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映画「ディストピア・サヴィア・ケース」

この映画は唯一、われわれを「生」に繋ぎとめておくための革命的な実践であり、われわれは「大いなる賭け」をした。

仮予告 https://www.youtube.com/watch?v=ryUi3DPeUEQ(限定公開)

ご支援を募っております。完成の後に、関係者試写会にご招待致します。クレジットは金額によりけりで、アソシエイトプロデューサーか、協力になります。3万円以上ご支援いただいた方には監督の「原智広」全集をご送付いたします。また、支援頂いた場合はinfo@ek-stase.netまでご連絡下さいませ。

全集の詳細はこちら。
https://note.com/haratomohiro/n/n6c2a1dbe32de

口座
GMOあおぞらネット銀行
法人第二営業部 普通 1691526
合同会社イーケーステイス第一営業部

企画意図

この映画は伊豆大島を舞台とする3篇からなる「生」と「死」のオムニバス作品である。空想の産物である自殺念慮は、客観性と判然たる恣意性という2つの形式の特質によって区別される。それが現実となってしまった時に一体何が起こるのか? 果てしない喪失感、これら自殺の持つ共通の特徴は時間と空間の秩序から解放されるという点に特異性がある。

出演する女性3名が、孤独や自殺願望、喪失感、この世界とうまくやっていけないやりきれなさを抱え、島という閉塞的な空間に隔離され、この世界に向いていないということ、この世界は牢獄であるという精神の姿勢・現存在の姿勢などのテーマを盛り込み、生と死の狭間で蠢き、伊豆大島という舞台で煉獄の世界観を露にする。

それぞれの出演者の抱える感情に現代性を加え、精神性・自死の問題を露とし、ヴァーチャル世界・書物・水の中・人間という存在がいかなるものであるのか改めて再考する。

映画であれ言説であれ、我々が戦っている真の「敵」を、「現実」を捉え損なっているように感じる。 われわれは個人の葛藤や蜂起から自殺まで、「個の無根拠性に賭ける」という行為の一切を、いまだ有効な闘争のスタイルだと考えている。われわれはこの映画で、まるで無意味な「革命」や「個々の人間の懊悩、崩壊、自滅」が、そのまま「新しい実存のフォームの模索」であり、「現代における闘争の最前線」であることを提示したいと考えている。

この映画は、日々「生き難い」と感じている人々の側に立って制作された。自殺者・精神疾患者・芸術や演劇など表現に駆り立てられてしまう人・過剰性を抱えた呪われた人びと。 われわれはその「生き難さ」を、欠陥としてではなく、むしろ新しい実存のフォームの創出の契機として、ひとつの希望として捉えている。映画では絶望的な状況が描かれるが、映画的体験の強度が、その絶望を、そのまま希望に転化してくれるものと信じている。

撮影日誌
Boid マガジン https://magazine.boid-s.com/archive/article/--id/20789


役一覧

原 亜澄(ハラ アスミ)16歳。女子高生・・・・・・・・今城 沙耶
伊東 里波(イトウ リナ)19歳。水商売・・・・・・・・南條 みずほ
千々石 京子(チヂイシ キョウコ)33歳。作家・・・・・藤井 桂
佐々木 ヨウジ(ササキ ヨウジ)19歳。里波の恋人・・・稲葉 葉二
原口 尊(ハラグチ タカシ)36歳。京子の恋人・・・・・原 智広
戸川 蘭(トガワ ラン)30歳位。謎の精神疾患の女性・・山本 桜子


あらすじ

原 亜澄(女子高校生)編

伊豆大島の高校に通う女子高生である原亜澄(16)は、キリスト教を信仰する躾に厳しい父と、それに追従するだけの母の家庭で育った。父は中小企業の法人の代表で観光事業を営む。母は小学校の教師だった。中学生になる直前に、父の会社は倒産し、伊豆大島に夜逃げする。
両親は亜澄にとって憎むべき対象であると同時に無視出来ない存在ではあるが、経済的事由から喧嘩が絶えない両親に嫌気が差し、「普通」を装っているが、内心では怒りの対象である。元々好きだった水泳も止めてしまう。
話しかけてくるクラスメイトも先生もすべて彼女にとってはただの影のような存在にすぎない。判別できない言葉の数々を投げかけられる。心を閉ざしてしまい、学校では孤立している。父は経済的破綻を他責であると認識しており、その時に信仰を捨てた。亜澄は元々、裕福であり、円満な家庭であった時の美しい思い出に縋る。それは日常的に両親と共に教会に通うことだった。

クラスメイトも家族も何もかもが鬱陶しい。自分には何もない。裸足でプールサイドを制服のまま歩き、彼女は浄化されようとする。この世界は偽りの現実であり、この世は牢獄のようなものだ。彼女の聖域は破壊され、何もなかったことに気づく。何もかも壊れてしまえ。真実は何もない、すべてが虚偽だ。亜澄は実体のない存在を殺す。

プールの中に溶け込んでいく。気泡と共に。水の中に沈む彼女にとってそれは判別不能ではあるが、心地よいものだった。母の胎内にいるような感覚がする。そうだったんだ!これが私の世界だ!


伊東 里波(水商売)編

水商売をしている伊東里波(19)は求人広告を見つけ、伊豆大島に行くことを決意する。飲酒、タバコ、セックスそれが彼女のすべて。彼女は心を閉ざしている。誰にも本音を打ち明けることはない。もし、誰かが、自分の繊細な部分に干渉してくることがあったとしたら、あたしはそいつを殺してやりたいと思う。この烈しい感情が彼女そのものなのだ。母は7歳の時に死んだ。父親に愛された記憶はないし、彼女に一切関心がない。彼女は都会から逃れることで、少しだけ自分の置かれたこのくだらない状況を変えられないことはわかっていたけれど、ほんの少し自分自身を変えようと懸命になることにした。誰かと寝る度にあたしはあたしであなたはあなた。そんなことは分かっている。あたしの気持ちなんて分からない。絶対に。元甲子園球児だった、ヒモの佐々木ヨウジと暮らしている。

だけどそれが、ものすごく辛い。わかって欲しい。いつの日か分かり合える日が来るのだろうか。みんなが独りでいられたら、みんなで一緒に生きることだってできると思うのに。何故?みんなが独りでいられたら、みんなで一緒に生きることだってできると思うのに。そう、あたしはもう罪人だ。自分の内面と関われば関わるほどあたしは不幸になると感じる。苦悩に満ちている。だが、あたしはいつの日か幸福になるのだ、すごく幸福になるのだ。たとえ、あたしが死んでしまっても、イマジネーションが、苦悩からではなく歓喜から創造される世界、ただ客と寝るだけの毎日、そしてあたしは依然として誰からも拒絶され続けるだろう、何故ならあたしは理想の中で生きていることにしているから。唯一、彼女は海が好き。海が好き。海が好き。その中で永遠に眠りたい。気泡となって、私は瞬く間に消え、そして私は初めて生命という存在になり、愛されるのだ。


千々石 京子(作家)編

作家である千々石京子(33)は都心に疲れ果てて、伊豆大島に5年前に移住した。そこで出会った自殺した恋人、原口尊(36)との思い出の中で生きている。彼がいなくなってしまい、わたしひとりがこの世に残されてしまったとき、私はゆるやかに壊れていくのが分かる。

バスタブを見る度に、車を運転する度に、手紙を読み返す度に、砂漠を歩く度に、カモメが飛び立つのを見る度に、波の音を聞く度に、深い森の中を彷徨う度に、水の中で溶けていくように自分が自分であるという感覚がなくなっていき、彼の幻影から逃れることが決して出来ない。

それは彼女の中に刻まれた「眼差し」である。彼をテーマにした最後の作品「自殺はひとつの解決であるか?」を彼女は書く。書くという行為だけが彼女にとって唯一の救いだったが、その作品が完成した時に、彼女は生きているのか死んでいるのか、「世界のあらゆる事象」と「私」とは無関係に生きていくという選択を不意に思い立つ。

雨が降っている。海に降っている。まったく不可能なままがいい。まったく絶望的なままがいい。語り合ったのは恐らく彼とではなく、この夏のさまざまな出来事、雨、海、カモメ、愛の飢え、そして死。書くという行為、生み出すという行為は、実際は世界全体の沈黙だった。


スタッフ

監督・脚本・原作
原 智広

仏語翻訳、編集者、雑文書き。1985年生まれ。20歳から映画制作を始める。
訳著『戦時の手紙 ジャック・ヴァシェ大全』(河出書房新社, 2019)、論文『光学的革命論』(2014)、『仮象実体的社会と電子的スペクタクル性、その全貌への憎悪』(2014)、共著『HAPAX12 香港ファシズム』(夜光社, 2020)『アルトー横断』(月曜社, 2023)。「Boidマガジン」で映画批評など、他寄稿多数。
2012年に任意団体EK-Staseを設立後解散、新たなメンバーと共に合同会社EK-Staseを2021年に設立。主に出版事業、大手が取り扱わない海外文学や詩の翻訳事業を主軸とする。雑誌『ILLUMINATIONS』(EK-Stase,2021-) 創刊。企画・原案・発行人を担当。雑誌『FEU』(EK-Stase,2023)責任編集、翻訳、論考を担当。
雑誌でエドゥアール・ルヴェ、ジャック・リゴー、アントナン・アルトーの抄訳を手がける。
2024年5月に「原智広」全集発売予定。

<作品> 
・映画『シワの数だけ自己を隠す』(監督・脚本/2005)16min.(短編) 第2回TOHOシネマズ映画祭入選。TOHOシネマズ南大沢の映画祭にて上映。
・映画『ポラロイド』(監督・脚本/2008)28min.(短編) シネマボカンにて2日間、計4回上映。
・映像作品『インフォメンタル』(監督・脚本・撮影/2012)18min.(短編) 高知県立美術館でのイベント・bar bonobo・bug-depayse主宰のイベントにて上映。
・映画『デュアル・シティ』(プロデュース・原作・脚本/2015) ドイツ「ニッポン・コネクション」審査員特別賞。恵比寿映像祭・大阪アジアン映画祭・あいち国際女性映画祭・ロンドン、ボストン、シドニー、サンティアゴなど約20カ国で上映。本格的なSFへのアプローチが高く評価された。ユーロスペース・アップリンク・第七藝術劇場・シアターセブンにてイベント上映。

キャスト

今城 沙耶

1997年生まれ。女優。キープスマイリング所属。アイドルユニット「カメトレ」の元メンバー。映画『賭ケグルイ』(英勉監督/2019)、『#平成最後映画』(加藤綾佳監督他/2019)、『あ・く・あ~ふたりだけの部屋~』(中川究矢監督/ 2021)、『この恋は終わってる』(加藤綾佳監督/2022)、「Shall we love you?」(田中陽菜監督/2022, ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2023・ジャパン部門ノミネート作品)、舞台『12人の〇〇な女優たち』(三ツ星キッチン/2023)、MV「波打ち際の女の子」(青い金魚楽曲/2019)ほか出演多数。

南條みずほ

1995年生まれ。女優。月蝕歌劇団『五瓣の椿』(2018)、『ドグラ・マグラ』(2018)にモヨコ役で出演。映画『流れた血は物語る』(田中慎太郎監督/2021)、『青春の叡智』(黒沢秋監督/2022)、『MOON and GOLDFISH』(飯塚冬酒監督/2023)ほか出演多数。

藤井桂


舞台『Festa.』(作演:戸田彬弘/2017)『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』(作演:蓬莱竜太/2018)『ずっと、広い部屋。』『無題のページ』(作演:杉浦雄介/2020/2022)、他。映画『後ろ振り向いたら、もう居なかった』(十城義弘監督/2019)The
TOKYO 48 Hour Film Project助演女優賞受賞、他。自身による脚本演出『あ、と、たまたまの月』『群青ペンギン』『さよなら、ライナス』や、シンガーソングライターのアシタカアヤコとのユニット「アシタカツラ」での創作やライブなど、多面的に活動。

撮影 共同監督
守屋 雄介

1988年生まれ。舞台映像の演出や制作をきっかけに映像制作を始める。現在はコマーシャル等の3DCGを制作しつつ、インドを舞台にした実験ドキュメンタリー映像を製作中。
Web https://cookloopy.com/

撮影

小松浩子

写真家。映像作家。写真と映像で会場を埋め尽くすインスタレーションで国内外で高い評価を受けている。2018年第43回木村伊兵衛写真賞を受賞。「Sincerity Department Loyal Division」(2021, NY)、「Creative Destruction」(2022, マサチューセッツ)、「Channeled Drawing」(東京, 2022)などを開催。また8mmフィルムを会場に張り巡らした展示「SILENT SOUND」(2021, 東京)は、「Komatsu Hiroko: Second Decade」(2022, コネティカット)への巡回を果たした。 監督『Silent Sound』(2020)、アートブック『Black Book』『corrosion』(2021)、他プロモーション映像など
Web https://komatsu-hiroko.com

金村 修

写真家。映像作家。1964年東京都生まれ。1992年、東京綜合写真専門学校在校中にロッテルダム写真ビエンナーレに招聘。1996年、MOMAによる「世界の注目される6人の写真家」の1人に選ばれるなど、国内外問わず活動。1997年日本写真協会新人賞・東川賞新人作家賞、2000年土門拳賞、2014年伊奈信男賞受賞。展示・上映・写真集・著書多数。プロモーション映像『Datenshi』(Buck-Tick楽曲, 2020)、『Ghost』(Koji Nakamura楽曲, 2021)他。ワークショップ開催。 Web https://kanemura-osamu.com

関 浩司

1982年茨城県生まれ。8ミリカメラ専門店、レトロエンタープライズに勤務。現像を担当。8ミリ撮影協力にロックバンド、サニーデイ・サービス 『サニーデイ・サービス イン 日比谷 夏のいけにえ「DVD」』(2017)、同バンドの映画『GOODBY KISS』(2019)等


音楽・音響効果・音響デザイン
ケンゴ マツモト(THE NOVEMBERS/SAD ORCHESTRA/When)

「THE NOVEMBERS」(2005-)ギタリスト。ライブでは楽曲によってはコーラスをとるほか、シンセサイザーやフロアタム、ノイズマシンなどの楽器を演奏。「SAD ORCHESTRA」の名義でソロとしても活動。Velladon・サウンドエンジニアの君島結らと「When」を結成。 

エグゼクティブプロデューサー
+M
文藝評論、雑誌『Ecrit』のプロジェクトに携わる。

プロデューサー
塩見 博貞


ラインプロデューサー・助監督・スチール
狩野 萌

写真家。六本木Bar山﨑文庫にて個展「MARIA Y MEGUMI SOUTH AMERICA~『チリに行こう!』と、マリアが言った」(2019, 東京)開催、グループ展「東京8x10写真展 2021」「架空の街〝G〟」(2021, 東京)参加。清里フォトアートミュージアムの2021/22年度ヤング・ポートフォリオに作品収蔵。
Web https://linktr.ee/kanomegu

照明
加藤 大輝

照明技師。1987年、愛知県生まれ。名古屋学芸大学出身。『デンデラ』『キツツキと雨』『あゝ荒野』で高坂俊秀の下で照明助手を務める。技師としての主な作品に『かぐらめ』(奥秋泰男監督/2015)、『黒い暴動』(宇賀那健一監督/2016)、『ちょき』(金井純一監督/2016)、『愛がなんだ』(今泉力哉監督/2019)、『いちごの唄』(菅原伸太郎監督/2019)、『シノノメ色の週末』(穐山茉由監督/2021)、『未知との交流』(宇賀那健一監督/2022)、『Love Will Tear Us Apart』(宇賀那健一監督/2023)など。

美術・衣装
若松 ぜぜ

東京都出身の音楽家、サウンドアーティスト。暖かさや没入感をたいせつに、聴くひとそれぞれの"なつかしさ"に届くような音作りを心がけている。犬が好き。茶飲み友達の北澤ヴィとゆるくzzkkzzkk(ずくずく[dzɯᵝkɯᵝ dzɯᵝkɯᵝ ])として身体表現と音の活動もしている。
SNS (SoundCloud) :https://soundcloud.com/zezewakamatsu https://zezewakamatsu.com
zzkkzzkk:https://www.instagram.com/zzkk_zzkk/

制作・車両・ロケーションコーディネート
田邉 祐介

制作
関浪 彩可 

ミュージシャン。1993年生まれ。2014年からバンド活動に携わり、2018年ソロ作品を発表。アフリカのトーゴで音楽修行。

編集
濱岡 美咲

CGデザイン
守屋 雄介

プロダクションマネージャー
鈴木桜子

脚本協力
南條 みずほ

アフターレコーディング
伊豆田 康明

フリーの録音部・音響デザインを多数担当。 主な参加作品に『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(中川龍太郎監督/2015)、『四月の永い夢』 (中川龍太郎監督/2017)、『わたしは光をにぎっている』(中川龍太郎監督/2019)、『静かな雨』(中川龍太郎監督/2020)、『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督/2021)。ドラマ『ロマンス暴風域』(原作 鳥飼茜)

予告編制作
楫野 裕

映画監督/映像編集者。1978年神奈川県出身。20代前半から短編中編映画をいくつか監督し高い評価を得る。2019年、全編8ミリモノクロフィルム撮影で東日本大震災後の都市と人間を描いた『阿吽』で長編劇場デビュー。国内外でカルト的な人気を博し話題を呼ぶ。2023年現在、長編2作目の公開を控えている。また、映像編集者として国内外の数多くの映画予告編の編集を手掛けている。

タイトルデザイン
簗瀬 幸佑

ロケーション協力
伊豆大島市役所
大島町役場観光課
昭島ロケーションサービス
(株)オーレック 他

協力会社
有限会社レトロエンタープライズ

企画・制作
EK-Stase LLC (合同会社イーケーステイス)
HP     http://ek-stase.under.jp
mail    info@ek-stase.under.jp
書籍情報 https://sites.google.com/view/illuminations7
所在地  183-0001 東京都府中市浅間町4-2-28
設立   2021年1月21日
事業内容
1 出版、書籍の企画編集
2 海外文学の詩や翻訳
3 執筆
4 映画の企画及び製作
5    海外文学や詩の研究


公開予定

ロッテルダム国際映画祭出品予定 (90min.予定)
都内・大阪・名古屋などのミニシアターにて上映予定


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