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僕色百景

100
とりあえずやる気と勢いだけで100日継続して綴った風景です。
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2020年12月の記事一覧

第六十七景 マッチングアプリ大戦記 episode11-1

第六十七景 マッチングアプリ大戦記 episode11-1

「11人目 Nさん アラサー 仲里依紗似」

10人目の人とやり取りをしている間の約3ヶ月間は他の人とはやり取りしていなかった。その後、コロナ流行もあり、一旦休止していたが、6月くらいになって再開して初めて会った人。

メッセージ交換や電話の中でマーベルが好きという話が出たので、マーベルには全く興味が無かったが、MCU作品を公開順に視聴しようとした。健気なもので、アマプラやディズニープラスの両方に

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第六十六景

第六十六景

世界が一変した夜から数日後の夜、包丁を持ち、街灯が照らす道と、その明かりから外れた真っ暗な道を交互に歩いていた。存在する全てのものから身を隠したかったし、この世界にまだ留まりたいとも思っていた。梅雨が明けたのか明けていないのかも、よく分からなかったが、じめじめとした空気が漂っている。あてもなくふらふらと歩いていると、他人の住宅の前に差し掛かり、この中にはどんな世界があるのだろうと通り過ぎる。前方に

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第六十五景

第六十五景

鉛色の空に飽きた僕達は、隣の県に向かうための車の中にいた。相変わらずぼこぼこの道は、ハンドルを取られ運転することが難儀だ。無事にたどり着けるのか不安な気持ちになりながら、トロトロ走るトラックの後ろを30分は、追走している。途中で買ったブラックコーヒーを飲みながら、暖房で暑くなった車内の空気を入れ替えるため、ウインドウを下げた。外からは、湿った冷たい空気が入り込んできて、気持ちをしゃきっとさせる。ト

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第六十四景

第六十四景

最近悩んでいることがある。それは僕色百景の景に続くサブタイトルの「〜の話」という部分がなかなか決められないということだ。

そもそも僕色百景の由来は僕の目を通って頭に入ってきた景色、これから見る景色を100個集めて書いてみようと思って始めたもので、又吉直樹さんの東京百景のオマージュである。

ちなみに各話の写真は、僕がiPhoneで撮ったものだ。今のところ、オール自分で撮った写真で、その話と連動し

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第六十三景

第六十三景

化粧水を手に取って、それを塗ろうと顔に近づけた。指の先から石鹸の匂いに混じって懐かしい匂いが、鼻の中を通っていき、頭の中にある情景が浮かんできた。

忘れていたことを思い出し、冷蔵庫から、にんにくの欠片を手に取り、薄皮を剥いている。つるんと白い表面が見えたところで、それをまな板の上に置き、薄くスライスして、更に長細く切って、みじん切りにした。

熱したフライパンの隣では、沸騰したお湯が鍋の中でぶく

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第六十二景

第六十二景

何かが起きる訳でもない、自分の人生の中に楽しみを持とうとして始めたことの一つに飲み歩きというものがある。住んでいるところが最寄りの駅から車で10分ほどのところにあり、タクシーも11時を過ぎれば動いていないという田舎ならではの事情で、今まではハードルが高かった。

なぜそれを思いついたのかと言われると、よく分からない。酒の力を借りて、嫌な事を忘れようと思ったのかもしれない。そんな訳で新潟市の古町地域

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第六十一景 マッチングアプリ大戦記 episode10-5

第六十一景 マッチングアプリ大戦記 episode10-5

アパートに彼女を送り届けたら、そのまま帰ろうと思ったが、名残り惜しくまた部屋に入ってしまった。おそらく好きになっていたのだろう。

彼女を後ろから包み込むように、足の中に入ってもらい、野球のアニメを見た。その逆に彼女の膝に頭を乗っけて、「帰りたくないよう」といじけるようなこともした。隙を見つけてはキスをした。

時間が過ぎるのはあっという間だった。これから3時間かけて、家まで帰らなくてはいけない。

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第六十景 マッチングアプリ大戦記 episode10-4

第六十景 マッチングアプリ大戦記 episode10-4

朝の支度をし、朝食は食べずに車の停めてある隣の駅まで電車で向かった。コインパーキングに停めた車に乗り込み、山形への一泊旅行がスタートした。車の話になった。僕は燃費が良ければそれで良いし、自動車税もあまり払いたくないので、軽に乗っている。しかし彼女のイメージ的には僕はマツダのデミオらしい。

運転している僕を気遣い、ナビがついているのにも関わらず、自身のスマホの地図アプリでエスコートしてくれた。寝る

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第五十九景 マッチングアプリ大戦記 episode10-3

第五十九景 マッチングアプリ大戦記 episode10-3

次は温泉旅行に行くことになった。なにかと旅行に誘いたがるのは、僕の趣味だ。1ヶ月くらい間が空いていた。蔵王温泉へ行くことになり、初めて行く場所だったのでとても楽しみだった。

出発の前日の夜に、彼女の家に泊まり、翌朝一緒に山形県へ向かうことになった。自宅から出る日の朝は、寒かった。時間が有り余っていたので、山形回りで福島へ向かった。

途中、お肉が有名なお店に寄った。焼肉定食を食べたのだが、とても

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第五十八景 マッチングアプリ大戦記 episode10-2

第五十八景 マッチングアプリ大戦記 episode10-2

2回目のアポの日時が決まるまで、頻繁に電話をした。日が変わるまですることもあり、本当に楽しかった。主に聞いたのは、その日の仕事の愚痴だった。職場に対して思うところがあるらしく、常に不満を漏らしていた。

週末は友達と飲む予定が多く、なかなか日時が決まらなかったが、今度はこっちまで来てくれることになった。またも泊りで飲み歩くことになった。

高速バスのバス停で彼女が来るのを待った。よく晴れた冬の寒い

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第五十七景 マッチングアプリ大戦記 episode9?10-1

第五十七景 マッチングアプリ大戦記 episode9?10-1

「9人目 ?さん アラサー ?似」

諸事情により、割愛させていただきます。

「10人目 Mさん アラサー ?似」

この人は以前のこの話に出てきた人。いいねを送ってから、かなり時間が経って、マッチングしたような気がする。こっちが送ったメッセージの2分の1くらいしか返って来なくて、かなり手こずったけど、粘り強くアポに繋げた。

メッセージ交換も慣れてくるもので、相手の写真や自己紹介文を軽くいじる

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第五十六景 マッチングアプリ大戦記 episode8

第五十六景 マッチングアプリ大戦記 episode8

「8人目 Mさん アラサー ?似」

なんとこの人は、いいね500over だった。だからと言って、めちゃくちゃ美人という訳ではなく、ごく普通の人だった。ちょっと目が細い。そして同じバツイチだった。

数日は順調にやり取りをしていたが、いきなり放置されて、そのまた数日後に、相手から予定を合わせられそうとの連絡がきた。ほぼ年末だった。僕は長野県の上田市まで行くことにした。

上田には雰囲気の良いブッ

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第五十五景 生きている意味を考える話

第五十五景 生きている意味を考える話

何かに縛られていないと、生きている意味があるように感じられない時がある。誰かといた方が、自分が存在しているということを実感しやすい。誰かと一緒にいるときは、相手に応えるためにあれこれと考えている。それが生きているという実感に、繋がるのかもしれない。

パートナーがいなくなってから、なんとか自分の中で楽しみを作ってきたけれど、生きていても意味がないのではないのかと、徐々に考えるようになってきた。それ

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第五十四景 マッチングアプリ大戦記 episode7

第五十四景 マッチングアプリ大戦記 episode7

「7人目 Sさん ミドサー ?似」

これは去年の今頃の話。お隣の県の人で、よく分からないけどマッチングした人。この時の基準はよく覚えていないけど、正面の笑った顔が素敵だった。

難なく1回目のランチアポに誘い出すが、2日前にキャンセルを食らう。当然予約していたし、おいしいものを食べたい気分だったので、ひとりで予約した店に突撃した。

長野の善光寺の近くにある、HAKKO MONZENという、山之

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