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映画《ひらいて》鑑賞記録

映画の最後は主題歌の「サイアク」という歌詞で終わる。それはこっちのセリフだよ。

定期的にnoteで綿矢りさ作品のこと話しているくらい好きで、かつ映画《勝手にふるえてろ》にとらわれてる自分と折り合いを早くつけたいから、予告動画から発せられる嫌な予感をなかったことにして映画館に行った。

よかったところはもちろんあった。美雪役の芋生悠さんの演技に出会えたことは嬉しかった。芋生さんの世慣れしてない女子高生役、映画の主要キャストとして存在感を出しつつ、ほんとにああいう子いるっていう表現の絶妙な塩梅がよかった。特に愛と2人でカラオケ行った時の慣れてないしそんなに歌上手くない感じが最高。

とはいえ、綿矢りさ作品のいわゆる暴力的感情をメンヘラ的に扱われたところ、視聴者サービスするくせに主人公と鑑賞者の距離をとった仕上がりにしたところは個人的にしんどかった。

まずそもそも、綿矢りさの作品って、単にメンヘラ共感系あるあるを書いたものじゃないでしょ? 絶妙な比喩と主観描写で読者に「これは私の物語だ」って思わせるところが綿矢りさ作品の魅力だと思っているので、映画が病みカワにカテゴライズされるようなコンテンツになってたのに絶望した。ダンスと性行にそこそこ時間とったの、ほんとに必要でしたか?

そして、小説で文字化されてる主人公の主観を荒れてく部屋とか視線とか空気感で出すのは表現の限界あったんじゃないかな?それはさすがに伝わらなくない?みたいなのが所々あったので、無理せず主人公の心理描写は言葉にしてほしかったな。

でもたぶん、映画《ひらいて》は映画《勝手にふるえてろ》をラブコメとして享受した人には楽しい作品だったんだろうな。おそらくこれは綿矢りさ作品が刺さりすぎた人間にとってはアトロク的「解像度・高杉晋作」案件なので、私に刺さらないどころか地雷だったのは仕方がない。

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