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桜とおじさんの街・中目黒

中目黒に行ったことは思い出せても3回くらいしかない。大学生の時に住んでいた練馬区の街からは少し距離があったし、なにより中目黒に行く用事が何もなかった。

1回目は、当時三軒茶屋あたりに住んでいた彼氏と池尻大橋で待ち合わせをして目黒川の桜を見に行った時だ。目黒川が桜で有名なことは知っていたが、彼氏と桜を見に行った時はすでに散りかけていて、美しい桜でも褪せて見えていた時期だった。川沿いに宴会する人たちを横目に見ながら南下して、中目黒までたどり着いてしまった。「中目黒には初めて来たんだー」と言ってはしゃぐわたしをみながら、目黒川をバックにして彼氏に写真を撮ってもらった。その時は犬のお散歩をしていたおばあちゃんに話しかけられて久しぶりに犬に触ったことも覚えている。レモンサワーを片手にみる桜は、褪せていたけれど綺麗だった。

2回目は研修中に中目黒の現場があって駅前のビルの客先に行った時だ。現場同行を共にしていたおじさんには「中目黒って若者の土地でしょ?よく来たりするの?」と聞かれたけれど、わたしはうまく返答ができなかった。中目黒によく来るような人種であればこんな会社に就職していない、とも言いそうになったけど、ぐっとこらえて「まぁまぁですかね~」とかはぐらかした。イケてない若者と思われるのが嫌だったのだ。東京に来たからにはイケてる人間でありたいという意地が垣間見えて自分が最悪だと思う返答だ。

3回目は、友達に誘われて中目黒で開催されている小さい写真展に行った時だ。フリースペースのような場所で、写真も10点弱しか展示されていないようなものだったが、その写真展を主催していたおじさんとなぜか仲良くなりめちゃくちゃラインが来たりして最悪だった。

自分をよく見せたり綺麗にしたりイケてるようにふるまいたいけど、できない、真の綺麗さは自然だけが持っているような、わたしにとって中目黒とはそんな街だ。

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