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杉原梨江子編訳(2016)『自分を信じる 超訳「北欧神話」の言葉』幻冬舎

ダイレクトに語りかけてくる

人間、色々な決断をするときには迷いというものが生じてくる。
そして高い確度で意思決定したい時に、色々と情報をかき集めてくるものの、そのかき集めてきた情報が更に自分の意思決定を迷わすことも多々あるのがこの世の常である。

そうして誰かの考えにすがりたい気分になっている時に、すがるべき相談者もいない、そんなときに役立つのが、この本かも知れない。

本書の題名である「自分を信じる」。まさにこれが本書が読者に対して語りかける本質そのものであり、自分を信じ切るために本書では、自分、会話、勇気、友情、憎しみ、賢さ、富、宴会、愛、運命、これらに関する短い言葉で読者に気づきを与えるのである。

本書は冒頭で「絶対的に、自分を信じる」、「決して、あきらめない」、「運命は、自分で切り拓く」の文字が掲げてある。本書をすべて読むと、この冒頭の言葉の意味を深く感じ取れる。

また、本書には心憎い気遣いもあり、各ページの下部には、北欧神話の言葉の切り抜きが掲載されている。本文を一通り読み終え、今度はページを逆にこの下部の言葉を読み進め、最後にまた冒頭の言葉を噛みしめる。なかなかおもしろい読み方も出来るので、チャレンジして欲しい。

今のわたしには、人の言葉に左右されない、先延ばしにしない、この世にまだないものに挑む、ひとりを愛し抜く、誰も自分の運命を知らない、等の言葉が刺さった。

個人的には、不正をそのまま見過ごすことができず、告発の上、そのような信頼感すらない組織と、それをもみ消そうとする上層部に嫌気がして退職を決意したが、癌患者である自分がこの先大丈夫なんだろうかと迷いがある時に本書に出会うことができ、自分の意思決定を信じることができた次第。

きっとわたしの今に、出会うべきして出会った本だと思う。この本との出会いに感謝したい。

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