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詩:高速道路で霊柩車を走らせる

気がつくと高速道路で霊柩車を走らせていた

つぎつぎと車を追い抜いていく

行先はわからない

本能のようなものが「もっと早く」と叫び それに従う


後ろから笑い声が聞こえる

バックミラーを見ても誰もいない

笑い声はより一層大きくなり、車体が揺れる

「おそらく」

男は思った

「おそらく遺体が笑っているのだ」


笑い声はどんどん大きくなり

手で耳をふさがなければいけないくらいになる

「うるさい」

笑い声は止まらない

「うるさい!」

後ろを振り返って叫んだ拍子に

頭にすごい衝撃を受けた


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目を開けるといつの間にかエレベーターのまえに立っていた

頭がひどく痛む

頭に手をやると、指が血で染まった

その手で「↑」のボタンを押す

エレベーターが到着し、乗り込む

上に行くはずのエレベーターは下降していく

途中で降りようと試みるがどのボタンも反応しない


エレベーターが止まったのは建物の最下層の階だった

エレベーターから降りると

床に倒れている女性がいた

彼女はプールからでてききたかのように

全身びしょ濡れになっており 床は水浸しになっていた

急いで駆け寄ると呼吸は安定していたが、呼びかけには反応しない


彼女を抱きかかえエレベーターが来るのを待った

ようやくエレベーターが開き 乗ろうとしたが

等身大の白い男の人形たちがエレベーターいっぱいに乗っており

入れる隙間がない

「大変なんだ。降りてくれ」

と叫ぶ

男の人形たちはいっせいに

「それはできません」

と答え、扉を閉める

扉が閉まるその瞬間 女性は水風船みたいに弾けた

男は真っ暗なその場所で立ち尽くした


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