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詩:自分を嫌うたびに美しくなるひと

昔の知り合いの話

わたしの知り合いに「恐ろしく」美しい人がいた

そしてどんどん美しくなっていった

その人は自分を嫌うたびにその美しさが増すのだ、と言っていった


その人と初めて会ってから、最後に顔を合わせるまでに

たぶんその人は当初の三倍くらい美しくなっていた

その輝きで多くの人を魅了し、好かれた

だけどその人は愛されてはいなかった


その人のこころはいくら水を注ごうともどうしようもないくらい

乾いていた


人生に疲れたとき

ときどきその人のことを思う

その人の砂漠のことを思う

そこでは一滴の雨も降らず

生き物はほとんど生きていけない

その砂漠の中に、真っ赤な花が一輪咲いているのが

わたしには見える


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