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記事一覧

ランダル・レイ「政府が”お金を刷れる”なら、なぜ借入をする必要があるの?」(2024年5月)

ランダル・レイ「政府が”お金を刷れる”なら、なぜ借入をする必要があるの?」(2024年5月)

「政府が”お金を刷れる”なら、なぜ借入をする必要があるの?」

MMTのドキュメンタリー映画で、バイデン政権のバーンスタイン経済諮問委員長がこの質問をされて回答に窮するシーンがSNSで話題になった。

これについてランダル・レイは、一個人の理解の問題ではなく、そもそも「通貨を発行する政府がなぜ国債を発行するのか」という疑問の根底にある金融オペレーションに関心を持つ人はほどんどいないだろうとコメント

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石橋湛山「真の健全財政」:二種類のインフレと完全雇用

石橋湛山「真の健全財政」:二種類のインフレと完全雇用

「石橋財政」で知られる石橋湛山は、「機能的財政」に通じる考え方を持っていた。またここで言われている「インフレ」についても異なる原因があり、対処法も画一的なものではないと理解していた。そして財政政策の真の目標は完全雇用であり、それこそが「真の健全財政」であると強調し、公的雇用の提供を重視した。以上のことは引用元の文章を探ってみると明らかである。

上記に引用されている石橋湛山の演説のソースを遡ると、

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【MMT×中国】"中国経済崩壊論 "の誤りを暴く①(ヤン・リアン ウィラメット大学教授、 2023年11月21日)

【MMT×中国】"中国経済崩壊論 "の誤りを暴く①(ヤン・リアン ウィラメット大学教授、 2023年11月21日)

 11月21日、梁燕(ヤン・リアン)ウィラメット大学(米国オレゴン州)経済学主任教授は、中国の学術誌『中国社会科学報』に、「"中国経済崩壊論 "の誤りを暴く」と題して寄稿しているところ、冒頭部分を下記のとおり紹介する。(続きは別途投稿する。全4回予定。原文リンク(中国語):揭穿“中国经济终结论”)

 リアン教授は、MMT学派の経済学者で、専門は国際貿易・金融、金融マクロ経済学、(中国を中心とした

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1855年のMMT。カール・ディーツェル。

1855年のMMT。カール・ディーツェル。

あまりの衝撃。
世間に紹介、Wikipedia執筆を猛烈にしたくなった。
2人の人物を紹介したくて。

ドイツ財政学のパイオニアの一人、カール・ディーツェル。
ドイツ財政学、ディーツェルなどを紹介してきた池田浩太郎氏。

ディーツェル(1855)がMMTの源流?1855年、明治維新より前。
ドイツ財政学のパイオニア、カール・ディーツェル(Karl August Dietzel)の代表作。
この中で

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Reclaiming the State(Mitchell and Fazi, 2017)の和訳 その1

こんにちは. ヘッドホンです. 今回から題名に挙げられた本の和訳試案を, 上げていきます. 今回は「Conclusion: Back to the State」の部分です. https://www.jstor.org/stable/j.ctt1v2xvvp から本の情報を得られます.

結論:国家に帰れ

読者がここまで読んできて推測しているように, 我々がこの本の第2部で概説してきたことは, 「

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【小ネタ】通貨発行益は額面ー製造コストではないよというお話

【小ネタ】通貨発行益は額面ー製造コストではないよというお話

川波洋一・上川孝夫[編]『現代金融論』[新版] (有菱閣ブックス, 2016年)の第5章 管理通貨制と中央銀行(近廣昌志)より引用。

管理通貨制のもとでの銀行券は不換銀行券であるために、紙切れと銀行券の額面との間に価値の乖離が生じるとして、その差額を貨幣発行益(シニョリッジ)と定義する論者もみられるがそれは誤謬である。 額面と製造コストを貨幣発行益と認識できるのは本位貨幣制度のもとで金属貨幣や政

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Modern Monetary Theoryの語り方

MMT(現代貨幣理論または現代金融理論)についての投稿を, 明示的に扱うのは久しぶりなように思われる. 従って, 今回の記事では, Wray, L. Randall(2015), Modern Monetary Theory; A Primer on Macroeconomics for Sovereign Monetary Systems 2nd edition, Basingstoke : P

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ロマンティックMMT−25: マルクス-MMT⑦ 経済学批判2020への序説(3/n マルクスの弁証法=パスカルの怒り)

ロマンティックMMT−25: マルクス-MMT⑦ 経済学批判2020への序説(3/n マルクスの弁証法=パスカルの怒り)

 ① 簡単!表券主義
 ② アンケート「資本主義って何ですか?」
 ③資本主義って何だろう
 ④資本論は救いの書?
 ⑤経済学批判2020への序説(1/n)
 ⑥経済学批判2020への序説(2/n ロマン主義の継承者)

新説?!マルクス=ゲーテ=パスカル 今回書きたいことは、マルクスやMMTによる哲学批判および経済学批判は、ゲーテによるニュートン批判やパスカルのデカルト批判と同じもの!という話に

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