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先生は本と映画です。

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タイトルの通りです。本や映画という先生から感じたことを書いています。
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#エッセイ

ジョジョ・ラビットは、「愛にできることはまだあるよ」と教えてくれる

ジョジョ・ラビットは、「愛にできることはまだあるよ」と教えてくれる

友達の誰かが「最高!」と言っていたことだけが頭の片隅にあった「ジョジョ・ラビット」を観た。

本当に「最高!」だったので、まだ観てない人は今すぐ劇場に足を運んでください。

舞台は第二次世界大戦まっただ中のドイツ。

ナチスに傾倒し、心の中に空想上のヒトラーを友達として持つ10歳の少年ジョジョ。彼が青少年集団ヒトラーユーゲント(ナチスへの心棒を深める大人の陰謀マシマシのボーイスカウト)のキャンプに

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平凡な日々、繰り返される日々にも意味はあるよ

平凡な日々、繰り返される日々にも意味はあるよ

僕らは気を抜くと、一日が一瞬で過ぎ去っていく。気づけば、1週間、1ヶ月と過ぎていく。そんな日々を送ると、人生の意味を見いだしづらくなるかもしれない。

ジム・ジャームッシュ監督映画「パターソン」は、モノクロに見える世界に彩りを取り戻させてくれる。

あるバス運転手の日常主人公は、アメリカ、ニュージャージー州のパターソンで、バスの運転手として生計を立てている男。彼の名も、州と同じ名前パターソン。白黒

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物語の価値について

小説は「消費」、ビジネス書は「投資」

昔読んだビジネス書にそんな一節が書かれていた。

その本の内容自体は素晴らしかったが、この一文だけには数年たった今でも賛成できない。

僕は小説が好きだ。物語が好きだ。フィクションでもノンフィクションでも。ミステリー、コメディ、ヒューマンドラマ、ファンタジー。ジャンルレスに好きだ。

仕事の関係で流石に年間3桁も小説は読めないけど、電車の中や寝る前に数ページ

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「悩む」って本当に悪いことなのか

「悩む」って本当に悪いことなのか

社会人になると、「悩むことは時間の無駄だ! 悩むくらいだったら動いて失敗したほうが良い!」という声を聴くことが多くなった。

Googleで「考える 悩む 違い」と検索すると、「悩むのは悪いこと」という意見が目立つ。一般的に「悩む」ことにはネガティブなイメージがついている。辞書で「悩む」を調べてみると、いたみ苦しむ。病む。こまる。などの解説が出てくる。

だけど、そんなに各方面からバッシングされる

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なぜフレディは、多くの人の心を癒したのか

なぜフレディは、多くの人の心を癒したのか

あなたの本名がフレディ・マーキュリーではなく、ファルーク・バルサラだと知ったのは、映画「ボヘミアン・ラプソディ」がきっかけでした。

あなたは死んでなお、多くの人に愛され、あなたの全盛期を知らない僕みたいな若者ですら熱狂する映画の主人公として、伝説のロックシンガーとして、今も語り継がれています。

なぜ「ボヘミアン・ラプソディ」が、ここまで年代を超えて多くの人を胸打ったのか。それはあなたが一重に、

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明日から学校に行きたくない君に送る、5冊の本

明日から学校に行きたくない君に送る、5冊の本

8月31日が来てしまったと、一大決心をしようとしている君へ。

僕は卑怯者だ。

だから、安易に「頑張れ」という言葉をかけたくない。
頑張れない人に「頑張れ」と声をかけるのは、言葉の暴力だ。

僕は無責任だ。

だから、君が明日、学校に行くかどうか迷っているのに対して否定も肯定もしない。
自分一人の人生を支えるので精一杯なのに、君の人生の責任を負えない。

ただ、もし君が出口のない迷路で行き場をな

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「普通」の幸せってなんだろう?

「普通」の幸せってなんだろう?

「普通」の幸せとはなんだろう。

そう考えたのは、お盆休みを利用して、大学時代の友人たちと北海道に旅行をした帰りだった。

彼らは一緒のバンドサークルのメンバーで、かれこれ7年近い付き合いになる。

台風が過ぎ去ったにも関わらず、6日間中5日間は雨が降っていたが、初日からジンギスカンをたらふく食べ、そのままの足でカラオケに行き深夜2時まで歌った。

次の日から3日間は北海道で行われている野外ロック

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就活における誠実さについて考えさせられる本

就活における誠実さについて考えさせられる本

会社でサマーインターンが始まった。

いま就活している彼らは平成最後の就活生で、僕らにとっては平成最後のサマーインターンの学生だと思うと、少し感慨深い。

彼らを見ていると、同じように暑い夏の日にインターンの面接を受けていたことを思い出す。
セキセイインコみたいだった髪の毛をカラスみたいな色に戻して、同じようにカラスみたいなスーツに身をまとって。

あの頃の自分は、今よりも何にも考えていなくて、就

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通常の300倍のコストをかけてトースターを作った男の話

「あなたはゼロからトースターを作ったことがありますか?」

突然こんな質問をされたら、100人中99人は「無い」と答えるだろう。
残りの1人は、小学生の頃の夏休みの自由研究でトースターを分解して、一から組み直した解体好きの少年に違いない。

だけど、ここで問うている「ゼロから」の意味は、「部品から」という意味では無い。

トースターのフォルムを形成しているプラスチックや骨組みとなる鉄。パンをじんわ

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【初回限定】お客さん目線で考えた「カメラを止めるな!」を200%楽しむ方法。

【初回限定】お客さん目線で考えた「カメラを止めるな!」を200%楽しむ方法。

正直言うと、「カメラを止めるな!」は、もう情報が溢れすぎていて逆にバズる前のお客さんのように楽しめなくなる可能性があるのでは無いかと危ぶんでいます。

まだ観ていない人は、不容易にググったり、twitterで検索したりしないで、いますぐにネットでチケットを予約してtiwtterは閉じましょう。

このnoteは、まだ作品を観ていない人向けに、最大限に「カメラを止めるな!」を初回から楽しむ方法を考え

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スーパーヒーローになりたいあなたへ

スーパーヒーローになりたいあなたへ

男の子なら誰しも、小さい頃にヒーローへの憧れを持つと思う。

日曜朝7時半からの「スーパーヒーロータイム」。幼稚園児だった僕も、あそこに出てくるヒーローにどっぷりと浸かって、新しいヒーローが出てくるたびに親に変身ベルトや武器のおもちゃをねだった。

ベルトをつけてスイッチを押せば、ピカピカとランプが点滅して憧れのスーパーヒーローに変身することができる。なんどもなんども変身したのを覚えている。

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「やりたいことが見つからない」迷路から抜け出す方法

「やりたいことが見つからない」迷路から抜け出す方法

「別にやりたいことなんかないし、志望動機だってない。なのにこの空白を埋めないとエントリーする権利すらない」

そんな風に就職活動が大嫌いだった僕だったが、神様のいたずらなのかわからないが、社会人になってからずっと人事の仕事をしている。
人事チームの中でも採用担当として、どうやったら自社とマッチする候補者と出会えるかを考えたり、対面で沢山の人と面談をするのが僕の主な仕事だ。

新卒も中途も、ビジネス

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調子に乗れない世の中で、調子に乗ることを薦めたい

調子に乗れない世の中で、調子に乗ることを薦めたい

「イノウ君のくせに調子乗んなよ」

そう言われたのは、小学校5年生の時だっただろうか。その頃僕は中学受験のために塾に通わされていて、小学校で行う授業は随分と簡単に思えていた。隣で席をくっつけたO君は、体がでかく、ガキ大将のような風貌だった。

その彼が、授業中算数の問題がわからないと言うから、解き方を教えていたら、ちょっと僕の声が大きかったと言う理由だけで、自分が算数の問題を解けないことを周りに馬

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自分が作ったものなんか価値がないんじゃないかと思っているあなたへ

自分が作ったものなんか価値がないんじゃないかと思っているあなたへ

ちょっと恥ずかしい話なのだけれど、小学生の頃とある作品の二次創作小説が掲載されているウェブサイトを見つけ、自分も書いてみたいと思い、半年くらい投稿していたことがある。

一人っ子だった僕は、小さい頃体が弱く、何度か入院生活を送っていた。その頃、母親が買ってくれたレゴブロックの基本セットで遊んだことを皮切りに、自分の頭で描いた設計図を現実の世界で作り出すのが好きになった。

だから、面白い二次創作小

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