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『天使の翼』第13章~吟遊詩人デイテの冒険~

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マウンテンデビルの背にまたがって『空白地帯』の村や町に降り立つ『風のデイテ』となったデイテの次の一手とは?
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記事一覧

『天使の翼』第13章(20)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 SSIPの地区本部へはアッという間だった。エアカーは、政府の合同庁舎の入った高層ビルの一つ…

武田敦
1か月前

『天使の翼』第13章(19)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 エリザは、彼女の性格らしくうじうじすることもなく、大型トラックの方へと歩みを進めた。マ…

武田敦
1か月前

『天使の翼』第13章(18)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 エリザは、鎌首をヌッとわたしの眼前に差し出してきた。エリザの巨大なツルツルで湿りを帯び…

武田敦
1か月前

『天使の翼』第13章(17)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 どうやら、彼は、主にわたしに向かって自己紹介したようだ。  ラインハルト副市長は、改め…

武田敦
2か月前
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『天使の翼』第13章(16)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 一触即発の張り詰めた空気を破り、いつ間違いが起きてもおかしくない睨み合いに終止符を打っ…

武田敦
2か月前

『天使の翼』第13章(15)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、わたしの顔とSSIPの方を交互に見比べて戸惑う子らに、目顔と手のひらの動きで親御…

武田敦
6か月前

『天使の翼』第13章(14)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 その場の空気、音の世界にそぐわない不協和音が、ようやくわたしの意識の壁を突き破ってきた時、わたしはハッとしてそちらへ、音のくる方向へと顔を向けた。  わたしのただならぬ様子、顔の表情の変化を敏感に感じ取った子供らが、一斉にわたしの顔の方向を顧みる。ついで、拍手喝采していた観衆、おとなたちも、次々とそちらを振り返った。  不穏なものの接近には二つのパターンがある。雷のように、まず稲妻が、光が視覚に入ってきて、雷鳴が、音が後からやってくる場合。そして、まず音が接近して来て、次に

『天使の翼』第13章(13)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「大好き、Eliza!」、最後にわたしがシャウトして曲を終えた後、Elizaはグイと鎌首をもたげ…

武田敦
6か月前

『天使の翼』第13章(12)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 自慢のギターで長めの前奏をかなで、いつもより少し高めの音域で歌い始める。  

武田敦
6か月前

『天使の翼』第13章(11)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 エリザの利き足である左前脚の爪先まで戻ったわたしは、ギターをケースから取り出し、エリザ…

武田敦
7か月前
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『天使の翼』第13章(10)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 公園まではアッという間だった。ビルとビルの間をすり抜け、最後に大きく羽ばたいて、わたし…

武田敦
7か月前

『天使の翼』第13章(9)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 マウンテンデビルは生来の飛行生物ではない。羽ばたいたってあの巨体が空に浮かび上がる訳で…

武田敦
8か月前

『天使の翼』第13章(8)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 急降下の風圧に耐えて、エリザの鱗の隙間から何とか前方を確認したわたしは、エリザが盆地中…

武田敦
8か月前

『天使の翼』第13章(7)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 『そうね、遥か昔この盆地に私たちデビルが住んでいたとは、私も聞いたことがあるわ』   「……たぶんネット上に『ハイアンコーナに風のデイテ現る』って感じの投稿があふれ出しているに違いない……」  『どうする、風のデイテさん?』  「わたし達、そうと知らずいくつかの法律を……たぶん帝国法で言うならさしずめ惑星内航空機械管制法みたいなのを犯しちゃったと思うの……」  『SSIPって言ったかしら、警察の出番って訳ね』  「そう……それは望むところだけど……でも、やっぱり、わたし、捕