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民の口を防ぐは、水を防ぐよりも甚だし(史記)

 

「民の口を防ぐは、水を防ぐよりも甚だし」

(民衆の口を封じ、言論を抑圧することは、川の流れを堰き止めるよりも危険である)

周王朝は建国以来、徳治を基本方針として隆盛を誇っていましたが、数代を経て次第に衰退するようになり、重い刑罰や武力に頼るようになります。

周王朝10代目の王である厲王(れいおう)の代になり、この傾向はますます強くなり、国中から批判の声が高まるようになりました。

賢臣である召公(しょうこう)という補佐役が厲王に民衆の動向を伝えて反省を促すも、厲王は諫言に耳を傾けるどころか「国王の悪口を言う者がいるとはけしからん」と徹底して言論弾圧に乗り出しました。

その効果はてきめんで、人々は道で知り合いに会っても口もきかないような状態となり、その様子を知った厲王は「わしの力もたいしたものだ。誰も文句を言わなくなった」と得意になって召公に話します。

そんな厲王に対して召公が「民の口を防ぐは、水を防ぐよりも甚だし」という言葉で諫めました。

趣旨は、「川の流れを堰き止めれば、いつかは堤防が決壊して水害が起きます。民衆の言論を弾圧するのはこれと同じこと。封じ込めればきっといつかは暴動が起きます。水をうまく流してやるのが治水の要点であるように、政治の要点は民衆に自由にさまざまな発言をさせることであり、そうした民衆の意見を参考にして政治を行うことで世が治まるものです。」という内容です。

けれども、厲王はそんな諫言は無視し、言論弾圧政策を続けた結果、その数年後、民衆の不満が爆発し反乱が起き、厲王は国外に逃れなければならない状況に陥りました。

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超がつくほどのワンマン社長や高圧的な管理職で、社員、部下の声に全く耳を傾けることのない人がたまにいます。

厲王と同じように、不満をもらしたり、自分を批判する者は許すことができず、ますます強権をふるうことでそうした声を封殺してしまおうという訳です。本人は自分に立てつく存在がいなくなれば気分は良いのでしょう。

ですが、その結果はどうでしょう。

社員から前向きな意見が全く上がることはなく、士気も低く、仕事に創意工夫も進歩もなく、目標も未達、変化に対応することもできず、業績は悪くなる一方。有能な人間から会社を去り、採用を繰り返しても残る人間は仕事のできない茶坊主ばかり。そんな会社の将来はいずれ暗いものになります。

昨今もてはやされている心理的安全性という考え方が提唱されたのはわずか20年ほど前のこと。

紀元前900年前にすでにそうした考えはありましたから、歴史を学ぶことは大きな意味があるなとよく思います。(中国共産党は本当に中国人なのか?とも思います)

最後までお読みいただきありがとうございます。

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