イノウ マサヒロ / 編集者

1991年、千葉県生まれ、早稲田育ち。編集者・ライター・広報が肩書きです。将来の夢はカ…

イノウ マサヒロ / 編集者

1991年、千葉県生まれ、早稲田育ち。編集者・ライター・広報が肩書きです。将来の夢はカレー屋です。

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「才能」が無くても、「好き」は仕事にするべきなの?

「才能」という言葉を意識し始めたのは、文章の書き方を本格的に習うようになってからだった。 大学を卒業した後、手に職をつけようと思い、元々興味のあったライティングのスキルを磨くため、池袋にある天狼院書店というところで修行をしていた。僕がライティング・ゼミと呼ばれるゼミでライティングの勉強をして半年がすぎた頃、新しく「ライティング・ゼミ・プロフェッショナルコース」という、より文章のスキルを磨くためのコースが新設された。 「ライティング・ゼミ・プロフェッショナルコース」は、お金

    • 「才能」は「コミュ力」に負けるのか。「笑いのカイブツ」を観て。

      笑いのカイブツをみた。岡山天音の怪演が素晴らしかった。 「コミュ力」VS「才能」 この映画のテーマは「コミュ力」と「才能」だ。 友達もおらず実家で永遠とラジオの大喜利企画に応募をし続ける主人公のツチヤ。彼はいつもストップウォッチを片手に5秒でネタを一個作る、というのを繰り返している。1万時間やれば誰でもプロになれる、という話があるけど、ツチヤは大喜利の世界ではアマチュアながらプロだった。 そんな日々を送るうちに、いつも投稿しているラジオでMCを務める芸人xxxから、「こ

      • 40代にこそ観てほしいLIHGT HOUSE

        お正月の休みを利用してLIGHT HOUSEを(今更ながら)一気観した。 星野源とオードリー若林という世間的に見たら成功者と言える二人が、市井に生きる自分たちと同じような鬱屈とした悩みを抱えており、視聴者と近い目線で悩みを吐露し合う。筆者は星野源の曲を全部聴いてるわけでも、オードリーのオールナイトニッポンを聴いてるわけでもない、二人の視聴者としては圧倒的なビギナーなのだが、深夜ラジオを聴いているようなゆるさと二人の絶妙な言語化力、時折でる黒い暴露話に次々とエピソードを見てし

        • PERFECT DAYSの「虚構」が示す「希望」

          俳優の役所広司さんが、カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞した「PERFECT DAYS」を見てきた。 「PERFECT DAYS」はトイレの清掃員として働く役所広司演じる平山の日々のルーティンを淡々と描いた作品だ。非常に面白い作品である一方、その中である違和感を感じた。それは、描かれている日常でたびたび挟まれる「虚構」だ。 (以下ネタバレを含みます) 計算されすぎた「日常」に感じる「虚構」例えば、平山の同僚タカシがダウン症を持つ青年と分け隔てなく接しているシーン。 タカ

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          誰かの今を美化する、という生き方

          人生はない物ねだりの連続である。 今自分が手にしているものの尊さや素晴らしさに気づかずに、そこにはないものに手を伸ばしてしまう。どうして手に入ると色褪せて見えてしまうのだろう。あんなに買うまではワクワクしてた十数万のコートが、3回目あたりから慣れてしまうのはなぜだろう。嫌だった職場が、離れた途端よかった場所かもしれないと思うのはなぜだろう。どうして、目の前の現実より、記憶や想像のショーケースに入っている未来や過去の方が素敵に見えてしまうのだろう。 にも関わらず、それが一度

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          個人的な話が社会問題と繋がるから映画は面白い。2022年の映画ベスト10

          2022年公開の映画の中でベスト10を。 カモン・カモン(脚本・監督 マイク・ミルズ)子供は写し鏡。 もしも、明日から9歳の甥っ子を預かるとして、その子とうまくコミュニケーションを取れるだろうか。9歳は、「9歳の壁」という言葉があるくらい、子供の成長発達段階において大事な時期な一つで、イヤイヤ期とも呼ばれる。 本作はラジオジャーナリストのジョニー(ホアキン・フェニックス)とそんなイヤイヤ期真っ盛りの甥っ子ジェシー(ウディ・ノーマン)がお互いをぶつけ合いながら、少しづつ互

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          ボルダリングから考えた組織のあり方

          最近、ボルダリングにハマっている。そう話すと、「腕の筋肉めっちゃ使いそう」とよく言われる。僕もボルダリングにガッツリとハマるまでは、同じような認識だった。 だが、実際に何度も登ってみるとわかるのだけど、腕の筋肉はほとんど使わない。もちろん、突起をグッと掴むための握力だったり、大事な時の踏ん張りで肩や背中の筋肉を使うこともある。だけど、大半は下半身の踏ん張りやかきこみ、重心移動がキモになってくる。 実際、ジムに通うと実感するが、登っている人には30歳の自分より年上の人も多い

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          異世界転生のアンチテーゼとして観る、ロマンス・コメディ「わたしは、最悪。」

          第94回アカデミー賞に国際長編映画賞と脚本賞にノミネートされた「わたしは、最悪。」は、20代後半から30代前半でぶち当たる人生の踊り場を描いた、「何者」かになりたいが、なれずもがく女性の話だ。しかし、少し違った見方をしてみたい。それは、もしも自分が主人公のユリアとして転生したら、という見方だ。 ユリアは、医学の道を志し大学に通うも、途中で「なんか合わない」という理由で「心理学」の道へと進むが、またしても「なんか合わない」という理由で「写真家」へと転向する。しかし、写真家にな

          異世界転生のアンチテーゼとして観る、ロマンス・コメディ「わたしは、最悪。」

          「なんとなくモヤモヤ」を解消する「幸せのメカニズム」について

          同じ仕事をしているのに、仕事が楽しいという人とそうでない人がいる。たくさんお金を持っているのに不満そうだったり、逆にそこまで贅沢をしていなくても幸せそうな人がいる。 誰しも不幸になりたくて生きているわけではないのに、その差はどこから生まれるのか。何より、自分も日々を「幸せ」に過ごしたい。 なるべく誰もが取り入れられそうな幸せになれる方法はないのだろうか。 そんな疑問から、幸福学について研究されている前野隆司さんの「幸せのメカニズム」を参考に、その方法について考えてみた。

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          批評ができると、人生が面白くなる。「批評の教室」北村紗衣 著

          映画のレビューアプリ「Filmarks」を見ていると、たまに「すごい深読みをしているな」というレビューに出会うことがある。物語で描かれている小物や流れている音楽、監督の趣向など、知らなくても楽しめるけど、知ったらより楽しめるようなことについて書かれているレビューを読むと、自分もそういったレビューが書けたらいいのになと思う。 「批評の教室」は武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授の北村紗衣さんによる、批評初心者のための入門書だ。批評のステップを「精読」「分析」「書く」の三つに

          批評ができると、人生が面白くなる。「批評の教室」北村紗衣 著

          「肩書き」を「生き様」と捉えてみる

          ずっと編集者を続けているにもかかわらず、編集者として個人の名刺を持っていなかったので、デザイナーの友人まひろにデザインを依頼し、作ってもらった。 肩書きと名前以外には、押印に見立てた「編」の字があしらわれただけのとてもシンプルなものだ。「編」の字の中には「イノウ」の文字が隠れている粋な仕様。印刷所は大分にある「高山活版社」。1mmという名刺にしては分厚い紙に、強い印圧で文字を押している。 編集者を名乗り始めて、4年ほど経つ。もともとWEBメディアの編集が出自だけれど、最近

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          視野に限界はあるが、配慮に限界はない / 朝井リョウ「正欲」を読んで

          朝井リョウの「正欲」を読んだ。 この本は、昨今当たり前のように聞く「多様性」をテーマにした小説だ。多様性とぱっと思い浮かべるのは、ジェンダーや国籍、健常者と障がい者などが同じ空感で共存している様子だろう。前提として、こうした共存が可能になっているのはとても素晴らしいし、尊いことだと思っている。 だが、朝井リョウはマジョリティが作った「多様性」という言葉では包括できない存在をとりあげ、僕らが言っている「多様性」は、結局は自分の視野の中で作った「多様性」でしか無いのでは、と疑

          視野に限界はあるが、配慮に限界はない / 朝井リョウ「正欲」を読んで

          佳い「書き手」は、佳い「聞き手」である—「取材・執筆・推敲――書く人の教科書」を読んで—

          ライターの古賀史健さんの最新の著書「取材・執筆・推敲――書く人の教科書」を読んで、もしタイムマシンがあったら過去に取材している自分一人ひとりをかき集めて説教したいという気持ちになった。 敏腕ライターの先輩に教えてもらったこの本は、480ページという大容量だったが、一日で読み終えてしまった。古賀さんの圧倒的な構成力が土台にあるのはもちろん、「これを今読み切らなければならない」という強迫観念のようなものがあった。なぜなら、そこに書かれていることは、自分の取材態度の甘さに喝を入れ

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          生きづらさを抱える人にオードリーの若林さんの新著を。

          オードリーの若林さんの新作エッセイ「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んで、希望と絶望が同時に押し寄せてきた。 この本は、彼がキューバ、モンゴル、アイスランドについて書いた紀行文だ。「すべらない話」を聞いているかのような面白さ、時折出る人間くささ、そしてハッとさせられる含蓄のある名言がミックスされた最高の文章たちで綴られている。 そして、「生きづらさを抱える人」への手紙でもある。 キューバは彼にとって初めての一人で訪れる異国だった。その理由は大学院生の家庭教

          生きづらさを抱える人にオードリーの若林さんの新著を。

          今年観た120本の映画からベスト10を選んでみた。

          2020年が始まった時「映画を100本見るぞ」と意気込み、無事達成したので、その中でも特に印象深かった作品を10個選んでみた。 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編原作は知っていたし、無限列車編のあとがどうなるかも知っていたけど、それでもなおグッとくるものがあった。あんなに映画館の空気が一体化するんだなと。 観た人の多くが感じたと思うけど、やっぱりラストシーンの描き込みはえげつない。あのシーン作るだけでどれだけ時間かかってるんだろうと思った。 細かいところで印象に残っているのは

          今年観た120本の映画からベスト10を選んでみた。

          「問い」から始まる文章も良い

          普段、編集者という仕事柄、何か文章を書く時に「誰に」「何を」伝えて「どうなって欲しい」のかを考えてから始めることが多い。 いろいろな文章にまつわる本にも、そういう風に書くと良いですよ、と書かれている。 それだけではなく、「伝わる文章」というのはたくさんの条件があり、普段それに準拠して書いていると、雑記的に何かを書くことに対して非常に腰が重くなっていることに気づく。 「伝えること」が最初から明確になった状態で文章を書き始めるのももちろん良いけれど、なんとなく頭に浮かんだ答

          「問い」から始まる文章も良い