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【将棋】藤井棋聖、タイトル初防衛を果たし最年少九段昇段のアンタッチャブルレコードを打ち立てる

【祝】藤井棋聖、防衛&九段昇段(最年少記録付き)

藤井棋聖が渡辺名人に3連勝して棋聖のタイトルを防衛し、王位・棋聖の二冠を堅持した。そしてまた、タイトル初防衛と九段昇段の最年少記録を塗り替えた。特に、九段昇段に至っては渡辺名人の持っていた記録を2年半以上も縮める18歳11ヶ月となり、棋界に史上初の10代九段棋士が誕生した。”九段”の称号に変わるのは、羽生九段のように何十年も先のことになるのだろうか。

藤井棋聖の強さの裏付け

個人的には18歳で九段昇段という記録は向こう100年は破られないアンタッチャブルレコードになると予想している。そう考える理由を示そう。最年少記録を作るには、何よりもまず速くプロ棋士になる必要がある。藤井棋聖は棋界最速の14歳2ヶ月でプロ棋士となったが、中学生でプロ棋士になったのは藤井棋聖を含めてわずか5名しかいない。ちなみに、棋聖戦対戦者の渡辺名人(15歳11ヶ月)はそのうちの一人でもある。

プロ棋士になれば棋界の頂点を目指して戦っていくことになるわけだが、通常ならタイトル戦に出場することすら至難だ。タイトル戦の予選を勝ち抜いて、本戦のベスト8くらいまで勝ち上がっていくとトッププロクラスとの連闘は避けられない。並の棋士ならばそこで跳ね返されてしまうが、藤井棋聖はこれを苦にしなかった。

藤井棋聖の強みは何といっても異次元の読みの速さにある。そのおかげで、短い時間でも形勢を損なう悪手を選ぶことが少なくなり、たとえ形勢が悪くても逆転につながる策や勝負手をたくさん考えることができる。詰将棋を解く速さも異次元なので、対戦相手側に即詰みがあれば討ち取って勝ちをものにする。将棋を指す人なら誰しもが欲しいこの能力だが、これがトッププロに通用するどころか、凌駕する程なのだから恐ろしい。

この異次元の読みの速さが29連勝デビューから続く快進撃を支えており、今や渡辺名人、豊島竜王、永瀬王座とともに「棋界四強」を形成するトッププロの一人になっている。具体的な数字で言うと、年間勝率が4年連続で8割を超える記録を更新し続けていることがその凄まじさを物語る(羽生九段でも通算3年がそれまでは最長)。前提として、最速プロデビューを可能にする圧倒的な強さがあったのだ。

最年少記録を後押しした棋戦の幸運

タイトル戦には1局が1日で決着する五番勝負の棋戦と、2日かけて行う七番勝負の棋戦が4つずつある。

二日制・七番勝負——名人戦、竜王戦、王位戦、王将戦
一日制・五番勝負——王座戦、棋聖戦、棋王戦、叡王戦

藤井棋聖が防衛し、タイトル2期保持となった棋聖戦は幸運にも3勝すると獲得できる。七番勝負のように二日制で4勝する必要がなかったことが今回の最年少記録を後押ししたと言ってもいいだろう。通算タイトル3期獲得(棋聖2期、王位1期)により、九段昇段を果たした。

これからは王位戦・叡王戦のスケジュールに少し余裕が生まれて、豊島竜王への対策に専念できるかもしれない。が、棋戦はこれらだけではない。次戦は3日後の名人戦・順位戦B級1組4回戦久保九段戦だ。全勝者が3人もいることから、藤井棋聖が名人に挑戦するため(のA級昇級)には残りの対局を全勝する勢いでいかないといけない。久保九段は振り飛車党なので、個人的には戦形は三間飛車の対抗形になるだろうと予想している。

まとめ

藤井棋聖の18歳11ヶ月での最年少九段昇段記録は異次元の読みの速さに裏付けられた圧倒的な強さが根本にあった。14歳2ヶ月という最速プロデビューからの4年連続年間勝率8割超の勝ちっぷり、そして短期間で決着する棋聖戦という棋戦の幸運が重なった結果実現したアンタッチャブルレコードと言えるだろう。果たしてこれを塗り替える将棋超人は今後現れるのだろうか……。

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