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「価値」を先生と子どもが共同探求で決めていく『何のためのテスト?』第3章(読書会記録)

 社会構成主義第一人者ガーゲンの「何のためのテスト?――評価で変わる学校と学び」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。

第3章 関係に基づく評価に向けて

 第4回は第3章。教育について関係性の観点で捉えてみようと提唱していた第2章からより踏み込んで、具体的に関係性の視点での「評価」をどのようにしていけるかが書かれています。

評価とは何か

 評価とは、「何かに価値を与え、価値づけるプロセス」という考え方がハッとさせられました。
 例えば、ただ石ころを集めるという行為はそれだけでは何も評価されないですが、「味わい深い石を集めることが素晴らしい」」という価値がもし見出されたとしたら、「味わい深い石を集めた人が素晴らしい」という評価になる。みたいなことなのかなあと想像しました。

 本題の関係性の視点での評価とは、決められた基準に従って評価をするということではなく、対話を通して先生と子どもが一緒に価値を決めていくようなイメージ。
 本著では「共同探求(幅広い概念。子どもと一緒にルールを決めるみたいなことも含む。日常的に他の人と意味を作り出していくこと)」のプロセスとして紹介されています。

関係に基づく評価のゴール

 関係に基づく評価の最終的な目的が大きく3つ挙げられています。
 心に残ったことをいくつか抜粋すると、学ぶことを動機付けたり刺激を与えるためにも、価値を先生と子どもで共創していくプロセスが重要ということ。また、学ぶ意欲を持続させる上でも、「評価はテストの結果で決まる」といった単発のゴールでは意味がない。子ども自身が学ぶことの意義や自信を持って取り組めることが大切。などなど。

プロセス評価とリフレクティブ評価

【プロセス評価】のイメージ:子どもが言葉を覚える過程では、常に親が発した言葉や表情を子どもがどう認識して発するのかという形でフィードバックが返ってきて、さらに次の言葉をどう伝えていくのかを考える……といった具合に、相互依存で即興的なプロセスを踏んでいるといったイメージ。

【リフレクティブ評価】のイメージ:現在の定期的なテストも、機械的に点数で評価をつけるという利用方法ではなく、「なぜ?」を振り返るきっかけとして活用をすることができるというイメージ。

読書会での意見交換

 私自身は小2の子どもがいるので保護者的な観点で最近の出来事をこの本に当てはめると?と考えるのが面白いですし、学校の先生もメンバーに入っているので先生側のエピソードも聞けることが毎回面白いです。
 今回の面白かった話のメモはこちら。

  • 学年の初めの懇談会で「指導」という言葉を多様していた先生がいた。「指導」という言葉を使った瞬間に、先生が上で児童が下という関係ができてしまう

  • 毎日の音読って意味ある?!話。過去の何かをきっかけに、全員無条件にやらせているだけで、関係性の観点でみたら意味が立ち上がっていない

  • 「なんで?」に答える余力が世の中的になくなってるのか……?ちょっとした疑問を一緒に考えてくれる人がいないのかも

  • 学級通信の頻度を通年より増やすと「上の子の時と違うと苦情がくるから」NGという話。学級中心の本来の意味が論じられない倫理モデルの貧しさ

 今回noteにまとめるにあたって読み直してみて、改めて「プロセス」が大事なんだなと思うとともに、自分がもしも先生だったら……そんなめんどくさいことしてられるか?!ってなりそうカモ……ともちょっと思ってしまいました。
 反面、自分がこの4年間ほど子どもとの対話で意識していることは、まさに共同探求をしていく、ということかもしれないと思い当たりました。
 4章以降は具体的に各教育段階でどのようにやっていくのかが書いてありそうなので、楽しみです。

📖読書会記録
序章 ガーゲンの新作「何のためのテスト?」
第1章 テストで正確な「評価」はできない?
第2章 先生・生徒の新たな関係パターンとは?
第3章 「価値」を先生と子どもが共同探求で決めていく
第4章 小学校で「関係」に基づく評価を行うヒント
第5章 中学・高校で「関係」に基づく評価を行うヒント
第6章 教師1人が学びの責任を持たない、包括的なアプローチとは
第7章 学校自体も、多軸で評価をしていく

📖ガーゲンの前作「関係からはじまる」読書会まとめはこちら

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