エゴサーチ」も、そんな「俺王国」の大切な王政業務のひとつだ。  私に面と向かって言えない誰

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          魁!!テレビ塾 第10訓『きょうの料理』

          世の主婦のあり方に、自然体で 物申す自由なアナーキスト 押忍!! ワシが当テレビ塾塾長、福田フクスケである!  どんな役も器用にソツなくこなす若手俳優、高度にチームワーク化されたひな壇芸人が画面を占有しているテレビ界にあって、いまもっとも制約から自由なアナーキストは、ひょっとして平野レミかもしれない。  先日の『きょうの料理』でも、彼女は安定の暴走っぷりを発揮してくれた。20分間で4人分の献立4品を作らなければならない時間勝負の企画。ただでさえ早口でせわしないレミに、ター

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          お前のバカで目が覚める! 第9回「哀歌は背負うよ、どこまでも」

          哀歌は背負うよ、どこまでも 唐突だが、SPEEDが心配だ。なぜなら「再結成」という言葉には、絶えずいやーな予感がまとわりつく。そしてその予感はたいていはずれないからだ。  ピンクレディーが再結成を繰り返すたび、最盛期の栄光までもがグズグズと元値を下げていく気がするように。ニセモノのせいで再結成させられたヴィレッジシンガーズが、ニセモノの方が歌ウマ・・・・・・(以下自主規制)、という疑念を私に抱かせたように。再結成がいかに危険なリスクであるかを考えるにつけても、過去はもはや人

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