現し身の世に咲く徒花だらけの一大絵巻はフリムン（愚か者、ばか）のふりして、真実をあぶり出すリトマス試験紙のような鋭さを持っていた…★劇評★【ミュージカル＝フリムンシスターズ（2020）】
都会の吹き溜まりに集まってくるのはごみ？ いやいや、都会でうごめく人たちの不安や不満、黒い情念や殺意までが風に集められるようにして運ばれてくる。そして人間そのものさえも…。松尾スズキが今年から芸術監督に就任したシアターコクーンで新たに創造したオリジナルミュージカル「フリムンシスターズ」は、そんなカオスと混乱、幻影と現実のかけらに満ちたダークファンタジー。現し身の世に咲く徒花だらけの一大絵巻はフリムン（愚か者、ばか）のふりして、真実をあぶり出すリトマス試験紙のような鋭さを持っていた。懸命に生きているのに生きている実感に乏しい流されるままの人生を送る主人公を演じた長澤まさみの献身的な人物造型に、人生の悲哀を丸ごと背負った女優を熱演する秋山菜津子と、がけっぷちを疾走してきたような付き人のヒデヨシを表現する阿部サダヲの振り切った演技力が絡まり、得も言えぬ猥雑さとともに、人生と社会の底辺からの再生への胆力をも生み出していたのが印象的だった。（写真はミュージカル「フリムンシスターズ」とは関係ありません。イメージです）
ミュージカル「フリムンシスターズ」は１１月２８日～１２月６日に大阪市のオリックス劇場で上演される。それに先立ち１０月２４日～１１月２３日に東京・渋谷の東急シアターオーブで上演された東京公演はすべて終了しています。
阪清和のエンタメ批評＆応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも読めます。舞台写真は「SEVEN HEARTS」でのみ公開しています。
★「SEVEN HEARTS」のミュージカル「フリムンシスターズ」劇評ページ
★劇評の続きを含む劇評の全体像はこの「阪 清和 note」で有料（300円）公開しています。作品の魅力や前提となる設定の説明。長澤まさみさん、秋山菜津子さん、阿部サダヲさん、栗原類さんらの演技に対する批評、松尾スズキさんの演出などに対する評価などが満載されています。
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★ミュージカル「フリムンシスターズ」公式サイト
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