原 智広

仏語翻訳 編集者、雑文。訳著「ジャック・ヴァシェ大全」(河出書房新社)「イリュミナシオ…

原 智広

仏語翻訳 編集者、雑文。訳著「ジャック・ヴァシェ大全」(河出書房新社)「イリュミナシオン」創刊号(イーケーステイス)「FEU」創刊号 写真と危険な登山が趣味です。ここは遊び場です。一定の水準に満たない実験的なものだけ掲載しています。販売サイト https://x.gd/MAIKI

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映画「ディストピア・サヴィア・ケース」

この映画は唯一、われわれを「生」に繋ぎとめておくための革命的な実践であり、われわれは「大いなる賭け」をした。 仮予告 https://www.youtube.com/watch?v=ryUi3DPeUEQ(限定公開) ご支援を募っております。完成の後に、関係者試写会にご招待致します。クレジットは金額によりけりで、アソシエイトプロデューサーか、協力になります。3万円以上ご支援いただいた方には監督の「原智広」全集をご送付いたします。また、支援頂いた場合はinfo@ek-sta

    • 「虚と愛のあわいに」 (恋する惑星論) 

      さて、何から始めようか。ウォン・カーワァイの映画を繋ぐことは、彼に連れられて悪夢に入り込むようなものだ。完璧なる虚実の中でひそひそと囁き声が聞こえ、あなたは夢想の中で鑑賞し、息を殺し、クーラーの音や映写機の音、フィルムの回る音に混じって、愛(これも虚実だとはどうやら言えそうだ。)ねえ、あなた、この抵抗出来ない「悪夢」に浸ることこそまさに愛そのものだと言えやしないだろうか。私は眠る、永遠に眠る、誰も侵さないように眠る、きっとこれは不治の悪癖、バックコーラスが遠くから聴こえ

      • 現実(0)と現実(1)の諸現象の考察について(随時更新)

        1 信仰の対象性だとか不可視の愛だとかそういうものに憧れたりもしますが、代表的なのはアルベルトゥス・マグヌスです。「被造物についての大全」が有名ですが、自然の観察に基づく自然学であり、そこには「視覚」の領域の影響しか及ばないです。然るに、踏み入ってはならないところに踏み入るには目を棄てる必要があります。見ようとすれば見える。見ようとしなければ見れないっていうそういう単純な話ではあります。 2「見ようとしてはならない」と思う彼がいる一方で「見なければならない」と思う彼もいる。

        • 日記。30代半ばを超えての雑感

          37年生きてきた。短いのか。長いのか。よくぶれずに芯があると言われるが、私は失敗の繰り返しだ、だが挑戦をやめたことはない。感性の森へ深く入り込みながら、得体のしれないものに触れ、透明なうつろいとして一瞬美しいと感じるものを愛おしく思う。光の中でとらえたあの数々の出来事はすべて幻だったのか。死のような長い余韻が、ずっと自分自身に纏わりつき、そこから拭い去ることは決して出来ない。港。車の傍で。最初に立ち尽くした男、影の多重、安っぽい化粧で、車のシートを倒して、瞬きしている女、一粒

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        映画「ディストピア・サヴィア・ケース」

          カイエ

          いつか自分が生きていると実感出来たときには間違いなく死が訪れるであろうし、今日もバルビツール系の睡眠薬を3錠飲む、寝れない、圧倒的な不眠或いは過眠、長い夜、苦し紛れにあなたが死んでしまったことを思い出す。微睡の中にいる幼子のような、この紛いものの世界に対する復讐心、神、後世、正義、自我、宇宙がその前に座っているが、何も存在していない、犠牲は下ごころの極限である。立証し得る言葉や観念、非真実なもの、意想外、そして虚偽、率直さは、それなくしては生きられぬものを殺す。不如意、不快、

          cahier

          美しい眼差し、直線ではっきりと見えるような、何もかもを今は拒んでいるように思う、視界の切れかかった境目に、肩幅だけが広い後ろ姿だけをもった忌まわしい何かがいる、何かの痕跡がある、それは或いは自分自身の姿なのかもしれないと思う刹那、宗教画と俺の忌まわしい夢の後味として残ったのだった、ところで、さて、もういいかな、確かに見知っている死者たちの顔のほかに、どう見ても知らない顔もいる、全くもって無表情な顔だ、お前を激しく弾劾したあの書物をもしかして読んだのかね?革命の歴史に現れる革命

          「デミウルゴス処刑裁判」試し読み

          2021 4・1~ 原 智広   あの眩い天使たちが、神的な事柄について照明してくれる限りは、私はまた、光の内に神的な事柄を体験することが出来よう。人間たちはもろもろの視覚の対象から、すなわちもろもろの光滅から切り離された。見るものたち、体感するものたち、存在するものたち、あなたたちは遠く離れてひれ伏さなければなるまい。真に神秘的な不可知の闇を、本来人間が知覚し得る自然的な能力を閉じてしまったからだ。あまりにも「もの」が見えすぎるというのは、すなわち「不可触と不可知」の渦の

          「デミウルゴス処刑裁判」試し読み

          「原智広全集」のご予約はこちらへ

          原智広全集 100部限定 3万円(税込み) 版元 EK-Stase LLC 24歳くらいから書き始めたものの集大成です。限定100部です。高い本なので、よく考えてご購入頂けるとありがたいです。刊行後、お支払いならば、予約受付は可能です。(下記の内容が変更になる場合もございます。ご了承ください。) 特殊製本 ナンバリング サイン 写真 箱入り 2024年5月中に発売予定 ご購入してくださった方は映画「ディストピア・サヴィア・ケース」へクレジット(協力)及び完成試写会にご招待し

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          夜ごとに浮かぶ他者たちとともに 2004

          噴水から流れる水泡、切り刻まれた背中への悪寒、唇から垂れる涎を手のひらで拭い、現実が何かを確かめる、遥か彼方に見える、草木の揺らぐ様を目に焼きつけ、羊の生臭い肉を噛み千切る、生を感じる時は何かを殺す時で、自分の身体の奥底の今にも燃え尽きそうな生命の灯火を掌で覆い隠す、耳鳴りがする、遠く深い海の底で鳴く鯨の様な耳鳴りだ、水中で手足をうねる様に動かし、鯨の尾の先から垂れる半透明の白い帯を掴もうとする、水中から地上に出られるとき、呼吸を、目の充血を、手足の温もりを、風の音を、感じて

          夜ごとに浮かぶ他者たちとともに 2004