見出し画像

【実践編1:理論と実践~「情念の知」を育む~】

 学生時代、恩師から「情念の知」を育むようにと言われていました。これは恩師のオリジナルの言葉であると思います。その恩師はある大手企業の役員を務め、英国の国立MBAのエグゼクティブダイレクターなどを務めてきた方でした。
 「情念」とは英訳すると「passion」です。情熱でもいいと思いますが、もっと想いがこもっているイメージがあるので、情念と言っています。「情念の知」とは自分の知識を想い・熱意(志)を込めた”知”ということです。この言葉は当時認識はしていたのですが、今思えば全く理解できていなかったと感じています。あれから、十数年経ち様々な現場経験をしたことで、やっと恩師の言っていた意味が少し解かってきた気がしています。本日の投稿は自分の体験をもとに「情念の知」を育むとはどのようなことなのか、なぜ大事なのかを書きたいと思います。少しでも、読んでいただいた方の参考になれば幸いです。

◆理論も実践も

 今年5月から160日に渡って、12のマガジンで、“ものづくり・マネジメント全般”に関する理論・書籍を対話形式で解説してきました。(マガジンは末尾に記載します。)もちろん、理論を知るだけではだけでは何の意味もなく、実践して問題解決しなければなりません。ただ、抱えている問題に対して、先人や識者の知恵は必ずヒントになります。自分が出会った問題に、これまで誰も出会っていないなんてあり得ないのです。知識を持つことはベースの素養となります。
 そして実践が必要です。とはいえ、ある理論や考え方が適応できると思ってもその実践がなかなか難しいのですよね。本を読んだからいきなり実践できるなんてことはないのです。適応するためには、訓練が必要ですよね。スポーツと一緒です。野球でもサッカーでも理論を読んでできるなんてありません。現場マネジメントや改善管理も同じです。
 そして、 実践には人を巻き込むことも必要になります。そして、この時、知識だけでなく熱意や思いが必須となってきます。これが情念(passion)に関係してきます。

 情念をベースに理論と実践を行うことが、問題解決、つまり変化・改革・改善に必要になってくるのです。まだまだ未熟者ですが、、私自身この訓練を意識的に繰り返してきました。(日々継続中。。)

◆製造主任がドラッガーのマネジメントを読んだら

 最初にこのことの重要性と利便性を実感したのは約10年前の入社して数年経った時ことでした。私自身“日本のものづくりを守る”を胸に意気揚々と入社して、工場配属となり、一年目を無難にこなし、入社2年目に現場に部下を50人ほど抱えることになりました。ここで問題発生です。大卒の新人若造がリーダーになっても現場はいきなりてくれるなんてあり得ません。数ヶ月経っても、なかなかうまくいかない、現場にキレられてしまう時もある。信頼があるといえない。そんな状況に陥っていました。上司や先輩のサポートはあったものの、自分で現場で信用を得ていくしか道はありません。さらに、現場マネジメントに時間が割かれてしまい、技術者としての重要な固有技術の学習ができない状態でした。どうにかしないと悩む時期がありました。

画像1

そんな時、過去に読んだことのあったドラッガーの“マネジメント“を思い出したのです。頭の引き出しから出てきたイメージです。そして、ちょうどその頃“もしドラ”が流行っていたので読んでみました。過去、学習として読んだ時と問題意識が高まっていた当時では、同じ本でも全く違う本のよう目に写りました。まさに”これは試してみる価値があるのではないか、現場でやってみよう”と思ったのです。

画像2

少しづつやってみると、”使える部分”、”使えない部分”が出てくると同時に”よくわかっていない部分”が見えてきました。そうして、もう一度本に戻って読み返してみる。自分の解釈をもう一度作って適応してみるということとを何度もしました。最初は、現場も「若い奴、変わったことやっているな」と最初はちょっと引いた感じでしたが、「変わりたい」「変わらないと」と態度・言葉両方で示し、一緒に変化の文脈を作っていくと徐々に変化が表れてきました。そして、”実践して、理論に戻る”ことを続けて半年ほど経つと関係性や仕事の質は大きく変わってきていました。現場マネジメント業務の時間をある程度コントロールできるようになり、技術者として重要な固有技術の学習にも時間が取れるようになってきたのです。信頼関係も築けていました。結果、現場の各種問題解決スピードが格段に変わっていきました。心理的安全性が私・現場で構築されていました。このことは当時の現場の方々に会い飲むたびに、たびに懐かしく話をします。(最初のお前はなぁ的な 笑)

◆課題解決と自己成長の両立~課題は常に目の前に~

 これは一例ですが、同じように課題にぶつかったときは自分の経験であったり、本や先輩の助言等を織り交ぜ自分なりの仮説を立てて解決に臨むようになりました。成長したいという言葉は多くの人が使うと思います。でも成長の機会って目の前にあるのだといつも思います。なぜならば問題が全くない組織なんて存在しないからです。自分事として課題を考えれば、何で困っているかわかってきます。そうすると、ヒントはネットでも本でも先輩や上司の話でもどこにでも転がっています。それをヒントに仮説をたて実践する。また、困ったらヒントを探しオリジナルのストーリーを作っていくということ自体がまさに成長なのですよね。つまり、現実的な課題解決を通して、自己成長を自分で織り込んでいくことができるのです。自己の課題をチャンスと捉えて課題解説に理論や本の内容を織り込んでいくと、”お、ここは適応できる。本当だ。ん?でもここは状況が違うな。自分で考えないといけないな”と徐々になっていきます。実はこれは仕事を楽しくしていくコツでもあると思っています。

画像3

◆情念の知を育む

そして何度も書いてしまいますが、実践するときは人を巻き込まないといけません。この時にいくら理論があっても、自分の想いがなければ伝わらず、人を動かすことができません。つまり、実践できない。これも最初は難しいですが、姿勢次第で徐々に想いをわかってくれる人がでてきます。それらの人に対し、感謝の気持ちが芽生えます。そして、実践は経験となりますが、その経験を思い出すたびに現場のメンバーの顔が浮かんできます。うまくいかないこともありますし、それぞれのものづくりへの想いで言い争うこと、ぶつかることもあります。それらを通して、”人との協働”や”感情”が経験・知識の中と融合していくのです。つまり、理論だった知識が実践で自分の経験になり、そしてその経験には多くの人の想い、自分の想いが織り交ざり、自分の血肉になるにです。

これは、ただ本を読んだ、人から聞いた知識ではないのです。実践を通した自分の経験だけでもないのです。知識や経験の中に多くの人の想いや熱意が入った”情念の知”なのです。これを育むことが、仕事を有意義にするコツであり、チームを一体化させゴールに導くリーダーに必要なのだと思います。それを恩師は伝えたかったのだろうと10年以上の時が経って少しづつ理解し始めました。(今も現実の課題に必死に食らいついているところですが。。海外ではさらに、てんやわんやです。笑)

◆最後に

今回は”「情念の知」を育む“についてまとめてみました。まず、いろんな知識を学ぶということは前提条件になります。下記noteに、ものづくりに携わる人であれば、最低限必要であろう内容のものを対話形式でまとめています。もしご興味覗いていただければ幸いです。(長編マガジンもありますが是非)今後も書籍解説は適宜入れていこうと思います。

スキ・フォローいただければ嬉しいです!励みになります。

休憩がてら、番外編マガジンもありますw

#製造
#理論と実践
#ものづくり
#成長
#5S
#トヨタ生産方式
#ジャストインタイム
#自働化
#リーンプロダクション
#ザゴール
#制約理論
#ドラッガー
#ビジョナリーカンパニー
#アドラー
#コーチング
#情報リテラシー
#要件定義
#会計
#損益計算書
#決算書
#損益分岐点
#原価低減
#平準化
#両利きの経営
#両利きの組織
#心理的安全性
#グーグル
#推薦図書
#システム
#発注側
#会社改造
#事業再生
#見える化

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?