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#映画感想文
令和邦画しぐさとしての最高峰「ゴジラ-1.0」
落日を超え地中深くまで沈降していく昨今の邦画であるが、天下のアカデミー賞まで手にした「ゴジラ-1.0」
「ゴジラ」という邦国が生んだ珍しき哲学的キャラクターを、「シン・ゴジラ」は3.11後の天災とともに生きてきた邦国の歴史とそれに人間は成すすべもない原初的体験を見事に群像劇として書き上げた。
GODZILLAはその誕生の悲劇の責任を当てつけられている当の彼の国により、キングコングと殴り合うMONS
映画『オッペンハイマー』レビュー〜責任という名の虚構に踊らされるプロメテウス
映画「オッペンハイマー」を見た。
クリストファー・ノーランの映画は必ず映画館で見ることにしている。
時の魔術師クリストファー・ノーランは、「インセプション」では断層的な夢の世界の時の魔術を、「ダンケルク」では空間と速度における時の魔術師を、「テネット」では時間さえ逆行させてしまう大魔道士となった。IMAXフィルムを使ってね。ホイテマ。
「オッペンハイマー」は時の魔術師としての新たな秘術を・・・と思
世間の生み出した「宮崎駿」を宮﨑駿がパロディーにした映画『君たちはどう生きるか』
宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』を満を持して見てきた。
エンディングロールが流れる瞬間まで、「このまま終わってしまうのか?」という不安な気持ちを抱えていた。
見終わったときの感想は、自伝的映画であるということだ。
黒澤明監督晩年の映画「夢」「まあだだよ」のような走馬灯的イメージが脈絡なく繋がる自伝的回想夢であり、フェリーニの『8 1/2』のような自嘲的な総括のようでもあった。
そして「宮崎駿」を
ジム・ジャームッシュがわからない
「パターソン」を観たのだが、相変わらずのジャームッシュ節。
何かが起こっているのだが、全体的に俯瞰してみると何も起こっていない。
我らが押井守の「ビューティフル・ドリーマー」的な終わらない日常、そのもっとおしゃれなやつ。そんな映画ばかり。
通ぶるにはちょうどよい「ストレンジャー・ザン・パラダイス」を半分眠りながら観たつもりになっている僕には大いに心当たりがある。
ジャームッシュ映画の特徴は、反主
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」感想 愛を求める二人
ネタバレ注意
まずは簡単なあらすじから。
過去の深い罪に苦しむ主人公リー
一見リア充ながらアイデンティティの不在に苦悩する甥のパトリック
そんな二人が共に過ごす時間を描いた映画。
リーはある事件を起こしたことから、それまでのすべてを捨て見知らぬ土地で本質的な意味での自虐的な生活を送っていた。
故郷を捨て、ボストンの住宅街で便利屋として働きながら、酒と喧嘩に溺れ無機質な部屋でただ生きながらえてい