マガジン

  • マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に

    よろしければ第一回からご覧ください

  • MMT「税がマネーを動かす」ビューの論理、を読む

    マガジン「資本論-ヘーゲル-MMTを三位一体で語る」の、サブマガジンとして、 レイ『現代マネーを理解する:完全雇用と物価安定への鍵』(Understanding Modern Money: The Key to Full Employment and Price Stability)2006年版における、第七章「税がマネーを動かす」ビューの論理(The Logic of Taxes-Drive-Money View )を翻訳、解題します。

  • 新しいMMT入門

    まったく新しいアプローチによるMMT入門シリーズです

  • 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語る

    「資本論を nyun とちゃんと読む」の二大メインコンテンツの片側にしてライフワーク?

  • 人びとのためのMMT、第0部:ロマンティックMMT

最近の記事

「貨幣」概念に問題あり?という話(番外編)-不毛な論争のメカニズム

 「新しいMMT裏入門」番外編です。  (序論、第一回、第二回、第三回)  同時に「マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に」の第七回も兼ねましょう。    まあ、よかったらとにかく話を聞いてみてください。  ちょっとは意味があることが書けそうな気がします。    早速ですが、最近のワタクシが世に訴えたいのは次のようなことなんです。 「力」概念を参考にして「マネー」を捉えなおす  マネーの貸し借りは、傘や消しゴムなどの貸し借りと似ているところもあるけれど、

    • 「貨幣」概念に問題あり?という話(中)-MMT的定義

      「新しいMMT裏入門」本編第三回。(序論、第一回、第二回)  同時に「マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に」の第六回も兼ねましょう。  予告した18世紀の力学における「力」概念と、現在のわたしたちの「マネー」概念の類似を語るその前に、今回はわたしたち自身の概念上の混乱を確認しておこうと思います。 ”fiat money” は「不換紙幣」? 概念の混乱がはっきり表れているものとして、英語で言う ”fiat money” を採り上げます。  この概念、M

      • 「貨幣」概念に問題あり?という話(前)

        「新しいMMT裏入門」本編第二回。(序論、第一回)  同時に「マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に」の第五回も兼ねましょう。  しかし、ごめんなさい!  第一回の続き(ロビンソン犬の物語)を書き進めたいのですが、そこで書きかけたこと(マネーをプロセスとして把握する試み)の「前に」語っておいた方が良いであろう話を見つけてしまったのでその話をします \(^o^)/  つまり「マネー」あるいは「貨幣」の概念を実際に把握しなおすその前に、把握し直すという操作

        • 「貨幣」を捉えなおす(ジンメルやカッシーラー風味)

           さあ「新しいMMT裏入門」本編の始まりです。(序論はこちら)  同時に「マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に」の第四回も兼ねましょう。  序論での分析で明らかになったのは、ドイツ人がヤップ島でしたことは「モズラーの名刺」と同型と見做せるということですね。  ドイツ人がフェイに「✖印を付ける」ことが課税であり、住民たちはそれによって失われた「何か」を「道路を整備する仕事」によって取り戻すことができ、結果として道路は整備されました。  約束通り「✖印を消

        「貨幣」概念に問題あり?という話(番外編)-不毛な論争のメカニズム

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        • マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に
          6本
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          7本
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        記事

          「新しい裏MMT入門」序論:MMTを貨幣論から攻略すると?

           思うところがありまして、「新しいMMT入門」と並行して「新しいMMT裏入門」というのをやってみようと思います!  なぜなら「新しいMMT入門」は意図があって、「貨幣(マネー)」概念に頼らずにMMTを記述するっていう方針を打ち出していたのでした。  一方で、「マネーストック」「マネタリーベース」などの貨幣論は関心が高いのだということを感じずにもいられませんし、知りたい人の圧を感じもします(笑  また、敗戦から現在に至るマネー面から見た日本の歴史、すなわち、高度成長、オイ

          「新しい裏MMT入門」序論:MMTを貨幣論から攻略すると?

          宗教としてのマネタリーベース・マネーストック

          「新しいMMT入門」の第15回。  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第49回。  前回は諸星たおさんの文章の一部分析しました。  その後ご本人と短いやり取りがあったのでリンクしておきます。  金ぴかの発売は 2019/8/30で、コロナ上陸が 2020年の一月、このムックの発売は 2020/5/15 という時系列ですか。  日本MMTウオッチャーの第一人者としてぼくが2019年以来やってきたことは、振り返れば、そうした諸「日本語におけるMMT関連エクリチュ

          宗教としてのマネタリーベース・マネーストック

          MMTの論理構造をテクスト分析によって明らかにしてみる

          「新しいMMT入門」の第14回。  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第48回ということで。  流れに任せて書きなぐっていたら、前回はキリスト教神学の話になっていました。  そういえばマイケル・ハドソンがどうして聖書研究を一生懸命やっているのかが最初ピンとこなかったのですが、今はよくわかります。  初回に書いたことですが、もともとは「日本でMMTを考えるにあたってはアメリカを無視できない、だから1950年代にFRBが財務省からの独立を手にしたアコードあたりか

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          エンゲルスに学ぶ「異端の学」とMMT

          今回は「新しいMMT入門」の第13回、  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第47回ということで。  ぼくが熱力学とMMTおよびマルクスの類似を真剣に考えるようになったのはごく最近のこと。  そのあとで、熱力学の巨星であったクラペイロン(1799-1864)やクラウジウス(1822-1888)やマクスウエル(1831-1879)らは、マルクス(1818-1883)と同時代の人であることに気づく。 エンゲルスで考えるMMTと熱力学エンゲルスの熱力学論  蒸気

          エンゲルスに学ぶ「異端の学」とMMT

          松尾匡さん理論を完全解剖する

          今回は「新しいMMT入門」の第12回、  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第46回という感覚でお送りします。  実は松尾匡さんの『「はだかの王様」の経済学』という本をごく最近(というか今日)手に取ったのです。(Amazon)  おまえ松尾さん研究したんじゃないのか?という声が聞こえますが、ええ、まあ、ぼくはついつい論文や学術書を優先してしまい、彼が間違えていることを理解するためにはそれで十分だったので、一般向けの書籍は敬遠してしまっていたというわけ。  思

          松尾匡さん理論を完全解剖する

          MMT=マルクス理論(大石予想)を論証する

          「新しいMMT入門」の第11回!  思い付きで始めたこの「入門」でしたが、方向性がなんとなく定まってきました。  実は youtube でも語ったのですが、そもそものぼくの関心はこんな感じ。  ここ数回(第8回以降)は、たまたまモズラーの呟きを見たことに端を発して「 Drag による仕事の取り出し」というイメージでまとめてきたわけですが、それはこのうちの「物理学的」「熱力学的」な面白さの追求だったことになります。  そして、やってみたら、この過程で深い気付きを得た

          MMT=マルクス理論(大石予想)を論証する

          ジョブギャランティの意味を物理の方法で考える

          「新しいMMT入門」の第10回!  この入門の戦略は、MMTの見通しをよくするために「貨幣」に注目するのではなく、操作、オペレーションに注目することを方針を採っていたのでした。  直近の二回(第8回、第9回)は「王(統治者)が人々から仕事を取り出す」というオペレーションを、モズラーによる二つの比喩を使って図解することを試みました。  まず第8回ではモズラーの a runner の比喩を採用しました。  つまり民間経済の全体を、自ら頭にビニール袋を被った一人のランナーに見

          ジョブギャランティの意味を物理の方法で考える

          MMTにおける「税がマネーを動かす」ビューの論理(レイ本の第7章)VII

           レイ『現代マネーを理解する:完全雇用と物価安定への鍵』(Understanding Modern Money: The Key to Full Employment and Price Stability)2006年版における、第七章「税がマネーを動かす」ビューの論理(The Logic of Taxes-Drive-Money View )の個所のゲリラ訳と解題、その七回目。  この話だけのマガジンとしてもまとめています↓  ここまでのあらすじですが 第一回ではこの

          MMTにおける「税がマネーを動かす」ビューの論理(レイ本の第7章)VII

          「モズラーの名刺」のまともな解釈

          「新しいMMT入門」の第9回!  ここまでいろいろ書きながら自分の思考をまとめてきた感じでしたが、ようやく理論的な最終形のイメージができてきました。  もったいぶらずに、それを先に示しておきましょう。  それはマクロ的(巨視的)な描像とミクロ的(描像)の二つから成り、この二つは相似の関係にあります。  経済学者または経済学アタマの人たちは、よく「マクロではミクロの常識と反対になる」といいますが、ええ、経済学者の言うことのなので、それが間違いだと思っておきましょう。

          「モズラーの名刺」のまともな解釈

          モズラーの「逆リヴァイアサン」、もしくはMMTの全貌的イメージ

           「新しいMMT入門」の第8回!  さっそくですが、こんな動画が出ました!  ここ note とはアプローチが違うのですが、今後も動画と連動していろいろできたらいいなと思っています。  ぼくが退出した後の一コマ。    初めての経験でしたが、どうやら楽しんでいただけたようでうれしさいっぱいです\(^o^)/  上の動画でもすこししゃべっているのですが、2019年、日本にMMTが本格的に流入してきたとき、「国債をいくらでも発行できる理論だ」と解釈する人が続出して、ぼく(

          モズラーの「逆リヴァイアサン」、もしくはMMTの全貌的イメージ

          交換と「王の支出」を考える

           「新しいMMT入門」の第七回!  前回は下の「本質的な7種のオペレーション」を提示しました。  ところで科学とは、少ない原理と事実によって多くの事実や事象を説明する営みなのでした。  そこで今回は、これらのオペレーションに先立つ原理を深く考えていくことにします。  王は通貨で民衆に支出して、通貨を徴税する。  そのことは王は通貨が流通することを知っていることを意味します。 通貨が流通するとはどういうことか?交換と「補償原理」  通貨が流通するとはどういうことか

          交換と「王の支出」を考える

          ここから始める!MMT

          「新しいMMT入門」の第六回!  「入門」と言いながらも前回はかなりマニアックな話になってしまったかもしれません。  今回は一転、MMTの最低限の知識を厳選してみましょう。  これが基礎になります。  科学とは何か?という問いにはいろいろな言い方がありますが、ここでは次のように考えています。  それは、いくつかの事実と原理を前提にして知識を論理的に積み上げることにより、多くの事実を体系的に説明する営みであると。  というわけでMMTという科学において、出発点となる事

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