マガジンのカバー画像

薄楽句集

27
俳句をまとめています。
運営しているクリエイター

2022年11月の記事一覧

俳句 月と猫と酒と 5句

俳句 月と猫と酒と 5句

  月照らす唯我独尊猫五歳

  膝猫の指酒なめて十三夜

  戦いの春を待ちてや猫の伸び

  おぼろ夜の屋根ゆく猫と目があいて

  十五夜に猫をみにくるひとのあり

 いままでに飼った生き物は犬二匹、鳩一羽、チャボのつがい、ウサギの夫婦、屋根から落ちてきた雀、亀二匹、それに猫二匹。現在いるのは亀一匹。最初の猫は十年くらいで、弱ったかなぁ、と思ってたらいつのまにかいなくなっていました。つぎのは

もっとみる
俳句 垂乳根の妻(自由律)

俳句 垂乳根の妻(自由律)

モンローのように髪染めて歩く秋の街
君が見つけるまでぼくはひとりでタンゴを踊る
いくじなし。メール五文字のグッドバイ
綺麗な大根の群れ渡る昭和橋川は流れる
シンクに放置された食べ残しのメロンの虚無
秋の日曜の遅い朝食のバターの匂い。垂乳根の妻に二度目の恋
猫の家出や春夏秋冬三年目

ひとり連句(3) 【詩】ふたたびの初恋 とリンクしています。
#俳句連作

俳句 恋猫のあくび 8句

俳句 恋猫のあくび 8句

山萩の目に残りてや旅の宿
十六夜や義勇兵死すウクライナ
仁左衛門似合うジーンズ秋逢瀬
故あって猫の立ち寄る菊の庭
蓑虫やいろいろあって宙ぶらりん
貫乳の青磁に寂し冬に入る
妻のいぬ土曜のラジオ初しぐれ
恋猫のあくびや苔のむすぶまで
#俳句連作

俳句 寅さんの秋7句

俳句 寅さんの秋7句

 さみしさに紅葉踏み分け自撮りする
 巫女舞いの農婦もいたり曼珠沙華
 天高く肥ゆるアンナはロシア系
 さんざんなことばかりある案山子かな
 風天の肩をさがすや赤とんぼ
 寅さんをふと観たくなる月夜かな
 美千代にも見えて貴き薄の穂

「ひとり連句」(2)の拙句「映画ロケ寅さん紅葉踏み分けて」の派生です。
 
 ひとり連句というさびしいけどまあまあ愉しいお遊びしていたら、秋の畦道を例の格好である

もっとみる
俳句 春夏秋冬 12句

俳句 春夏秋冬 12句

春夏秋冬 12句

佐保姫やスカートに風立ちにけり
吊り橋をわざと揺らして四月馬鹿
行く春やしまった君に恋をする
青嵐女突然妖艶になる
ラムネ買う重信房子けふ出所
きよらかな岩水のごと夏尿瓶
台風圏なにゆえに読む『すみだ川』
職安をちょっと覗いて司書の秋
ここんとこ紅葉踏み分くばかりなり
冷え性や良薬はデュークエリントン
来ぬ人を来る人に変えオリオン座
さよならを切り出しかねてクリスマス
#俳句

もっとみる