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30歳独身男性、「孤独の妖怪さんぽ」 ft.心の中の井之頭五郎

境港は妖怪で溢れている。なにを隠そう、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者・水木しげる御大の出生地なのだから。今年30歳を迎える私も、妖怪を見ると浮かれてしまう。なにを隠そう、私も少年だった時代があるのだからーー。
これは、気まぐれに訪れた境港の地で、大の大人がはしゃいでいるだけの記録。

ふう、ようやく境港に着いた。と、商談までだいぶ時間もあるし、ちょっとここらの妖怪を冷やかすとするか。
おや、早速なかなかアクロバティックなヤツが現れた。

いそがし

うーん…コイツは、見るからに忙しそうだ。

舌が出ているのは、息が上がっている証拠だろう。外回り中か…? 
それに舌が金色じゃないか。美しい
きっと、多くの人がなで回していったに違いない。

観光客に愛される妖怪って、素敵だよなあ。
しかし、資本主義の犬のような面をしてるのだけはいただけない。
この面になったら、人間は終わりだ。身を引き締めよう。

水虎

ウン、なんてチャラそうな妖怪なんだ。

湘南のサーファーを彷彿とさせる
コイツはモテる。間違いない。動揺して写真がブレてしまった。
心なしか、後を走る車までチャラく見えてきた。

頭頂部が薄くてもカッコイイ人って、いるんだよなあ。

豆狸

ほう、これは実に写実的だ。金玉で我が身を包んでいる。

実際、金玉ってこれくらい腫れること、あるんだよなあ。
この子はきっと歩くことすら辛いに違いない。
色々と苦労してるはずだ。

パンツは家族と分けて洗わなきゃいけないとか、漢方薬を飲まされるとか。
東洋医学も偉大なものだ。おっと話が逸れてしまった。
うん、お大事に。

お歯黒べったり

あっ、綺麗なお姉さんの後ろ姿が見えるぞ…

おっと、のっぺらぼうか、これは怖いな。
と思ったらあれ、脚はエッチだな。
お歯黒のグロテスクさも、脚の良さを引き立たせる要素というわけか。
なるほど、よく考えられている。

のんのんばあとオレ

おっと、これはなんの妖怪かな。
ふむ…あっ、わかったぞ。

老婆が少年を食べようとしてるわけだ。
もぐもぐ、はふはふ、むしゃむしゃ。

うおォン。この老婆、まるで人間火力発電所だ


ふと、腕時計を見遣る。
やはり商談まで時間がある。ここらでランチとしゃれ込むか。

水木しげるロードから一本入った路地にひっそりと佇むお店、喫茶クロ。
1957年創業の、地元の人から愛される老舗だ。
普通の喫茶店、そうそう、こういうのでいいんだよ…と思いきや、名物は海鮮料理ときた!

格安価格で漬け丼を楽しむことができる。
コーヒーセットで1100円。
海鮮丼にコーヒーが合うかは試してみてのお楽しみだが、このコスパはかなり魅力的だ。

店前で売られているお惣菜を買って宿に帰れば、最強晩酌モード突入間違いなし。
商談終わりにもう一度顔を出すとするか…。

くーっ これですよ
持ち帰り! そういうのもあるのか

高端:本作の主人公。医療機器メーカーに勤めている。孤高で自由な生き方をモットーとし、結婚や脱サラすることについては「守るものが増えて人生が重たくなる」として敬遠している。

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