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『天使の翼』第13章(14)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 その場の空気、音の世界にそぐわない不協和音が、ようやくわたしの意識の壁を突き破ってきた時、わたしはハッとしてそちらへ、音のくる方向へと顔を向けた。
 わたしのただならぬ様子、顔の表情の変化を敏感に感じ取った子供らが、一斉にわたしの顔の方向を顧みる。ついで、拍手喝采していた観衆、おとなたちも、次々とそちらを振り返った。
 不穏なものの接近には二つのパターンがある。雷のように、まず稲妻が、光が視覚に入ってきて、雷鳴が、音が後からやってくる場合。そして、まず音が接近して来て、次に、その後からそのものが姿を現す場合だ。
 SSIPのパトロールエアカー3台は、高層ビル群の間隙からいきなり姿を現し、けたたましいサイレンの音、猛々しい警告灯の回転、そして一陣の砂煙を巻き上げて、あっという間に急降下し、逃げ惑う聴衆とわたし達の間、わたしとエリザの前ほんの数標準メートルのところに着陸し、同時にサイレンの音が止まった。警告灯だけがまるで私たちを威嚇するかのように回転し続けている。

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