日記:悪夢を1000円で買った
休日いつものように公園のベンチで天使と話していた
ぼくも天使もやることがないのだ
「〇〇さん、悪夢を買ってみませんか?」
「悪夢?買わないよ、そんなの」
「悪くありませんよ。お金を払ってわざわざホラー映画とか気分の良くないものを観るでしょう?それと同じです」
「その悪夢は誰のものなの?」
「いまは天界が管理しているのですが、もともとは地上の誰かが見ていたものを天使が『収穫』したんです」
なんのために夢を『収穫』するんだろうと思ったが、深くは聞かなかった
「いま持ってるのはどんな悪夢?」
「わからないですね。わたしも詳しくは。でもたったの1000円です。映画を観るより安い」
ぼくは1000円で悪夢を買い、天使と一緒に見ることにした
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薄暗い部屋
わたしはある『視点』になっている
男なのか女なのかもわからない
ベビーベッドに赤ん坊がねころがっている
直感的に自分の子供だということがわかる
赤ん坊に近づくと
真っ赤な目でわたしを見ている
わたしを憎んでいるのだ
わたしは怖くなってその場から離れようとしたが
急に胸が痛くなった
振り返ると赤ん坊がわたしの心臓を両手で握りしめている
それを握りつぶそうという強い意志をもって力を込めているのだ
わたしが激痛で胸を押さえていると赤ん坊は愉快そうな顔をした
心臓を取り返すためにベビーベッドに近づいていくところで夢は終わる
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夢から覚めると汗でシャツがぐっしょりになっていた
「なかなかな「濃い」夢でしたね」
汗をぬぐいながら、天使が言った
「誰の夢なのかは知らないけど」
ぼくは答えた
「誰の夢なのかは知らないけど、ぼくはこの人のことを心底同情するよ」
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