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雲外蒼天

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このマガジンでは「努力の果てに青空を望む」そんな思いを胸に詩を詠っていきます!(2024 9月~)(写真:兵庫 白龍城より)
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記事一覧

[詩]「手紙のように」

[詩]「手紙のように」

人は文章から

滲むらしい

いつか聞いた

その言葉

手紙のように

書かれた文章

麗らかな

春みたいに

その暖かい

言葉の羅列を

光の当たる

窓際で読んだ

私とは違う

本の香り

積み重ねた

景色の造詣

伝わってくる

陰鬱な空気と

湿気のない冬

枯れるような

明るげな孤独

誰かに向けて

託すように

人は文章から

滲むらしい

いつか聞いた

その言葉

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[詩]「心の棄てる」

[詩]「心の棄てる」

棄ててしまおう

不法投棄の

ゴミ箱の中

壊してしまったから

愛していた

思い出のこと

「囚われないで」

声が囁く

「間違いじゃない」

ただ

あの間違いを

肯定するように

今までを棄てて

色の抜けた

裏路地を歩く

「忘れはしないよ」

紫の頸飾を

輝かせて

喪った全てを

丁寧に棄てた

あの日のこと

貴方を

諦めて

自分の心は

粉々になって

今までが

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[詩]「そうありたい」#シロクマ文芸部

[詩]「そうありたい」#シロクマ文芸部

そうありたい

理想の自分

もしも私が

爽やかならば

しつこくないなら

空気がきっと

和むだろう

蒼生い茂る

草原の空

秋風誘う

理想の景色

もしも私が

そこにいるなら

きっと心は

穏やかだろう

ああ

あの空を見よ

青々しく

輝く画布

絵画のように

描いていた

私の心は

そこにいる

絶望と希望

幸福と不幸

心情の形

見えなくても

確かにある

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[詩]「人心を解さぬ」

[詩]「人心を解さぬ」

雨が降る

風が荒れる

青にまみれて

私は天に

嫌われた

理由はきっと

私の態度に

あるだろう

分かっている

つもりになった

そのうち

人心を解さぬ

怪物になった

何を聞いても

何を食べても

驚くほどに

何も響かなくて

己も

相手も

憐れに見えた

きっと

あの日のこと

許されることは

ないだろう

真剣にやった

つもりだったのだ

人心を解さぬ

[詩]「love」

[詩]「love」

白い息を吐き

黒く陰る月

ビルの屋上

星空の下

夢想したのは

理想の世界

ああ

その名を

呼べば

全てを壊す

核の冬が来る

「好きだった」

ああ

喪失感に

怯えながら

伝えた言葉

きっと

それこそが

愛の形だった

夜空の星屑

雪原の塵

いずれ人は

死んでいく

逢う臘は

切に朧声

学校の屋上

声を絞った

赤色の空

[詩]「子供のまま」

[詩]「子供のまま」

青い景色

踏み出す

一歩は

大人のつもり

理想への

前進は

己を信じて

それでも

生きることは

難しいこと

分かっていた

つもりだった

一人は無力だ

知っていたけど

「力を合わせて」

きっと

誰もが

耳にする

そんな演説が

響かなかった

頭で分かっても

諦められなかった

「正しさを求めて」

そんなの

知るかよ

正解なんて

ないはずのに

だって

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[詩]「閉幕の跡で」

[詩]「閉幕の跡で」

夜の公園

月は見えず

街頭なんて

何処にもない

全てが終わった

田舎の跡地

絶えず通る

車の群れ

掻き消される

いつかの声

思い出すように

あの音が

聞こえた

過去への

焦燥は

今も消えない

五月蝿いくらい

心臓が鳴り響く

秋は外

風が吹く

鈴の音も

鳴いていて

落ち着ける

涼しいはず

それなのに

記憶が重く

のしかかり

嫌な汗が

肌につく

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[詩]「選択肢」

[詩]「選択肢」

青空の下

息を吸えば

まだ

浅いことを

実感する

呼吸と目眩

生きていると

希望と失意で

目まぐるしい

選択肢だけは

無限にある

理由があって

選べないだけ

恐れがあって

踏み出せないだけ

私のこと

正しいとは

思わないけど

少し辛いけど

失うことに

慣れている

船に

憧れるように

空に

憧れるように

強く自由を

望んでいる

他人と私の

明確

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