武田敦

個人投資家。自然の写真、そして、映画鑑賞と読書、特にSFが好きです。https://www.instagram.com/angelwingsessay2015/

武田敦

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    • 『天使の翼』第7章~吟遊詩人デイテの冒険~

      デイテとシャルルは、シャンタルとチャールズと名を変え変装して、スカルラッティ宰相のお膝元、司教座惑星アクィレイアへと降り立った。二人を待ち受ける数奇な運命やいかん……

    • 随想自然

      つい最近まで、好きな文筆と写真を結び付けようという発想、イノベーション(新結合)がなかった。東京都心、主に国立科学博物館附属自然教育園で撮影した自然の写真を題材に、気付きを書き記していきたい。

    • 『天使の翼』第6章~吟遊詩人デイテの冒険~

      ようやくたどり着いたレプゴウ男爵の宮都は、峻厳な山々に囲まれた広大な盆地、オアシスであった。そこで出会う男爵とはいかなる人物か?そして衝撃の事実が……

    • 『天使の翼』第5章~吟遊詩人デイテの冒険~

      POPSでの公演を大成功で終わらせたデイテの下に、さっそく届いた3通の招待状。デイテが選んだのはポートシルキーズから900光年の彼方、ミロルダ星の領主レプゴウ男爵からのものだった。デイテの前に波乱に満ちた冒険の旅が開かれていく。

    • 『天使の翼』第4章~吟遊詩人デイテの冒険~

      天使となった吟遊詩人デイテはついに旅立つ。聖薬査察官のシャルルとデイテが最初の寄港地に選んだのは、マウリキス伯爵家の首都惑星ポートシルキーズだった。

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    予約投稿を使わないnote連続投稿500日の軌跡~投稿のメソッドと気付き~

     2020年5月19日、皆様のおかげをもちまして、noteへの連続投稿が500日を達成しました。改めてお礼申し上げます。  このnoteは、日々日経電子版の記事を読み込む中から、気になった記事を選んで、自分なりに整理し、出来れば自分なりの考え、見解を付け加えようと取り組んできたものです。その意味では、新聞に限らず、世の中の様々な媒体から注目すべきコンテンツを取り上げて、自分なりに整理し、自分自身の、自分ゴトのオピニオンへと昇華させる作業であったかも知れません。  特に変わ

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      • 『天使の翼』第7章(19)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

         攻撃―不時着―誘拐のパターンは、常に成功するとは限らないだろう。的を外せば――普通とは逆の意味で――、連絡船は、宇宙空間で簡単に空中分解してしまう。でも、三十年という長い年月を隠れ蓑にして、おぞましい犯罪が積み重ねられてきたことが、白日の下にさらされたといってよい。男爵との会見で『一件か二件でもマッチングするケースがあれば』と言っていたのが思い出される――現実は、まさに想像を絶していた……  「君のご両親――といっても、犯人の目的はお母上だったと思うけれど――、そしてほかの

        • 『大都会のタマムシ』~白金台の森、自然教育園の4大宝石~

           大都会東京の都心でも、明治神宮、皇居など豊かな自然の残された一角ではタマムシ(ヤマトタマムシ)が見られる。私が自然の撮影によく訪れる白金台の国立科学博物館附属自然教育園にも生息することを自分の目で確かめることができたのは、夏の盛り、7月30日の事だった。  この日は、アカボシゴマダラの良い写真が撮れたくらいで、比較的収穫の少ない日であったのを覚えている。そんな中タマムシの撮影ができたのは、文字通り最後の最後、家路につくため正門へと続く路傍植物園をテクテクと歩いている時だった

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          • 『天使の翼』第7章(18)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             「――男爵のリストは、おそらく彼が自分で作製したものだと思うけれど、実に詳細で、個々の吟遊詩人について、交通手段――男爵家が手配した船かどうかの分かっているものが網羅されていた。特に重要なのは、言うまでもなく、招待に応じながら姿を現さなかった吟遊詩人達だ……30年間で23人――その数が多いのか少ないのかは、なんとも言えない。ただ、23人のうち19人が女性だということは、明らかに、何らかの傾向を示している。そして――」  「そして?」  「19人は、全員、自分で渡航手段を選ん

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            『天使の翼』第7章(17)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             シャルルは、面食らいながらも、嬉しそうにわたしの腕の中でもぞもぞした。  「デイテ、やめてよ、分かったから――息ができないじゃ……ねえ!好きだ!愛してる!」  その言葉を聞いて、もう一度優しく長めのキスをしてあげてから、彼を解放した。わたしは、久しぶりに満面の笑みを浮かべていたと思う。  「こら、引っ掛けたな!」  別に彼の口から『愛している』という言葉を引っ張り出そうとした訳ではなかったけれど、わたしは、追ってくるシャルルをかわして、身を翻した。黒いコートが冷たい風にふく

            『天使の翼』第7章(16)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             ジェーンは、真っ赤な顔で、こくりと頷いた。――その気持ちは分からないではない。女性には、誰でも、いくつになっても、王子様願望がある。そこへ、青天の霹靂のごとく、夢の中から飛び出してきたような男性が現れて、しかも、その場限りでお別れではなく、もう一度会える約束ができたとしたら……ジェーンにとって、今日という日は、予想だにしなかった、奇跡の一日となったのだ。  複雑な心境だけれど、シャルルがそれと意識して自分の魅力を武器に使っているわけではないことは、わたしにも分かる。あくまで

            『天使の翼』第7章(15)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             ジェーンは、初めて会ったときの硬い表情が嘘のように、生き生きとした顔で、わたしの方を見てきた……彼女は、わたしのことをシャルル=チャールズの姉だと思っている訳だし、シャルルは、単に無邪気なだけだ……でも、ジェーンの顔の表情は、わたしには訳もなく『翻訳』できた――突然目の前に現れた『シャルル』という、女性にとっての奇跡に、恋心という名の生き物の尻尾をわしづかみにされた、のだと……  わたしは、諦め、という名の笑顔を作って、肩をすくめた――  「それで?」  言ってしまってから

            『天使の翼』第7章(14)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             それにしても、初対面同士の間で、いきなり、精神的・哲学的な話が始まるなんて、滅多にあることではない。わたしは、皇帝の言葉を思い出していた――「彼は、アケルナル帝国大学の哲学科を五年前に首席で卒業した」。そして、シスターのジェーンも、只者ではない――単にまだ若くて、実績と地位が伴っていないだけだ……  わたしたち三人の間にどれだけ沈黙の帳が下りていたろうか、シスターのジェーンが最初に我に返った。  「私の思っていたことを見事に言葉にしてくれたわ……チャールズ……」  ジェーン

            『アブラゼミを捕食するスズメバチ』~ファジーな食物連鎖~

             本稿トップの写真は、私が自然の撮影によく訪れる白金台の国立科学博物館附属自然教育園で8月20日に撮影した『アブラゼミを捕食するスズメバチ』である。一言断っておくと、これは意図して撮ったものではない。望遠レンズで撮影したのだが、スズメバチと分かって、私は早々に退散した。スズメバチは怖いから、どんなに迫力があっても、普段は撮影の対象にしないようにしている。実際、このスズメバチ、獲物から肉団子を作りながらも、時折周囲を警戒するように飛び回っていた。  後で家に帰ってこの写真を見

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            『天使の翼』第7章(13)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             「ごめんなさい!変なことを言ってしまったわ……」  「そんなことはない――」  シャルルが、いつになく強い口調で言った。  「――人の心の内面を完全に遮断して、外面に現れないようにすることなんて、できないと思う。――人間の表情というのは、そのつど、そのたびに意図して作られるものではなく、自然と表に出てくるものだからです。心の動きは、自動的に身体的表現となって表れる。心の動きは、手を動かすとか、足を動かすという脳の指令と全く同じ、表情を動かす指令なのだと考えれば分かり易い。だ

            『天使の翼』第7章(12)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             「シスター」  何を思ったか、シャルルが呼び止めた。  ――いくら神と結婚した身でも、シャルルの美しさは分かるであろう、彼女は、少しばかし自意識過剰の状態でシャルルの方を顧みた。  「シスター、自分でこんなことを言ってもしょうがないけれど、僕らは決してあやしい者ではありません」  そう言って、シャルルは、彼のしっとりとした肌の熱気が伝わってくるような真剣な様子で、ジェーンと顔を見合わせるのだ……  「――外見で人を判断することはできないけれど……」  ジェーンの顔の表情の下

            『天使の翼』第7章(11)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             聖堂の奥、身廊へと歩みを進めるうちに、敵地に乗り込んだわたしの気持ちも少しは落ち着いてきた。それほどこの聖堂の荘厳なスケールは圧倒的で、もし何もなければ、星々をめぐる巡礼の旅人にでもなったような無垢な心映えになれたろう……  ナルテックスのさらに倍はあろうかという目も眩むようなドーム屋根の高みから、光の柱――ナルテックスのときよりも太くて本数は少ない――が、暗く冷え冷えとした身廊の巨大空間へと射し込んでいる。わたしは、聖堂には、何一つ偶像に類したものが置かれていないことに気

            『天使の翼』第7章(10)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             「僕が歌ってもいいかい」  「!」  ――これ以上はない解決策――わたしは、思わずシャルルの腕をひっぱたいた……彼の頭の回転の速さが、頼もしくもあり、憎らしくもあり、そして、……  その一方で、わたしは、なんだ、シャルルったら歌えるんじゃない、と思っていた。それどころか――  「あなた、本当は歌ってみたいのね!」  「いいや、でも仕方ないからな」  でも、その顔には、ありありと、歌うのが好きなこと、そして、自分の声に結構自信があるという表情が出ていた。そのことを追求しようと

            『天使の翼』第7章(9)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             ナルテックスは、玄関廊というより、それ自体が身廊本体と言ってよい程の広大な空間だった。天井はあくまで高く、遥かに小さく見える多数の天窓から、早朝のまだか弱い光が、無数の細長い柱をなして射し込んでいる……その窓ガラスには何らかの仕掛けがあるに違いなかった――光の柱は、まるでそれ自身の力学で天井を支えてでもいるように、垂直に射し降ろしているのだ。  シャルルの顔と体は、丁度その光の柱に差し掛かって、幻のように浮き上がって見えた。  わたしが意図の分からぬ質問に軽々しく答える女性

            『天使の翼』第7章(8)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             わたし達は、これから先、実際にどうやって公爵に近付くのか、具体的なことは何も決めてなかった――もしかしたら、今日、公爵、つまり大司教によるミサが執り行われるかも知れない……わたしは、シャルルにうながされて、二人してナルテックスへと続く階段を上った。  早朝のことで、まだ人気の少ない広場を我が物顔に闊歩していたこの星の鳥のような生き物――進化の系統樹は、星によって全く異なるので意味はないけれど、まあ鳩、といってよい生き物――が、ばたばたと羽音を残してドームの上の空へと舞い上が

            『天使の翼』第7章(7)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

             ようやく聖堂前の広場にエアカーが着地した時、わたしもシャルルも、その巨大さに息を呑んで、しばし車から降りることを忘れていた。聖堂の身廊の上を覆うドームは、ここから見上げると、ほとんど空を隠すほどの圧迫感がある――銀河標準で300メートルの高さはあるのではないか?――ドームの直径そのものも250メートルはありそうだ……  「大司教旗が掲揚されている」  わたしは、シャルルの声に我に返った。  白地に赤いふくろうの文様――それは、スカルラッティ公の紋章で、その上に十字の描かれた