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まぼろしの街・吉祥寺
次は下北沢…下北沢………。
はじめて東京に住んでからもう7年以上経つというのに、いまだに吉祥寺と下北沢を間違えてしまう。
事の発端は、上京して間もない頃まで遡る。大学が始まる少し前、高校の頃とても仲の良かった先生からLINEが来た。先生はバンドをやっていて、吉祥寺でライブをするからと招待してくれた。ライブの開始時間が迫っているというのに、駅を出て少し歩いたところでようやくそこが下北沢だというこ
感情が読めない男と・吉祥寺
2018年秋、1人の男の子と付き合っていた。
感性と見た目が好みだったので、一緒にシーシャを吸った帰り道に勢いで付き合って欲しいと告げたら付き合えることになった。
お互い文章を書く人間で、そこも好きだった。彼のブログは周りくどく難しいねちっこい言葉でカルチャーだったり男とか女とかに言及していたりしたけど、そういうところも好きだった。
吉祥寺に住んでいて、当時江古田に住んでいたわたしはちょいちょい彼
中目黒にて、少年と相合傘をした
数年前まで、中目黒で髪を切っていた。それまでは代官山のサロンに行っていたのだが、担当してくれていた美容師さんがある日「私ここ辞めるんだ。今度は中目黒でひっそりとやるから、今度からはよかったらそっちに来て」と伝えてきたので、次回からは中目黒に行くことになった。
その日はちょうど今のような季節で、雨が降っていた。メールで案内された住所を目指して、初めて降りた中目黒駅からの大通りを傘を差しながら歩いて
POPEYEみたいな・中目黒
日本でコロナがじんわりと気配を匂わせていた頃、わたしは夜まで引きこもっていた。さすがに お腹が減り、近くに住んでいる親友に連絡をした。「寿司を食べたくない?」「食べたいわ」間髪 入れずに返信が来る。中野に集合しようと告げる。彼女は中目黒にいるらしかった。
色気のない立ち食い寿司を、ワハハと笑いながら食べる。別れ際、中目黒の店のおしゃれなチョコを彼女はくれた。フルーツとかナッツとか、見た目も味もお
桜とおじさんの街・中目黒
中目黒に行ったことは思い出せても3回くらいしかない。大学生の時に住んでいた練馬区の街からは少し距離があったし、なにより中目黒に行く用事が何もなかった。
1回目は、当時三軒茶屋あたりに住んでいた彼氏と池尻大橋で待ち合わせをして目黒川の桜を見に行った時だ。目黒川が桜で有名なことは知っていたが、彼氏と桜を見に行った時はすでに散りかけていて、美しい桜でも褪せて見えていた時期だった。川沿いに宴会する人たち
上野にあったハロプロショップの話
中学生の頃、好きなバンドが出るというNHKのMUSIC JAPANを見ていると、あるハロプロのグループが出てきた。なんとなく見ていると、その中に一人ずば抜けて歌のうまいメンバーがいることに気付いた。気になって調べてみると、そのメンバーは自分と同い年だった。なぜだか分からないが、その瞬間、彼女のことを好きになっていた。
それからはCDやDVDを購入したり、テレビ番組をチェックしたり、ファンレターを
サマージャム'15・上野
学生時代、上野をよく訪れた。20 歳の頃から秋葉原の地下アイドルの店で働き始めてから、店から上野駅まで歩くのが習慣づいたのだ。末広町と御徒町の静寂を抜けて、アメ横の活気が近づいてくるのはお祭り気分で愉快だった。
20〜22 歳のわたしは他人への興味が薄かった。街ゆく人の顔に目をやることがない。もともと街が好きだからなのか、他人を見ないから街を見るようになったのか、どちらが先かは分からない。と
二面性が強い街・中野
わたしが今住んでいる街には、大きな二面性が存在している。所狭しと並んだ居酒屋やガールズバー・キャバクラがひしめく北口と、マルイがそびえたっていて居酒屋は申し訳なさそうに駅前にちらほらとしかない閑静な南口。その大きな二面性に強くひかれたのかもしれない。
大学四年生になる少し前にメイドカフェのバイトを中野で始めた。バスで北口に降り立って、バイト先に向かう。来る客はサラリーマンや、どこで収入を得ている