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コラム:コーヒーと暮らすvol.3 コーヒー豆を「挽く」ということ

「コーヒー豆を挽く」という作業は、立ち昇る陶酔の芳香が誘う、エクスペリエンスとしてのコーヒーのクライマックスだと思う。
なにしろ飲む直前に挽く、というのが最良のコーヒーを体験するための最初の関門なのである。
そして一般には、サイフォンは細挽き、ドリップは中挽き、パーコレーターが粗挽きということになっている。
が、私が修行をしたサイフォンの創始メーカーである珈琲サイフォン社では、どの淹れ方でもすべて中細挽きで淹れていた。
一番良く味が出るからである。

珈琲サイフォン社仕様のみるっこ


お店で挽いてもらう時は「中細挽き」で、と頼めば良いが、おうちで挽く時にはどうすればいいか。
電動ミルの多くは挽き目を指定できるが、調整機能のない機種や手動のミルを調整する際には、「グラニュー糖」くらいの大きさを基準にして挽き目を決めると良いでしょう。

アップルのエンジニア出身で、パーフェクト・コーヒーという豆売業を起業したニール・デイは「グラインド(挽くこと)がコーヒーの味を一番左右するのに、挽くべきコーヒーの粒子の大きさを正確に計測する方法が未だに確立されていない」と考え、熟練のロースターに挽いてもらった豆の挽目を画像解析技術で再現するシステムを開発した。
非常に示唆に富んだ話だと思う。

飲み口のテクスチャーを調整するために粗挽きが良いとする向きがあるようだが、私のお師匠さんたちは皆、湯で薄める方法を推奨していた。
きちんと淹れて、飲む時にほんの少し湯を足す。
確かに濃い薄いではない飲み口の変化があるのでぜひお試しいただきたい。


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