疋田文明

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疋田文明

「経営ジャーナリスト」と検索してください。トップに表示されるのが私です。  1986年の独立以来、ひたすら経営の世界を取材してきました。経営の現場は知恵の宝庫です。そうした活動の成果を活かすべく、いまは元気印企業が増えることを願って『元気塾』を中心に活動しています。

最近の記事

経営に活かしたい先人の知恵…その14

◆指導者に求められるのは「才」か「徳」か◆  中国・北宋の歴史家、司馬光は自著『資治通鑑』で「才」と「徳」について、興味深い指摘をしている。 「才と徳とは違っているのであるが、世人はこれを区別することができず、皆これを賢という言葉で表現しているが、この才こそ、その人物が人の支持を失う原因なのである。もともと知恵優れ意志強固の人を才能の士といい、正しく素直で中庸の道の和やかな人物を徳ある者というのである」  司馬光は、こう指摘したうえで、人物を次の四つのタイプに分類している

    • 経営に活かしたい先人の知恵…その13

      ◆指導者の役割◆  組織の成否はリーダー次第と言えるが、リーダーが果たすべき役割はどのようなものなのか。中国古典のなかで、最も的を射ていると思えるのが『管仲』の指摘だ。  「時勢に応じた対策を立てられるのが指導者としての条件であり、公平無私であることが治めるものの徳なのです。多くの臣下を統率して、その能力を最大限に発揮させなければならないのです」(『管子』=管仲の言行をまとめた本とされている)。  これほど、指導者のあるべき姿を、端的にズバリ指摘している言葉は、私の知る限

      • 経営に活かしたい先人の知恵…その12

        ◆先人の知恵を活かした二宮金次郎の「地域再生法」◆  二宮金次郎の地域再生の手法は、先人の知恵を活かしたものだと、私は理解している。金次郎は再生に取り組む前に、その地域を綿密に踏査して、再生計画案を立案するのだが、その際、参考にしたと思われるのが、『礼記』の「入るを量りて出ずるを為す(収入の額を計算し、それに応じた支出を行う)」の教えだ。  残された資料によれば、金次郎は600を超える地域で復興を成し遂げているが、その仕法(金次郎の手法を意味する)の基本は同じだった。金次郎

        • 経営に活かしたい先人の知恵…その11

          ◆組織の発展・衰退はリーダー次第◆   帝王学の書とされる『貞観政要』に、「昔の理想とされたリーダーたちは、前の悪い時代の人民を残らず取り替えて治めたわけではではありません。そのときの人民を教化する、そのやり方いかんにあるだけです」と、側近の魏徴が太宗(唐の二代目皇帝に)語ったとの記述がある。  「リーダーの考え方・リードの仕方が変われば組織は変わる」というのが、私の持論だが、過去、弱体化していた組織を再生したリーダーたちは、魏徴の指摘にあるように、民や部下を入れ替えたわけ

        経営に活かしたい先人の知恵…その14

          経営に活かしたい先人の知恵…その10

          ◆利他の大欲◆  老子は「足る(満足する)ことを知る者は、心の豊かな人である。いかに千万の富を積んでも、満足を知らず、なおも欲しいと望む心がある者は、心の貧しい人である」といっている。  仏教には「少欲知足」との教えがある。欲望は苦のもとになるものだから、欲望は程々にして我慢せよ、という。  しかし、本来人間には、長生きしたい、お金持ちになりたい、幸せになりたい等々、無限と言っていい程の欲がある。我々は、日常生活を送るに際して、欲とどのように付き合えばいのだろうか。私が共

          経営に活かしたい先人の知恵…その10

          経営に活かしたい先人の知恵…その9

          ◆危機的状況に陥らないために、いい状況の時に危機意識を持つ◆  「安きにありて危きを忘れず、存続しつつも亡びることを忘れず、治に居ても乱を忘れない。こうあってこそ、その身は安らかで国家の安泰を保ち得るのである」(『易経』)  これは孔子の発言とされているが、帝王学の書として知られる『貞観政要』にも、この言葉が複数回出てくる。組織を長く存続させるためには、いい状況の時にこそ、危機意識を持って、統治しないといけないということだろう。  しかし、これほど難しいこともない。明君

          経営に活かしたい先人の知恵…その9

          経営に活かしたい先人の知恵…その8

          ◆失敗から学べる人と企業が成長する◆  中国古典・『漢書』に、「前車の覆るのは、後車の戒めとなる(前人の失敗をみて、後人は戒めとすべき)と言われております。始皇帝の秦は極めて速やかに亡びてしまいましたが、いかにして亡びたかの轍の跡は見ることができます。しかるに、その轍の跡を避けないならば、後からゆく車もすぐに覆ることでしょう。国家の存亡、治乱の鍵は実にここにあるのです」(賈誼)とある。  この教えは、失敗から学ぶことの大切さを説いている。事業家で成功を手にできた人も、多く

          経営に活かしたい先人の知恵…その8

          経営に活かしたい先人の知恵…その7

          ◆人材が育たなければ、100年企業に成り得ない◆  孔子より100年近く前に生きた管仲の言葉をまとめたとされる『管子』に、「1年の計画を立てるとしたら、その年内に収穫のある穀物を植えるがよい。10年の計画をたてるというのなら、木を植えるがよい。一生涯(100年)の計画を立てるのなら、人材を育てることだ」とある。  穀物は、苗を植えると1年以内に収穫できる。木を植えれば、何年か経つと一定期間果物を収穫できるし、木材として活用できるものもある。しかし、長い将来を考えるのなら人

          経営に活かしたい先人の知恵…その7

          経営に活かしたい先人の知恵…その6

          ◆学習⇔思考⇔行動のサイクルを忍耐強く回す◆  学習することで知識は増えても、考えなければ知恵は出てこない。孔子は「学んで思わざれば、則(すなわ)ち罔(くら)し」と言っている。いくら学習しても、考えることがなければ、活かすことはできないとの教えだ。  しかし、いくら学んで考えて、知恵が出てきても、行動に移さなければ、それは単なる思いつきに過ぎない。『荀子』に「どんなに近い場所でも、その方へ向かって歩かなければ行き着くことができないし、いかに小さなことでも、直接手を下さなけ

          経営に活かしたい先人の知恵…その6

          経営に活かしたい先人の知恵…その5

          ◆歴史がすべてを教えてくれる◆  管仲(前730年頃~前645年)の言行をまとめた書物とされる『管子』の一節に、「現状を理解できない時には、昔のことから推察するのがよいでしょう。未来を予測できない時には、過去を振り返ってみるのがよいでしょう。すべてのものごとは、現れ方は異なっているようでも、その法則性は古今を通じて同一なのです」とある。  イギリスの元首相、ウィンストン・チャーチルも管仲と同じ考えだったようで、「過去を遠く遡るほど未来も遠くまで見通せる」との言葉を残している

          経営に活かしたい先人の知恵…その5

          経営に活かしたい先人の知恵…その4

          ◆学習することで人間は成長し、人生が楽しくなる◆  人間が成長する上で、何より大事なのは「学ぶ」ことだと、先人の多くが指摘している。  「玉も磨いて光沢を出さなければ宝玉として通用しないように、人は学んで物事の道理を心得ぬことには才能を発揮することができない」(『礼記』) 「学ぶに如かず=学習に勝るものはない」(『論語』) 「自分(荀子)は以前に、一晩中考えたことがあったが、先輩からちょっと学んだことにさえ及ばなかった」(『荀子』)  幕末の多くの志士に影響を与えた

          経営に活かしたい先人の知恵…その4

          経営に活かしたい先人の思想…その3

          ◆天下を長く維持する秘訣◆  起業と、成功した会社を維持発展させることの、どちらが難しいのか?  アケメネス朝ペルシアを建国したキュロス(紀元前600年頃~530年)は、「支配権の獲得(起業)は大胆さを示すだけのものによって達成されるのはよくあるが、獲得したものを維持し続けるのは、もはや節度と自制と十分な配慮なしには不可能なのだ」と言っている。  また、明君として名を残す中国・唐の二代目皇帝・太宗の「創業と守成、いずれが難しいのか?」との問いに、側近の魏徴は、「帝王の地

          経営に活かしたい先人の思想…その3

          経営に活かしたい先人の思想…その2

          ◆「傲慢症候群」という名の病気◆ 「春秋左氏伝」(春秋時代=紀元前770年~紀元前403年)に、「驕りたかぶって、それで亡びないものはいまだかってなかった」とある。また、古代ギリシャの哲学者アリストテレス(紀元前384年~前322年)は、「若者や金持ちはヒュブリス(ギリシャ神話に登場する女神の名で、傲慢を意味する)に走りやすい。傲慢に振る舞うことで優越感を覚えるからである」と、傲慢を戒めている。  古代中国、古代ギリシャで、同じように傲慢を戒めているのだから、東洋と西洋の

          経営に活かしたい先人の思想…その2

          経営に活かしたい先人の思想

           チンギス・ハーンとその息子オゴディ・ハーンに仕えた耶律楚材は、「千古のもと、おのずから定論あり」(中国人が1000年もかかって築いてきた知恵には、動かしがた道理があるのだ)と言っている。  中国に限らず、仏教、西洋も含め、古来より伝えられ、いまに残る教えには、現代の経営に通じるものが多々ある。先人の思想と、いまの経営思想の共通点を紹介していきたい。 ◆人の用い方=長所を活かし、短所は捨てる◆  中国の古典「春秋左氏伝」(紀元前4世紀ごろ)に、「人には、それぞれ得手不得手

          経営に活かしたい先人の思想