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毎日読書メモ

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2023年3月の記事一覧

『笑いと涙! 世界の絶景マラソンを走る』(毎日読書メモ(475))

『笑いと涙! 世界の絶景マラソンを走る』(毎日読書メモ(475))

吉木稔朗、伊藤あこた『笑いと涙! 世界の絶景マラソンを走る』(創藝社)を読んだ。
2018年に走った能登半島すずウルトラマラソン(当時の記録はなんと4分割(1)・(2)・(3)・(4))のときに、スタッフとしてお仕事されていて、大会Tシャツや記念品タオルのイラストもずっと描いてきた伊藤あこたさんが絵を描いて、あこたさんご自身と、サブスリー市民ランナーの吉木稔朗さんがエッセイを書いているコミックエッ

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今村夏子『こちらあみ子』(毎日読書メモ(474))

今村夏子『こちらあみ子』(毎日読書メモ(474))

今村夏子『こちらあみ子』(筑摩書房)は2011年に読んでいる。そのときの感想はこちら。
昨年来、今村夏子作品(そんなにたくさんはないけれど)をまとめて読んでいて、久々にデビュー作も読み直しておこう、と、『こちらあみ子』(ちくま文庫)を読んでみた。表紙は、単行本時とかわらず、土屋仁応の「麒麟」。単行本には収録されていない短編「チズさん」(15ページ)が収録されていて、町田康の解説と穂村弘のエッセイも

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米澤穂信『栞と嘘の季節』(毎日読書メモ(473))

米澤穂信『栞と嘘の季節』(毎日読書メモ(473))

米澤穂信『栞と嘘の季節』(集英社)を読んだ。これって「図書委員」シリーズって言うんだ...なんか身も蓋もないな。「古典部」と「小市民」と「図書委員」ってか?
読む前に、『本と鍵の季節』を再読し(感想ここ)、堀川次郎と松倉詩門の立ち位置を確認。次郎も詩門も、積極的に自らを語ろうとしないが、『本と鍵の季節』は詩門の自分探し的な要素が後半の肝となったため、読者は詩門についてはなんとなく知ってしまっている

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べつやくれい『カツ丼を名画にして、冥土で売ってそうな土産を作る生活』(毎日読書メモ(472))

べつやくれい『カツ丼を名画にして、冥土で売ってそうな土産を作る生活』(毎日読書メモ(472))

べつやくれいさんの、Daily Portal Zでの連載が面白くて、昼休みとかに記事を読んではゲラゲラ笑っているのだが、連載の中から厳選された記事を収録した『カツ丼を名画にして、冥土で売ってそうな土産を作る生活』(本の雑誌社)を書店で発見。ぱらぱらと前書きを読んでいたら、

と言われちゃったので、書店で…は買わず、書店の中にいるうちに、スマホでネット書店に注文した(ポイントがたまっていたので)。い

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加藤シゲアキ『オルタネート』(毎日読書メモ(471))

加藤シゲアキ『オルタネート』(毎日読書メモ(471))

一昨年の本屋大賞6位だった加藤シゲアキ『オルタネート』(新潮社)、ようやく読んだ。高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が一世を風靡している社会、高校に籍がある学生だけが登録できて、自分の嗜好を詳しく登録すればするだけ、自分と相性のよさそうな相手を、オルタネートの中の人(AI)がお勧めしてくれる。知らない人でも、フロウを送って(友達申請?)、受けてもらえれば友達になれる。
東京にある、小学校

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新芥川賞作家、佐藤厚志の最初の単行本、『象の皮膚』(毎日読書メモ(470))

新芥川賞作家、佐藤厚志の最初の単行本、『象の皮膚』(毎日読書メモ(470))

『荒地の家族』(新潮社)で第168回芥川賞を受賞した、佐藤厚志の単行本第一作となった『象の皮膚』、初出の「新潮」2021年4月号で読んだ(単行本は新潮社より刊行)。「象の皮膚」は三島賞の候補になっている(その時受賞したのは乗代雄介『旅する練習』)。

色々な要素がバランスよく描かれ、ぎゅっとした印象の作品。
作者が現役の書店員であることは既に色々な媒体で紹介されているが、「象の皮膚」の主人公五十嵐

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