マガジンのカバー画像

遊び場と匣の向こう側:ビデオゲームと少年少女たち

1,450
「ゲームとは、芸術の一形態であり、プレーヤーと呼ばれる参加者が目標達成を目指して、ゲームトークンを介して資源管理のため意志決定するものである」(グレッグ・コスティキャン)  「… もっと読む
運営しているクリエイター

2018年11月の記事一覧

ゲーム雑誌創成期から現代までの私的ゲームメディア史。ゲーム誌の提供してきた価値と収益を考える

ゲーム雑誌創成期から現代までの私的ゲームメディア史。ゲーム誌の提供してきた価値と収益を考える

この記事は、私が持っている歴史観から歴史を網羅する目的ではなく、
・ゲームメディアが提供してきた価値は何だったのか
・収益源は何だったのか
をまとめて、これからのゲームメディアがどんな価値を提供して生きていくべきかを考えるために書いている。
歴史に関しては十分すぎるほど裏をとってから書こうと思っていたが、この歴史と現在のメディア観に関して、回答を得られるかもしれない幸運なチャンスが巡ってきたので、

もっとみる
ネットメディア誕生と4gamerの台頭、ファミ通クロスレビューの影響 - 私のゲームメディア史

ネットメディア誕生と4gamerの台頭、ファミ通クロスレビューの影響 - 私のゲームメディア史

これは、「ゲーム雑誌創成期から現代までの私的ゲームメディア史。ゲーム誌の提供してきた価値と収益を考える」(全編公開)の続きで、ウェブ専門のゲームメディアの登場と、ファミ通ドットコムの敗北などを扱う2000年~2008年ごろの話が主流となる。
私が持っている歴史観からメディアを見つめなおす記事であり、歴史を網羅するものではない(穴の指摘は歓迎だ)。
あと、できるだけ人に聞いたと出せる部分は「聞いた」

もっとみる
給料ってどこから出てるんですか?

給料ってどこから出てるんですか?

ゲーム会社の社長をやっていると、色んな人と出会います。

会社の中で開発をやるだけでなく、外に出てたくさんの人と会って情報交換することもその役割のひとつだと思って私は日々様々な交流会に出向きます。

ゲームクリエイター・出版社・漫画家・アニメーター・映画製作会社・広告代理店・音響制作会社・声優・舞台俳優、色んな人と出会って色んな情報交換をします。

ただ“雇われている人”と“雇う人”では明らかに視

もっとみる
なぜゲームは続編ばかり出してシリーズ化するのですか?

なぜゲームは続編ばかり出してシリーズ化するのですか?

“なぜゲームは(画面的&システム的な進化が無いのに)続編ばかり出してシリーズ化するのですか?”

という質問をいただきました。

ふむ、どうやら具体的なタイトルを指した上でご質問されているようにも見えますが。(まぁ、いいでしょう)

では。

あくまでゲーム業界で仕事をしている人間の一人として返答させていただきます。

“なぜゲームはシリーズ化されるのか?”

それはもちろん

“売れるからです”

もっとみる

女性ゲームユーザーの存在を織り込んだ上で読み解く日本テレビゲーム史(その3)


 「ポケベル」「たまごっち」「プリクラ」によって、街の中で女性がゲームに親しむ光景が生まれ、「パラッパ」「どこでもいっしょ」などの可愛いCGキャラが女性をゲームユーザーへと引き込んでいった1990年代。女性がゲームに親しむようになっていく流れはファミリー層へも広がり、ついには母親がゲームに理解を示す時代が、1本のソフトによって成し遂げられます。それが1996年に発売され、時代を20年ほど先取りし

もっとみる

女性ゲームユーザーの存在を織り込んだ上で読み解く日本テレビゲーム史(その2)

 日本は、おそらく世界でもっとも女性ゲームユーザーの存在感が大きい国です。ならば、それらの女性ユーザーの存在を織り込んだ上で日本のテレビゲーム史を語ってみよう――といった趣旨で書き始めたシリーズの第二弾です。シリーズ第一弾『女性ゲームユーザーの存在を織り込んだ上で読み解く日本テレビゲーム史(その1)』と併せてお読みください。今回は1990年代の家庭用ゲーム機を中心にしたゲームの歴史の話になります。

もっとみる

女性ゲームユーザーの存在を織り込んだ上で読み解く日本テレビゲーム史(その1)


[序文] これから書くのは、"女性ゲームユーザーの存在を織り込んだ、日本のテレビゲームの歴史"です。

 日本は女性ゲームユーザーの存在感が抜群に高い国です。女性ゲームユーザーの存在がゲーム文化に影響を与えた度合い、というパラメータがあるならば、ぶっちぎりの世界一でしょう。

 いまから25年前の1993年には、世界初となる女性をメインターゲットに据えた家庭用ゲームソフト「アンジェリーク」が発売

もっとみる
クリエイティブにとっての最大の敵。

クリエイティブにとっての最大の敵。

先日、会社の田中さんから妙な感心のされかたで言われた。

「古賀さんは〇〇〇の原稿をやっていたときも、毎日 note を書いてたんですよね」。これだけ聞くと、どんなに忙しくとも実直に更新を続けるまじめなひとのように映るかもしれないけれど、感心のポイントはやや異なる。彼女が言わんとしていたことを年長者への礼を排したことばに置き換えると、「お前はあの原稿が大幅に遅れ、あの最恐におそろしい編集者さんから

もっとみる

プロゲーマーのスポンサーの取り方と考え方

プロゲーマーがスポンサーを付けるということはスポンサーメーカの広告宣伝を行うためにあります。そこでGamerCoachのようなサイトがスポンサードを行う場合どのように考えるのか?eスポーツにおいてスポンサーをとるとはどういうことなのか?というのをできる限り一般化しながらまとめます。

スポンサーが出せる金額の原則はLTV - CACLTV(Life Time Value)は生涯顧客単価です。要は1

もっとみる
ゲームは「誰かをぶっ殺せる」から面白い。ゲームの暴力性を文化的に解釈する

ゲームは「誰かをぶっ殺せる」から面白い。ゲームの暴力性を文化的に解釈する

ビデオゲームが社会的に批判される上で、大抵つつかれる点が「暴力性」だ。

人を殺す、物を盗む、そういうゲームにおける暴力こそが犯罪を助長し、子供の成長に悪影響を及ぼすのだと、日本でも世界でも批判されてきた。

特に今年の3月には、トランプ大統領が暴力的なゲームが犯罪を起こすと発言し、ホワイトハウスが暴力シーンをまとめた動画を投稿するなどして大きな話題となった。

また昨今ではesportsを取り巻

もっとみる