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部下と何を共有するか

若くしてリーダーに登用されて、周囲のスタッフさんたちとも上手くコミュニケーションを図りながら拠点の業績拡大に大きく貢献して、更に広い範囲の担当を任されてそこでも同じように結果を出した元部下が新たなプロジェクトのリーダーに抜擢されました。

今までの延長上の事業とは少し様子が違うのと、これまで担当してきた地域でもないために、関係性もゼロから構築しなくてはなりません。

かと言って、新たなプロジェクトですからこれまで彼が率いてきたよりも少人数でのスタートなのでコミュニケーションはしっかり図られることだろうと傍観しておりました。

ところが、です。

しばらくすると、部下たちからの声が間接的に入ってきました。

「何を考えているのか分からない」
「日によって感情の浮き沈みが激しい」

元来そんなことを言われるヤツではなかったのに、と思いながら立ち話ついでに本人に最近の動向を訊いてみました。

そうすると、やはり部下たちとのコミュニケーションはそれほどできていないようで、数人の体制にもかかわらず、お昼も夜も飲食を共にするという機会もほとんど設けていないとのこと。

理由としては、大きなプロジェクトを任されているのでやはり焦りがあるとのこと。

その上で、「部下たちにもこの焦りは感じていて欲しい」という発言がありました。

ここで、今回のテーマとなるですが、リーダーの感じている焦りやプレッシャーや強迫観念は果たして部下と共有する必要があるのかどうか、ということについて。

注目されているプロジェクトではありますから、確かに結果を求められているということもあるでしょう。

そのために、何としてでも早く結果を出さないといけないという焦りが生じるのも分かります。

ただ、ここで重要なことは、結果を出すために目的を目指して皆で前向きな行動を起こしていくこと。

その行動の原動力になるのは何なのかということ。

チームの結束力というのも、その原動力のひとつだと思いますが、何をもって強いチームを築いていくかという視点も必要なのかもしれません。

人間関係は鏡です。

自分の殻を破らずに、何を考えているのか分からない上司から「大変だ大変だ」といくら焦りを伝えられても、部下から返ってくる反応はさめたものだと思います。

人が反応するのは、何を言ったかよりも、誰が言ったか。

興味のない人の正論よりも、好きな人からの無理なお願いの方が聞き遂げられるのです。

焦っていると、どうしても近道をしようとしてしまうかもしれませんが、コミュニケーションを密にして、自分の声をきちんと聴き遂げてもらえるようなチームを築くことの方が結果的には一番のショートカットになるのではないでしょうか。

個人的に師事している、イエローハットの創業者で現在は「日本を美しくする会」として活動をされている鍵山秀三郎さんが次のように述べられています。

ゆとりがないと、心の落ち着きがなくなります。いつも何かに追われているような気持ちになります。

ゆとりのない精神状態では、正しい判断ができません。また、突発的な問題に対しても冷静に対応できません。

結果、何もかもが悪いほうへ向かうようになります。ゆとりを持つためには、人に親切にすることです。そうすると自然とゆとりが身につくようになります。

鍵山秀三郎 凡事徹底「一日一話」より引用

繰り返しますが、関係性は鏡です。

部下に親切な上司に対しては、部下も親切に接してくれます。

そんな上司が焦っているな、プレッシャーをかけられているなと部下たちが気づいて共感してくれたら、「私たちも頑張って何としてでも結果を出さないと」とチーム一丸となって行動してくれるはずです。

こういう時こそ原点回帰。

若い時に、どういうところが共感・共鳴されてチームを率いてこられたのか、今こそもう一度その原点に立ち返る時なのではないかと親心ながら見守っております。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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