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今年観た120本の映画からベスト10を選んでみた。

2020年が始まった時「映画を100本見るぞ」と意気込み、無事達成したので、その中でも特に印象深かった作品を10個選んでみた。

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編

原作は知っていたし、無限列車編のあとがどうなるかも知っていたけど、それでもなおグッとくるものがあった。あんなに映画館の空気が一体化するんだなと。

観た人の多くが感じたと思うけど、やっぱりラストシーンの描き込みはえげつない。あのシーン作るだけでどれだけ時間かかってるんだろうと思った。

細かいところで印象に残っているのは、一番最初に炭治郎がおばあさん(お母さんだったかも)の荷物を汽車の荷台に載せてあげるシーン。ここ原作にはないんですよね。おそらく、鬼滅を初見で見た人でも炭治郎の人を思う優しい性格がわかるように追記されたシーンだと思うのだけど、その心くばりがすごい。神は細部に宿るを体現したような作品。

はじまりへの旅

最近、哲学者の千葉雅也さんが「勉強することは、自分が慣れ親しんだ世間の"ノリ"から離脱すること」と書いていたのを目にしたのだけど、それを極端に体現しているような映画。

主人公のベンと6人の子供は、現代社会から離れ森の中で暮らしている。ベンの教育により、子供たちはアスリート並みの体力と、大学院生並の知識を身に着けている。その一方、現代社会のイロハを全く知らない。そんな彼らが、母の死を期に都会に赴き、自分と世間の価値観のズレをありありと感じながら、正しさとは何かを考えていく。今自分が常識だと思っていることの一歩外側に出て、眺めてみようと思わされる。

俺たちは天使じゃない

若き日のロバート・デ・ニーロとショーン・ペンが主人公のコメディ映画。脱獄犯の二人が逃げ込んだ国境近くの教会。二人は神父に変装して国境を越えようと試みる。ところが、神父だと信じている周りの人にお節介を焼いているうちに、二人の心にも変化が起きていく。そんな中、ついに教会の行事に乗じて国境を超えるチャンスが訪れる。

人間が変わるのに必要なのは、付き合う人、環境、時間の使い方と聞いたことがある。二人は環境の影響で良い人として振る舞わざるを得なくなるが、それが当初二人が予期していない変化をもたらす。環境が変わればいくらでも人の可能性は開花するんだなと思わせてくれる。それにしても、若き日のデ・ニーロはイケメンである。

1917

2020年のアカデミー賞ノミネート作品。仲間の命を救うための伝令を届けるイギリスの若い兵士の一日を描いた作品。ノーカットで撮ったような演出が高く評価されていました。一日の始まりから終わりまでの流れの中で、人の一生を様々なメタファーを使って表現していて、個人的にトップで素晴らしいと思った。ノーカット風かつ、常に主人公と同じ目線で時間の流れを味わえるため、ずっと物語に没入できる。この映画、脇役も豪華で、イギリスのドラマ「SHERLOCK」でホームズとモリアーティを演じる、ベネディクト・カンパーバッチとアンドリュー・スコットが共演しているのが個人的に熱かった。

パターソン

個人的に日常の幸せを描かせたらピカイチだと思っている、ジム・ジャームッシュ監督作品。スターウォーズで一躍有名になった、アダム・ドライバーが主演。バスの運転手パターソンが、自分と同じ名前の町で過ごす日常の中で感じる些細な変化や小さな幸せが丁寧に紡がれている。バスの乗客の会話に耳をそば立てていたり、その日あったことから自作の詩を書き留めている彼の生き方を見ていると、ルーティンのような日々の中にも楽しいことが沢山あると気づかさせる。アダム・ドライバーは「ブラック・クランズマン」や「マリッジ・ストーリー」での演技も最高だよね。

架空OL日記

バカリズムが原作・脚本・主演の脱力系コメディ。女性銀行員の日常がオムニバス形式で展開される。あらゆることに意味を見出し、話のネタにして、世界を広げていく彼女たちに脱帽。現実世界の方が面白いこと沢山あるよなーと感じる。上であげた「パターソン」とはまた違った切り口で、日々の面白さを教えてくれる。会話のテンポのよさと小気味よいツッコミの応酬が、さすがバカリズム、と思わせてくれる。年明けのボーッとしている時間とかに、お酒片手に見ると多幸感に溢れそう。

ブックスマート

勉強一筋で高校生活を送ってきたエイミーとモリー。名門大学に進学することを誇りに思う二人だったが、実は遊び呆けていた同級生たちも同じように名門校に進学したり、有名企業でインターンが決まっていることを知り絶望。卒業前夜に青春を取り戻すために奮闘するコメディ映画。多様性の高いスクールメイトたちが当たり前のように存在しているのがとっても良かった。時代によって変わるものと、いつの時代も変わらない感情みたいなのが混ざりあっててZ世代の青春!って感じ。優しい映画だった。

9人の翻訳家

フランスの監督レジス・ロワンサルのミステリー映画。今年見たミステリーの中では一番面白かった。大ヒット三部作の三部目を世界同時公開するために集められた翻訳家たち。彼らは設備は不自由ないが、外界との連絡が遮断された地下室で、2ヶ月で翻訳作業を行っていた。その矢先、内容の一部がリークされたと、依頼主に飛び込んでくる。この中の誰かが犯人なのかは間違いない。どんでん返しにどんでん返しを重ねつつ、創作の価値を問うた良作。

ミステリーものって、いかにこれまで出たトリックを超えられるか、みたいなところがあると思うけど、本作はこっちの期待を沢山裏切ってくれて良きでした。

マイ・マザー

天才グザヴィエ・ドラン監督・脚本・主演作品。今年は「トム・アット・ザ・ファーム」や「胸騒ぎの恋人」、「わたしはロランス」など、彼の作品を多く見てきたけど、その中でも心に残った作品。

この映画には、沢山の愛の形が存在する。

母と子、教師と生徒、恋人。どの愛も形は異なる。母と子の愛は複雑だ。好悪の感情を超えている。大嫌いと思っても、もし居なくなったら言いようのない寂しさに襲われる。血がつながっているのに、なぜか理解し合えないと決めつけてしまう。理解しようとしているのにずれてしまう。子供の世界が作られるにつれて、関係がこじれてしまう家族とそうでない家族がいる。

自分も主人公ユベールと同じような感情を思春期に抱いていた。親と友達のような関係を持つ友人がうらやましかった。きっとわかってくれないだろうと決めつけていたが、今なら自分が相手の立場に立っていなかったのだとわかる。

母と子の感情のゆらぎを絶妙に描ききった映画。ガラスのように一見美しいが、割れると凶器にもなってしまうヒリヒリとした関係に共感しかなかった。

(マティアス&マキシムは見れていないので見なきゃ。。)

シカゴ7裁判

暴動に発展したデモの首謀者として捉えられた7人と裁判官の対決の話。法廷では裁判官の力により、様々な不条理がもたらされるが、それに7人が抵抗していく様子はスカッとする。

言葉は使われる文脈によって、意味が大きく変わってくることを実感する映画。言葉で戦う法廷において、言葉の力で最終的に勝利を治めるラストシーンは必見。今の時代はちょっとした発言でも都合の良いように切り取られて拡散されたりする。二次、三次で広がった情報を信じるのではなく、事実に目を向け、正しく解釈するのが大事だよな、と再認識させれられる。

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今年もありがとうございました!

来年は140本くらい映画みたいです。

年明けはエヴァが楽しみですね。ついに完結。


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