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経営に生かしたい先人の知恵

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2024年1月の記事一覧

経営に活かしたい先人の知恵…その10

経営に活かしたい先人の知恵…その10

◆利他の大欲◆
 老子は「足る(満足する)ことを知る者は、心の豊かな人である。いかに千万の富を積んでも、満足を知らず、なおも欲しいと望む心がある者は、心の貧しい人である」といっている。

 仏教には「少欲知足」との教えがある。欲望は苦のもとになるものだから、欲望は程々にして我慢せよ、という。

 しかし、本来人間には、長生きしたい、お金持ちになりたい、幸せになりたい等々、無限と言っていい程の欲があ

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経営に活かしたい先人の知恵…その9

経営に活かしたい先人の知恵…その9

◆危機的状況に陥らないために、いい状況の時に危機意識を持つ◆

 「安きにありて危きを忘れず、存続しつつも亡びることを忘れず、治に居ても乱を忘れない。こうあってこそ、その身は安らかで国家の安泰を保ち得るのである」(『易経』)

 これは孔子の発言とされているが、帝王学の書として知られる『貞観政要』にも、この言葉が複数回出てくる。組織を長く存続させるためには、いい状況の時にこそ、危機意識を持って、統

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経営に活かしたい先人の知恵…その8

経営に活かしたい先人の知恵…その8

◆失敗から学べる人と企業が成長する◆

 中国古典・『漢書』に、「前車の覆るのは、後車の戒めとなる(前人の失敗をみて、後人は戒めとすべき)と言われております。始皇帝の秦は極めて速やかに亡びてしまいましたが、いかにして亡びたかの轍の跡は見ることができます。しかるに、その轍の跡を避けないならば、後からゆく車もすぐに覆ることでしょう。国家の存亡、治乱の鍵は実にここにあるのです」(賈誼)とある。

 この

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経営に活かしたい先人の知恵…その7

経営に活かしたい先人の知恵…その7

◆人材が育たなければ、100年企業に成り得ない◆

 孔子より100年近く前に生きた管仲の言葉をまとめたとされる『管子』に、「1年の計画を立てるとしたら、その年内に収穫のある穀物を植えるがよい。10年の計画をたてるというのなら、木を植えるがよい。一生涯(100年)の計画を立てるのなら、人材を育てることだ」とある。

 穀物は、苗を植えると1年以内に収穫できる。木を植えれば、何年か経つと一定期間果物

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経営に活かしたい先人の知恵…その6

経営に活かしたい先人の知恵…その6

◆学習⇔思考⇔行動のサイクルを忍耐強く回す◆

 学習することで知識は増えても、考えなければ知恵は出てこない。孔子は「学んで思わざれば、則(すなわ)ち罔(くら)し」と言っている。いくら学習しても、考えることがなければ、活かすことはできないとの教えだ。

 しかし、いくら学んで考えて、知恵が出てきても、行動に移さなければ、それは単なる思いつきに過ぎない。『荀子』に「どんなに近い場所でも、その方へ向か

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