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樹木・森林・生態系

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記事一覧

”樹の国”の森を巡って 〜神が棲むと、森はどう変わるのか?〜 その①

”樹の国”の森を巡って 〜神が棲むと、森はどう変わるのか?〜 その①

「半島」というのは、人間にとっても、樹にとっても、特別な場所です。

”半分島のような場所”という語源通り、半島はその地理的な条件のせいで他の地域から隔絶されています。陸路で移動する場合、本土から突き出た土地をわざわざ通過することはありません。それゆえ、古来から現在に至るまで、半島は主要な交通網から切り離されてたのです。いわば、「行こうと思わなければ決して辿り着けない場所」。
こういった特性のせい

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ニセアカシアの生命力とアレロパシー〜五百淵公園&野鳥の森の「ちいさな自然散歩」②(福島県郡山市)

ニセアカシアの生命力とアレロパシー〜五百淵公園&野鳥の森の「ちいさな自然散歩」②(福島県郡山市)

10月15日(日)、郡山市の五百淵公園と野鳥の森でおこなわれた「ちいさな自然散歩」のレポート②です。

※トップ画像は9月に撮影した野鳥の森のニセアカシアです。
それにしても今回の写真は、雨天という悪条件を含めても、イマイチ過ぎる…郡山市まで行く機会があればリベンジしたいくらいですm(_ _)m

前回は繁茂していた野草が勢いを失い、オニグルミやドングリなどが実をつけ、一つのサイクルの終わりの気配

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『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン)を読んで

『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン)を読んで

 月の光、浜辺の砂粒、波の音、風の音、鳥や虫の鳴き声・・・。自然の事物や現象を受けとめる感性と感覚を呼び覚まし、生命の営みの奥深い不思議さを感じることの大切さが伝わってくる文章です。たとえ時代が変化しても、子どものころに自然と触れ合う体験をしておくことには大きな意義があると思います。自然とかかわることで感じる「センス・オブ・ワンダー」によって、生き物に対するある種の愛情のような感情がわいてきたり、

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『何故、実は赤くなる?』~森を歩けば疑問がいっぱい!~

『何故、実は赤くなる?』~森を歩けば疑問がいっぱい!~

 秋は実りの季節だが、それは、もちろん農業、農産物の事だけではなく、自然界においても同じである。私が自然の撮影によく訪れる白金台の国立科学博物館附属自然教育園においても、秋が深まるにつれ、様々な『実』、果実(fruit)を見かけるようになる。そして気付かされるのが、どの『実』も、最初は緑色系だったものが赤色系、赤い色へと変わっていくという事だ。
 例えば、本稿冒頭に掲げた一見トウモロコシのような『

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桑の実:自然の恵みと美を紡ぐ果実の奇跡

桑の実:自然の恵みと美を紡ぐ果実の奇跡

昔から日本の風土に根付いた桑の木。その存在は、自然の中で特別な役割を果たしてきました。桑の実は、豊かな栄養と独自の美しさを備えた果実として知られています。本記事では、桑とその実について、詳細な情報をご紹介します。桑の成長や収穫時期、そしてその栄養価や利用方法について、
学術的な視点からじっくりと探求していきましょう。

桑の木:歴史と力強さの象徴

 桑(くわ)は、日本の風土に古くから根付いた木の

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フォレストリップ‼︎  〜日本全国、訪れてほしい森のカタログ〜 その①

フォレストリップ‼︎ 〜日本全国、訪れてほしい森のカタログ〜 その①

今度の休日の目的地がまだ決まっていない皆様へ。
魅惑の森を訪ねる旅はいかがでしょうか。

この記事では、僕が歩いた森の中でも、特におすすめしたい!と思った魅力的なスポットを2回に分けてご紹介したいと思います。
選考基準は、

①遊歩道がしっかり整備されている
②森を探索する際の歩行距離がそれほど長くない
③遊歩道上に難所、危険箇所がない
④森林景観が美しい
⑤植生が興味深い
⑥全体的に、景色が綺麗

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樹木図鑑 その④ カシワ 〜日本の食糧庫を守る、愛想の良い格闘家〜

樹木図鑑 その④ カシワ 〜日本の食糧庫を守る、愛想の良い格闘家〜

ここは北海道の日高地方。サラブレッドの一大産地として名高い地域です。周囲の平原に広がっているのは、とうきび畑と牧草地。アメリカ映画のワンシーンに出てきそうな、広々とした景色……。日高特有の冷たい海風が、時折自分とすれ違い、涼気を置いていってくれます。それゆえ、真夏でも気温は20度前後。

遠近感が狂うほどの、広大な牧草の海。その沖合には、長大な”緑色の帯”が横たわっています。こっから見ると島のよう

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