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自分の場所を振り返る良い機会

コロナ禍が始まって、こうして自ら情報を発信することが多くなり、新たな情報発信のプラットフォームを求めて始めたSNSがあります。

そのうちのひとつがビジネスに特化したSNSである「Linkedin」なのですが、これまでとはあきらかに違った要素がここにはあります。

フェイスブックのような、もともと知り合いとして繋がっている同士がネット上でも交流を図ることを目的としたものと違って、通常のブログやSNSなどはネット上での双方向のやり取りはあったとしても、これまで知らない人間同士がすぐに「会いましょう」「話しましょう」とはなかなかならないものです。

ところがこのビジネスSNSにおいては、用途や軸足がビジネスの方に寄っているからか、知らない人たちから積極的に声をかけられます。

もちろん中には旧態依然のままのくれくれ営業で、初めてのメッセージでつらつらと事業内容を綴った後に「この日とこの時間は空いていますか、会いましょう」といった下手くそ過ぎるナンパをしてくる担当者もいらっしゃいますが、あまり営業色を出さずに連絡をくださる方も多くいらっしゃいます。

なにかをプレゼンするにしても、まずはこちらの業界を知っておきたいと声をかけていただくというのは結構新鮮なもので、何名かとリモートでお話をさせていただきました。

そして、気づいたことは、その業界にいて当たり前だと思っていることは、意外と他の人たちは知らないのだなということ。

そして、私のいる介護業界において考えてみると、今後もっと多くの方々がサービスを利用されることとなるにもかかわらず、ちっとも啓蒙が出来ていないのだなという状況を実感することとなりました。

例えば、いくつかこんな話をさせていただきました。

超高齢社会において介護サービスがインフラ化しているということは、いずれ事業者は4社くらいに集約されていく傾向にあるという話。

石油会社もコンビニも携帯会社も、インフラ化する事業というのはどんどん大手数社に吸収合併されて集約していきます。

そして、これは集約されていく要因のひとつでもありますが、保険制度に基づいた事業だからこそ運営が上手くいかなくなることがあるという点。

例えば従業員の退職に伴って人員基準が守れなくなると、そこにお客様がいらしても他の従業員がいたとしても事業継続ができなくなります。

また、介護保険は3年に一度、医療保険は2年に一度、ダブルでは6年に一度の報酬改定があるため、事業構造上ある程度リスクを分散して複数のサービス展開をしておかないと、ある日を境に突然主力事業の報酬額が変更して、経営的に大打撃を受けることとなります。

そして、国が決めた報酬によって従業員に支払う給与額は決まっていくわけですから、そこをどのように保障していくかというのが各社の頭の悩ませどころです。

有資格者が多く採用できれば、体制的に報酬の加算要件を満たすことができたりするため、同じサービスを提供しても報酬を多くいただくことが制度上可能となっています。

そうすれば、従業員への処遇は更に手厚くできるわけですが、この対応が出来るところと出来ないところでも二極化が進んでいきます。

また、話が変わりますが、一般の人が介護サービスをあまり知る機会がない理由としては、介護事業者が営業アプローチをかける相手が一般の人たちではなく同じ業界にいるケアマネージャーやソーシャルワーカーであるということについて。

実際にサービスを利用されるお客様やご家族が、介護事業者を知ることになるのは下記のような流れからだと思います。

困ったことが発生したため、行政の介護関係の窓口や地域の包括支援センターに相談に行く。そして、そこからケアマネージャーのいる事業者のリストを渡されて、そこに連絡をする。

この時点で、もうほとんどの方向性が決まってしまいます。

どういうことかと言いますと、お客様やそのご家族の方に知識や情報がなければ、全ては依頼するケアマネージャーに頼ることとなります。

ということは、サービス提供をする事業者を決めるほとんどの基準は、お客様が選ばれたケアマネージャー次第になるということです。

これが、介護事業者が一般向けに営業活動や啓蒙活動をしない一番大きな理由となってしまっており、その結果として一般の方にまだまだ認知されていない理由でもあります。

働き手も高齢化して、年齢を理由とした離職は避けようがありません。ただ、採用したくとも国自体から若者は減ってしまっている実情もあります。

そうした中で、就業希望者からもお客様からも選んでいただくためには、どんなサービスをしているかの前に「なんのために」「どのようなことを大切にしている」企業なのかとその姿勢をもっともっと明らかにしていく必要があるなと、業界外部の方々と話す機会が持てたからこそ強く感じた次第でした。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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