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フォーエバー・マイヒーロー

「しょうがないな〜もう1枚ずつ作るよ!」

そうそう、そうこなくっちゃ。
いつまでも、ずっと、私のヒーローでいてよね。

半年ぶりに会う母は、想像以上に弱っていた。
ねえ、前は、一緒にスイスイ歩いてたじゃない。

なのに、今は。
気を抜くと、私の何メートルも後ろにいて。
エレベーターのボタンを押していて。
手すりがないと、掛け声がないと、立てなくて。

知らなかった。なんか、嫌だ。

だって、だって、ママは世界一最強なんだから。

どんな人にも、動物にも植物にも、優しくて。
いつだって、目の前でクシャッと笑いながら、
フワフワな身体いっぱいに受け止めてくれる。

ママがただのおばさんだと認めたくなかった。
年齢なんて、関係ないって言ってよ。

なのに、ねぇ、どうして私よりも後ろにいるの?

弱っているから、疲れているから、歳だから。
そんな理由で、態度を変えたくないんだよ。

いつもみたいにツッケンドンな態度でも許されて
ずっとずっと笑いたかったの。

❄︎ ❄︎ ❄︎

深夜3時。
実家の風呂場に小さな椅子を二つ並べて座り、
フワフワの羊毛達を笑いながら重ねていく。

1人では上手く出来なくて、最後に頼るのはママ。
夜中まで一緒に座って、結局8枚も作ってくれた。

黄色、ピンク、オレンジ、水色、たまに緑。
石鹸とお湯を混ぜながら、優しく撫でて固める。

優しく、まあるく、重ね合わせた羊毛達は、
私の前へも後ろへも進めないこの気持ちを、
大丈夫だよって、抱きしめてくれたみたいで。

小学生の自由研究、高校の体育祭の旗や、模型。

文句言いながらも、ニコニコ手伝ってくれる
ママの横顔はあの時からずっと変わっていない。
やっぱり、私の一番のヒーローなんだから。

だから、私は、無闇に気遣ったりなんかしない。

おばあちゃんになっても、目一杯頼るだろうし、
ずっと隣で可愛い作品を生み出していきたいの。

だから、長生きしてよね。約束だよ。

次の作品で使うフェルト達。
いつだって、クリエイションの源は、ヒーローのママ。

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