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中途半端に言葉や芸術や思想について考え、中途半端にジャズを演奏します。 ここはあくまで…

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中途半端に言葉や芸術や思想について考え、中途半端にジャズを演奏します。 ここはあくまで個人のゴミ捨て場。ゴミの中に得難いものがあるとは限りません。 https://youtube.com/user/fourlieu

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記事一覧

かつてよく通った道

 久しぶりの人たちと、初めての場所で行った演奏は、会場となった空間が素敵だったこともあって、結構気持ちよく終わることができた。  いっぱいの本が壁一面に並べられ…

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9日前

人間がきらい

 以前、知り合いの女性ミュージシャンがこんなことを言っていた。  確か、SNSでも楽器に関する交流をしていて、その結果としてこうした結論に達したと言っていた記憶が…

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3週間前

何かが違う

1  ここのところ、極めて漠然とした「何かが違う」という思いに囚われている。  何をやっても「これじゃない」という感覚がつきまとう。物事への対応だったり自分なりの…

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1か月前
2

社会性とは無縁の

 人は生きる上で、他者の意向や社会の常識と折り合いをつけないわけにはいかない。これは当然の事実だ。  これは、人は社会のなかで生きる以上、かならず「表に出しては…

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2か月前
2

素人の玄人に対する目線

1  僕は人生のある時期から、自分の知識や技術で飯を食うことにした。  それ以来、最も重要なことは、自分の食い扶持となる知識や技術をどれだけ高めるかであると思っ…

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3か月前

ある日の終演後の会話についての備忘録

 トランペットらしい音や演奏。  といえば、ブルックナーの交響曲のような重厚なオルガニックな響き、バロック音楽に見られる天上から降り注ぐような明るく崇高な響き、…

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4か月前

妄想クラブ運営記録(裏) 今更サカつくEU 別アカウントに移転します

 なんとなくですが、このサカつくEUのプレイ日記、別のアカウントでやることにしました。移転先はこちらになります。  プレイ日記自体は続けるつもりです。単に見づらい…

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4か月前
3

「好き」の無垢性という神話

1  SNSなどを見ていると、昨今は「その人の好きなものを否定するな」というのが基本的なマナーであるらしい。  まあ、わからないでもない。自分の好きなものを否定され…

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4か月前
2

受容とこだわり

 その昔、『団地ともお』という漫画がありまして。その作中では、小学生に人気の「スポーツ大佐」という漫画があるという設定になっておりました。柔道着を着た口髭を生や…

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5か月前

目標でも誓いでもなく

SNSを見ていると、その内容に絶望的な気分になることの方が多い。厳密に言えば、「多い」のは統計的なものというより主観的なものなのだけれど、僕自身が受けるダメージ…

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6か月前
1

価値判断の基準のありか

 数ヶ月前、とある単発企画ビッグバンドに誘っていただき、そのライブが先日無事終わった。大勢のお客さんにご来場いただき感謝の極み。  ごくごく一部から、演奏につい…

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6か月前

まやかしの夢

1  大河ドラマ『どうする家康』で、関ヶ原の戦いで敗者となった石田三成が語った言葉だ。なかなかいい台詞だと思って見ていた。  おそらく、ドラマの演出としては、石田…

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7か月前
1

憧れと距離

1  僕がジャズをやり始めたのは、とあるビッグバンドに加入したのがきっかけだった。  いや、厳密には、この言い方は適切ではない。それまでオーケストラでクラシックし…

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8か月前

「愛」とはつまるところ「都合がいい」

1  プラトン『饗宴』によれば、ソクラテスは愛について、それ自体が価値なのではなく、価値あるものを求める心の動きだと説明していた。この説明は至極納得のいくものだ…

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10か月前
4

ピアノという楽器に対する特別な想い

1  一応、身近なジャズ仲間たちからは「フリューゲルホルン奏者」「トランペッター」として認識されていると思うし、僕自身もそのような自己認識を持っている。もちろん…

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11か月前
3

音を通したつながり

1   ここしばらく、ラッパ人生で最大の不調だった。別のところでは「1ヶ月くらい」と表現した記憶があるのだけど、実は今年の3月からずっと不調だったようにも思う。  …

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11か月前
2

かつてよく通った道

 久しぶりの人たちと、初めての場所で行った演奏は、会場となった空間が素敵だったこともあって、結構気持ちよく終わることができた。
 いっぱいの本が壁一面に並べられたその空間は、本当に本当に気持ちよくて。近所や通勤途中にあったなら絶対に通っていたと思う。なんとなくだけれど、スタッフが気持ちいい人だからなんじゃないだろうか。

 色々考えた末に新しく買った楽器も、その時に初めて人前で吹いてみた。重さを感

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人間がきらい

 以前、知り合いの女性ミュージシャンがこんなことを言っていた。

 確か、SNSでも楽器に関する交流をしていて、その結果としてこうした結論に達したと言っていた記憶がある。記憶なので曖昧だけど。

 だが、似たようなことをやった上での僕の結論は真逆だ。
 SNSで垣間見る人は、同じ楽器をやっていようがいまいが、そのほとんどができればこれ以上近寄りたくない人だ。リアルで会うならばそこまででもないのだと

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何かが違う

1

 ここのところ、極めて漠然とした「何かが違う」という思いに囚われている。
 何をやっても「これじゃない」という感覚がつきまとう。物事への対応だったり自分なりの方法だったりが、全て芯を食ってない感じ。間違っている、という印象ではない。けれども、どこかずれているような思いを拭えない。そんな思いをここのところずっと抱えている。あらゆる場面で、仕事と趣味とを問わず。

 その正体は、今のところ全くわ

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社会性とは無縁の

 人は生きる上で、他者の意向や社会の常識と折り合いをつけないわけにはいかない。これは当然の事実だ。
 これは、人は社会のなかで生きる以上、かならず「表に出してはならない部分」を抱えることを意味する。その量や質には個人差はあるかもしれない。けれども、自分の本心を丸出しにして生きていける人は、そう多くはあるまい。
 だからこそ、ある人はスポーツやライブなどに赴くことで、社会と自分の齟齬から生まれる余分

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素人の玄人に対する目線

1

 僕は人生のある時期から、自分の知識や技術で飯を食うことにした。

 それ以来、最も重要なことは、自分の食い扶持となる知識や技術をどれだけ高めるかであると思っていた。もう少し正確に言えば、それが最も重要であると思おうとした。
 その理由は、そもそも人脈を作ったり交渉をして相手を翻意させたりということが、とことんまで苦手だったから。もう本当にそういうのができなかった。そんな感じだったから、人間

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ある日の終演後の会話についての備忘録

 トランペットらしい音や演奏。

 といえば、ブルックナーの交響曲のような重厚なオルガニックな響き、バロック音楽に見られる天上から降り注ぐような明るく崇高な響き、あるいは空間を切り裂くようなハイノート、楽器のベルがビンビンに鳴るような華やかでヴァイタルな音やプレイ。思い出されるのはこんなものだろうか。

 でも、自分は、そこそこ長い期間トランペットを吹いていて、そのどれも目標としていなかったような

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妄想クラブ運営記録(裏) 今更サカつくEU 別アカウントに移転します

妄想クラブ運営記録(裏) 今更サカつくEU 別アカウントに移転します

 なんとなくですが、このサカつくEUのプレイ日記、別のアカウントでやることにしました。移転先はこちらになります。

 プレイ日記自体は続けるつもりです。単に見づらいというか、書くものを目的ごとに分けられるならその方がいいよなーとおもったので。

 そして、移転を機にまた一からプレイし直します。まあ、それもまたいいかなーと。といっても、序盤はあまり変わり映えしないと思いますけど。

 ※これまでの記

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「好き」の無垢性という神話

1

 SNSなどを見ていると、昨今は「その人の好きなものを否定するな」というのが基本的なマナーであるらしい。
 まあ、わからないでもない。自分の好きなものを否定されると嬉しくないのは確かだ。僕の大好きなChet Bakerをディスられると、「なんだこいつわかってないな」とか思うだろう。また、かつてとある知人のピアニストに、別の知人が「そんなピアニスト好きで追いかけてたって何も面白くないよ」と言っ

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受容とこだわり

 その昔、『団地ともお』という漫画がありまして。その作中では、小学生に人気の「スポーツ大佐」という漫画があるという設定になっておりました。柔道着を着た口髭を生やした正義の味方、スポーツ大佐が主人公です。『団地ともお』の主人公ではなく、その漫画内で流行っている漫画の主人公がスポーツ大佐です。面倒ですけど。スポーツ大佐はお供のカラスとクマとともに、悪をやっつける正義の味方なのです。団地に住む小学生たち

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目標でも誓いでもなく

目標でも誓いでもなく

SNSを見ていると、その内容に絶望的な気分になることの方が多い。厳密に言えば、「多い」のは統計的なものというより主観的なものなのだけれど、僕自身が受けるダメージのようなものは、主観的な印象として「多い」ことには変わりがない。
 困ったことに、これはリアルな人間関係の中でもあまり変わらない。仕事をしていると、他人の発言に眉を顰めたくなることは案外多い。趣味の世界でさえ、そういう場合がある(こちら

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価値判断の基準のありか

 数ヶ月前、とある単発企画ビッグバンドに誘っていただき、そのライブが先日無事終わった。大勢のお客さんにご来場いただき感謝の極み。
 ごくごく一部から、演奏についてのお褒めの言葉もいただけたのも有り難いこと。もちろん、お褒めの言葉を100%額面通りに受け取るわけにはいかないと思うが、それでも100%ウソやお世辞として受け取るのも失礼にあたる。とりあえず、そう言っていただいたことはありがたく受け止めた

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まやかしの夢

1

 大河ドラマ『どうする家康』で、関ヶ原の戦いで敗者となった石田三成が語った言葉だ。なかなかいい台詞だと思って見ていた。
 おそらく、ドラマの演出としては、石田三成に「戦乱を求むる心」が確かにあり、それを本人も本懐としているというものだったように思う。けれども、その戦乱を求める心は、三成の現実より理想を追い求める指向性によって生み出されたのではないか、そんなふうに想像している。

 おそらく一

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憧れと距離

1

 僕がジャズをやり始めたのは、とあるビッグバンドに加入したのがきっかけだった。
 いや、厳密には、この言い方は適切ではない。それまでオーケストラでクラシックしかやったことがなかった僕が、参加できそうなオケが身近になくて、だったらそれまでやったことないジャズをやってみようと思ったのだった。そう思うようになった細かい理由だの経緯だのは忘れたけれど。それで、ジャズの演奏を学ぶ上で、とりあえず集団に

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「愛」とはつまるところ「都合がいい」

1

 プラトン『饗宴』によれば、ソクラテスは愛について、それ自体が価値なのではなく、価値あるものを求める心の動きだと説明していた。この説明は至極納得のいくものだ。それが大切な人であれ、あるいは何らかの理想であれ、それを「愛する」とは、その対象を求める心の動きなのだ。さすがソクラテスというべきか。
 ただ、「価値あるもの」とは何か。それは結局のところ、「その人にとって価値あるもの」というしかない。

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ピアノという楽器に対する特別な想い

1

 一応、身近なジャズ仲間たちからは「フリューゲルホルン奏者」「トランペッター」として認識されていると思うし、僕自身もそのような自己認識を持っている。もちろん、あくまでアマチュアの奏者であり、それ以上の認識はされていないだろう。
 高校生になってオーケストラでトランペットを始め、大学でオーケストラのトランペットにどっぷりと浸かり、卒業してから若干のブランクを経て、「よしジャズをやろう」と思い立

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音を通したつながり

1 

 ここしばらく、ラッパ人生で最大の不調だった。別のところでは「1ヶ月くらい」と表現した記憶があるのだけど、実は今年の3月からずっと不調だったようにも思う。
 不調とは何を意味するか。出せる音を制御しきれないということ。そして、出せて制御できる音の範囲があっという間に狭くなってしまうということ。僕は元々耐久力には難があって、延々吹きっぱなしのマーチとか全く吹けなくて(しかも音楽的に面白いと思

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