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エッセイ

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#音楽

幸せなループ 新しい出会い

幸せなループ 新しい出会い

ルーク・ハワード、ユップ・ベヴィン
ここ最近、クラシカルクロスオーバーというジャンルの音楽にハマっている。
恥ずかしながら今に至るまで、こうした音楽のジャンルがあることを知らなかった。
ピアノの音色、弦楽器の優しい調べ、その一つ一つの音にゆっくりと深く沈んでゆく。

こうして文章を書くにしても、電車に乗る時も、車の運転中も、ただただ音が静かに包み込んでくれる。

ここにたどり着いた経緯は以下の通り

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またきっと聴くだろう

またきっと聴くだろう

先日も書いように、この時期、無性にジャニス・ジョプリンを聴きたくなる。

夏の終わりを静かに見送る。
そんなジャニスの『サマータイム』は本当に心に沁みるのだ。

見送られる夏を思いながら、ぼんやりとと考える。
よく彼女の声を評して「魂の…」と表現されるが、生き急いだ彼女の魂は何を伝えたかったのだろう。
澄み渡る声とは程遠いハスキーボイス。
それでいて、誰よりも無垢な、時に、純粋が故の危うさすら感じ

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ジャニス・ジョプリン、そして晩夏

ジャニス・ジョプリン、そして晩夏

日に日に陽は傾き、黄色い日差しがかすれた葉に照りつける9月の初旬。
目に映る全てのもの、吹き抜ける風すらも、なんだか疲れ切ってしまっているように感じる。

そんな時、いつも無性に聴きたくなるのが「ジァニス・ジョプリン」だ。

どこか気怠さを帯びたハスキーな声が、夏の終わりにピッタリな気がするのだ。

今は日も暮れて、微かな風がレースのカーテンをフワリと揺らせている。
風呂上がりの隙だらけの格好で、

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その人に会いに行く、ということ

その人に会いに行く、ということ

「これから30分の休憩を挟みます」

そんなアナウンスが場内に流れる。照明が、まるでライブ終了時のように明るくなった。

ライブの途中で30分の休憩…?

そんなライブはかつて経験したことがなかった。
しかし、会場全体は、「しょうがないね」といった雰囲気に包まれる。
「だって無理すると倒れちゃうよ」

数年前のボブ・ディランのライブでの一コマだ。

本当に弾いているかも分からぬピアノを前に終始腰掛

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それでも僕らは愛していた

それでも僕らは愛していた

「今までに観た最高に良かったライブってなに」

そんな話題に、たまになる。

うん〜迷うよね〜

それでも大概、答えはいつもここに落ち着く。

「最高のライブはプライマル・スクリーム」

「そして最低最悪のライブもまたプライマル・スクリーム」

最高の方は、それは本当に最高の時間だった。

バンドと観客の熱気で、会場内が霞んでいるように見えた。
フロントマンであるボビー・ギレスピーは終始ご機嫌で、

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何でもありな時代    フールズメイト編

何でもありな時代 フールズメイト編

大量の書籍、雑誌の類を整理していたところ、
「おや、Fool's Mate 」

後悔してもしたりないが、音楽雑誌であるフールズメイトとクロスビートを、実家で大量に処分されてしまった事は、返す返す残念である。

そうそう、思い出した。
たまたま数冊、紛らこでいたものがあったのだった。

改めて見ると懐かしい… (少し遠い目)
表紙は『ノイバウテン』
インタビュー特集は『エイリアン・セックス・フィー

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音楽と掃除の相関について

音楽と掃除の相関について

no music , no life
某有名コピーだ。

実際に音楽が無かったとしたら、人生はどうなるのか… おれは知らない。
ただ、自分の人生の中で、音楽が無かった時はない。

それでも若い頃と比べ、それに割く時間はめっきり減ってしまった。
まあ、何かしらの音楽は、いつも身近に流れていたりはする。
でもそれは、聴いているというより、耳に入っていると言った方が正しいように思う。

そんな生活にあっ

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かっこいいことは なんて

かっこいいことは なんて

「かっこいいことは なんて
かっこ悪いんだろう」

これは、早川義夫ソロアルバムのタイトルだ。このアルバムリリースの後、早川は本屋の主人となり、20年近く表舞台から姿を消すことになる。

学生の頃おれは、ずいぶんと前にリリースされたこのアルバムのタイトルがいたく気に入り、よく聴いていたのだ。
早川の真意がどこにあったのかは解らないが、自分もまた「カッコいい」ことへの漠然とした不安というか、気恥ずか

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どこかで暮らしているアイツへ

どこかで暮らしているアイツへ

今日、ひょんな事から浜田省吾を聴いた。

何十年ぶりのその曲…

浜田省吾を聴いていたのはごくごく短い期間だが、いっ時けっこう聴いた。
これまたひょんな事がきっかけで、話をするようになったアイツが好きだったのだ。

それは高3のことだ。
アイツとは、ほとんど話をしたこともなかった。
どちらかと言うと苦手なカテゴリーに分類していたアイツ。
秋の深まりを感じる夕日が差し込む教室で、おれの親友の一人と

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夜空を飛んでいて考えたこと

夜空を飛んでいて考えたこと

今夜はいつもより少しだけ星が賑やかに見える。
日中、雨が降っていたおかげだろう。
それでも、こんな街の中ではほんの少しだけだが。

ひんやりと空気が冷たくて、肩を窄め、両手をポケットに突っ込む。
イヤホンからは、デヴィッド・シルヴィアンのお気に入りの曲が流れだす。見上げた夜空には、妙に明るい月が輝いている。
おれは流れる音楽に乗り、両腕を広げゆっくりと星へと近づいて行く。

星々と戯れながら、とり

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やられちゃった一言

やられちゃった一言

たった一言にやられちゃう。

音楽を聴いてい、そんなことがたまにある。

そのワンセンテンス。若しくは幾つかの言葉の連なりに、すっかりやられてしまうのだ。
その一言だけで、その曲が好きになっちゃう。そのアーティストの全曲が好きになってしまうことすらある。

あの日あの時の心を、これ以上ない表現で言葉として紡ぎだしてくれている。自分が漠然と思い感じていたことを、じつに見事に言い表してくれた言葉たち

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