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鑑賞記録

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ごんが投稿した映画等の鑑賞記録
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#映画

《リコリス・ピザ》鑑賞記録

《リコリス・ピザ》鑑賞記録

わたしはアラサー女がしんどい映画を観ると、たいていポスターか男性主役にモヤっているふしがあります。リコリス・ピザに関してはどっちもでした。

まず、イラスト版ポスター。映画鑑賞してすぐにやってきた感情は「この出会いは運命」ってなんなん???という困惑でした。

「互いを互いに補欠第一候補としてくっつきかけたり離れたりを繰り返せる関係」を運命と呼ぶのであれば、運命=惰性のなれの果て、ってことなのでし

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《戦争と女の顔》鑑賞記録

《戦争と女の顔》鑑賞記録

先日読んだマンガ版『戦争は女の顔をしていない』で衝撃を受け、本屋大賞を受賞した『同志少女よ敵を撃て』も読了していたので、関連あるかはさておき観ることにしました。

2020年代の映画とは思えない間の取り方

登場人物が視線を交わしてさあどちらが動く?ってシーンが沢山あって、これは映画館じゃなかったら耐えられずスキップと巻き戻しを乱用していたと思います。車の中のシーンとか、イーヤが服を脱ぐところとか

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映画『愛なのに』鑑賞記録

映画『愛なのに』鑑賞記録

私は映画『愛なのに』で1年分の「気持ち悪い」を使い果たした気がします。

鑑賞中は映画館から逃げ出さなかったのが奇跡なくらい気持ち悪さに耐え、人に映画の感想を語る時は「みんな違ってみんなキモい(読み人知らず)」を引用していかに気持ち悪いかを伝えまくりました。

しかし、その気持ち悪さ語りをここではあえて行わず、『愛なのに』好きなところと気持ち悪くなかったところの話をしようと思います。

好きなとこ

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続・佐藤の「普通」とかおりの「普通」

続・佐藤の「普通」とかおりの「普通」

前回のnoteで「普通」について書いた後、肝心なことの抜け落ちに気づいてしまいました。

原作は初回版を買って読んでいたはずなのに、なんで今まで見落としていたのでしょう。

佐藤がかおりの「普通」を観測したのって、偶然の対面でもなく、Twitterでもなく、Facebookのみだということに。

夜の街とSNS作品に登場する夜の街(ゴールデン街)もSNS(Facebook)も虚構の自分を楽しむ世界

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佐藤の「普通」とかおりの「普通」

佐藤の「普通」とかおりの「普通」

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』では、原作よりも「普通」というワードが強めに出ている気がします。

私は以前話題になった映画『花束みたいな恋をした』で「麦と絹は「好きな物の名称ビンゴ」が成立してただけで価値観の違う2人だった」と思っている派なので、『ボクたちはみんな大人になれなかった』における佐藤(=ボク)とかおりの「普通」に対する価値観にも注目してみました。

【仮説】「普通」への価値

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あなたにとっての「ボクたちはみんな大人に〇〇〇」はなんですか?

あなたにとっての「ボクたちはみんな大人に〇〇〇」はなんですか?

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』の最後、打ち込まれたタイトルの「なれなかった」が消されました。

原作も映画も「鑑賞者が観た後に自分の人生と絡めて話をしたくなる」人が多くなるらしいので、きっと鑑賞者100人集めたら答えが100通りあるんじゃないでしょうか。

私にとっての答えは「なったね」です。そして本来のタイトルの「なれなかった」は、大人になった主人公が過去を振り返った時に、「あの時の

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映画《ひらいて》鑑賞記録

映画《ひらいて》鑑賞記録

映画の最後は主題歌の「サイアク」という歌詞で終わる。それはこっちのセリフだよ。

定期的にnoteで綿矢りさ作品のこと話しているくらい好きで、かつ映画《勝手にふるえてろ》にとらわれてる自分と折り合いを早くつけたいから、予告動画から発せられる嫌な予感をなかったことにして映画館に行った。

よかったところはもちろんあった。美雪役の芋生悠さんの演技に出会えたことは嬉しかった。芋生さんの世慣れしてない女子

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メアリーとエリザベス比較から見る幸せ観

メアリーとエリザベス比較から見る幸せ観

映画『2人の女王』で、メアリー・スチュアートとエリザベス1世の違いを「“女の幸せ”への欲に勝てたかどうか」で表現してたのが面白かった話。(以下、ネタバレというか史実を含みます。)

metooやらkutooやらが流行って「女でも1人で生きていける」「男に負けない」が説かれる現代だって、いわゆる女の幸せを当たり前に欲するのは本能かもしれない。7つの大罪の、色欲の部分。

映画の中ではどうしても妻

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選ばないことを選んだので、

選ばないことを選んだので、

元日。1日だから映画館のファーストデー。
会員費払うよりも安い日=映画の日って縛ったほうが
「映画館行く行く詐欺」を防げる事に気づいたので
年始だろうと今日も1時間かけて映画館へ。

どこも休みでディストピアじみた街に繰り出して、
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を鑑賞。
すずに向かって義姉の言う、義姉は自分で選んで不幸にあった人、すずは流されて不幸になった人(意訳)って解釈に対して脳に言

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《燃ゆる女の肖像》鑑賞記録

いろんな方が推薦してる《燃ゆる女の肖像》をやっと観てきた。

メアリー•カサット《桟敷席》みたい作品全体に見られる視線のやりとり、「見る•見られる」の関係、ラストの劇場のシーンがまさにカサットの《桟敷席にて》だと思った。

《燃ゆる女の肖像》映画評に必ず出てくると言ってもいいこの「視線」というキーワード。

マリアンヌは仕事のためにエロイーズを盗み見してる時、エロイーズもまたマリアンヌの目をかいく

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『花束みたいな恋をした』鑑賞記録

『花束みたいな恋をした』鑑賞記録

同じものを好き=価値観は同じ、と感じるのは恋愛マジックのおかげなのだろう。でも、そのマジックの舞台上に上がれる人間だけが恋愛を楽しめるのではないだろうか。

『花束みたいな恋をした』には沢山の固有名詞が出てくる。それらは物語の主人公となるカップル、麦くんと絹ちゃんがお互いに好きなもので、それらを一緒に鑑賞したり話し合ったりするシーンが多く登場する。

麦くんと絹ちゃんは同じカルチャーが好きで、労働

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《ジャッリカットゥ》鑑賞記録

《ジャッリカットゥ》鑑賞記録

※このnoteには盛大なネタバレを含みます

徒歩版マッドマックスなんてキャッチーなワードに惹かれて久々に映画館に行ったら、中身は全然キャッチーじゃなくて、土着キリスト教とアジア音楽好きな女に刺さりすぎる作品だった。

黙示録に始まり黙示録に終わるインドは1つじゃない、1つの国に収まってるのが奇跡みたいな多様性の集合体だ、ってのは何度も学んでいるはずなのに偏見がなかなか抜けない。

だから作品の始

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