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コラム:コ-ヒ-と暮らす.vol.5 コーヒーの名前と歴史
コーヒーの名前には、基本的に産地の名前がついているが、一部例外もある。マンデリンはその代表格と言えるだろう。
大英帝国との覇権争いをかけてオランダ東インド会社が始めたインドネシアのコーヒー栽培は、1908年、天敵であるさび病の大被害でほぼ壊滅してしまった。その時、高品質の品種を守って復活を導いたのがマンダリン族であったことから輸入業者によって命名されたようだ。
インドネシアにはもう一つトラジャコ
「苦くも、酸っぱくもありません」の矜持
焙煎がうまくいくということの定義を、コーヒー豆が持つ香味成分を最大限に焼成できていること、としよう。
豆の加熱の肝は、総熱量と一つ一つの豆の中心部まで熱が届くまでのスピードがどうバランスしているか、ということになる。
コーヒー豆はとても硬く、火が通りにくいので全体の熱量をかなり高くする必要がある。高い熱量の調理では、鍋肌の温度と周囲の空気の温度差が大きくなり、表面が焦げて芯が生のまま、という豆
コーヒー豆ってひとり分何グラムですか、の誤解。
コーヒー豆を買いに来たお客様の質問で、意外と多いのは
「ひとり分って何グラムですか」
というものだ。
この質問の答えはシンプルで、
「それは器具によって違います」
というものだが、これでお客様の知りたいことにすべて答えたことにはならない。
この質問には、一般の人がコーヒーの抽出に対して知らずに抱えている誤解をいくつも内包していて、 その意味では、コーヒーの抽出の根幹に関わる重要な質問であるとも
コーヒーノキとカフェインと経験的味覚
コーヒーを飲んで美味しいと思う子どもは少ない。
コーヒーや茶が「経験的味覚」と呼ばれる所以だ。
その「経験的」なるものの中核を成すのが、お馴染みの「カフェイン」という物質が作り出す風味だ。
カフェインというのは、誤解を恐れずに言えばコーヒーや茶の樹木が自らを害虫から守るために、その身に纏った「毒」なのだ。
コーヒーノキは、この毒をその身に持つために樹木としては非常に短命で、数年の寿命しかない。
ペーパーフィルターの誤解
やっぱりペーパーは白いものより無漂白のもの(みさらし)の方がいいですよね?と訊かれる。
そう、世の中には白いペーパーフィルターと茶色のペーパーフィルターが存在する。
一般的に同じブランドのものだと無漂白の方が少し高価なので、そちらのほうがいい、という先入観を産むのだろうか。
なぜ無漂白のほうが高価なのか。
それは、木材からリグニンという物質を取り去るために、漂白剤ではなく、大量の水で洗い流すた