櫻井ユウヤ(埼玉・昌平2年)
最新情報:昌平センバツ赤濃厚
埼玉準グランドスラムで臨んだ昌平が、早々と姿を消すことになった秋季県予選。
相手校はコロナ禍の4年前、全国が独自大会などを余儀なくされたなか、埼玉夏の決勝で辛酸を舐めた狭山ヶ丘だ。
優勝しても甲子園の舞台は用意されていない。それでも両校にとっては、初の埼玉チャンピオン。
そこから4年の時を超えても、勝利の女神は再び狭山ヶ丘に微笑んだ。
昌平が誇る関東トップクラスのスラッガーにして、無類の勝負強さも併せ持つ櫻井ユウヤは、最終回2アウト得点圏の場面で打席に入ったが、運命のいたずらなのかラストバッターに。
これで昌平は、よほどの他力本願が成就しない限り、翌春のセンバツ出場は絶望的となった。
早くも新チーム第1号アーチ
新チーム発足後、昌平の主将として本来の内野手から投打二刀流にバージョンアップした櫻井ユウヤ。
8月10日から埼玉の東西南北・4地区で新人戦がスタートし、昌平は春日部共栄とともに東部地区の優勝校に輝いた(決勝戦中止)。
同東部地区準決勝の久喜北陽戦(8/25)では、エースナンバーを背負う櫻井のバットからも一発が飛び出ている。
この新人戦での一発を含め、夏場にホームランの量産体制に入り、秋季大会までに高校通算34本塁打まで積み上げている。
夏の埼玉大会終了時点での高校通算ホームラン数は26本。そこからの僅か1ヶ月間で10本近く量産したことになる。
恐るべし和製アーロン・ジャッジ。
櫻井ユウヤ:プロフィール
櫻井ユウヤ:中学時代
中学通算30発
地元の黒磯北中学に進学後は、元プロ野球選手の泉正義が立ち上げた、日光ヤングスワローズで才能を開花させた櫻井ユウヤ。
チームはヤングリーグの主要大会で目立った成績こそ残せなかったが、櫻井自身は中学通算30本塁打以上をマークしている。
元プロの監督が認めた打撃センス
櫻井を指導した創設者であり監督も務めた元プロの泉は「過去一番の素材」と絶賛したほど。
監督の泉は宇都宮学園時代に「江川2世」と騒がれた最速150kmを誇る剛腕投手で、2002年に高卒ドラフト4位でヤクルトスワローズに入団。
プロ生活は肩の故障で3年と短命に終わったが、第二の道として選んだ中学生野球の指導者キャリアは10年以上の実績を有する。
そんな泉が惚れ込んだ櫻井は、恩師から直伝の握り方などを習得。泉は櫻井に自身の経験の全てを託すように授けた。
走り幅跳び6メートル弱のジャンプ力
黒磯北中学では3年生の時に那須地区の陸上大会、走り幅跳び部門で見事1位に輝いている。記録は5m96cm、とんでもない跳躍力だ。
櫻井の持ち味は何と言っても飛距離だが、やはり類稀かつ強靭なバネを抜きには語れない。
以下の動画で中学2年当時の櫻井の飛距離や泉監督とのやり取りなどが視聴できる。やや長いので要点もまとめてある。
中2で175cm89kg、MAX131km
ロングティーで余裕の柵越え連発
本人曰く「守備が一番得意」
好物は寿司
昌平進学の決め手は一本のYouTube
櫻井は、日刊スポーツ野球チャンネルの人気企画「高校球児の1日」での昌平高校特集が心に響き、入学を決断した旨を語っている。
昌平の野球部は自主性を重んじる自由な校風で、楽しく練習する部員たちの姿を見て、埼玉での寮生活を決めたという。
昌平の強さは近年、目覚ましいものがある。甲子園出場はないが、激戦区埼玉において3度の優勝(秋2回・春1回)を誇る紛れもない強豪校へとレベルをアップさせた。
2020年と2021年には夏の埼玉大会で2年連続準Vを果たし、2021年に昌平初のプロ野球選手として楽天ゴールデンイーグルスからドラフト1位指名を受けたのが吉野創士だ。
昌平が気になる、あるいは埼玉や関東の新鋭校を探しているという人なら、櫻井のソウルを揺さぶった以下の動画も是非フルチェックしてくれ。
アーロン・ジャッジばりのフルスイング
日光ヤング時代の動画でも分かる通り、櫻井ユウヤはフルスイングが一番の魅力だ。
以下の動画は最近(2年春埼玉大会)のバッティングで、そのスタイルにはニューヨークヤンキースのアーロン・ジャッジを彷彿とさせるものがある。
メジャー歴代屈指のホームランキング「アーロン・ジャッジ」
昌平では1年春からスタメン出場
デビュー戦で猛打賞
意中の昌平の門を叩き、入学直後の春季埼玉大会3回戦で早くもスタメンデビューを果たした櫻井ユウヤ。
結果は公式戦初打席初ヒットを皮切りに3安打の猛打賞と、順風満帆な高校野球生活のスタートを切った。
背番号23番のスーパー1年生に、当時の黒坂監督も「パワーが違います。バッティングはものが違う」と舌を巻いたほどだ。
昌平は即戦力となった櫻井の新加入もあり、春季埼玉大会を初制覇。
続く関東大会では初戦を快勝するも準々決勝で敗退した一方、櫻井は2試合ともスタメンで出場し両試合で安打を記録している。
1年真夏の大冒険
春に引き続き、夏も全試合でスタメン出場を果たした櫻井ユウヤ。
昌平は櫻井の2試合連続ホームランなどもあり5勝したが、準決勝で石塚裕惺らを擁する花咲徳栄に敗れた。
埼玉の夏は長丁場、ベスト16以降は険しい道のりしかない。
1年秋から4番サードに定着
心身ともに急成長の1年秋
櫻井の打撃が夏以上に磨きを増し、昌平は埼玉大会2位で関東大会の切符を掴んでいる。
詳細は後述の「櫻井ユウヤ:全データ」に記載してあるので、このまま読み進めてくれ。
そうしたなか特記すべき試合が、準決勝でぶつかり3点差をひっくり返した浦和学院との一戦だ。
櫻井は2打席目で自打球が顔面を直撃し、ホームベース上に倒れ込む。試合は10分ほど中断した末、治療を受けた櫻井が無事カムバック。
球場内の温かい拍手に包まれ打席に立つも、今度はデッドボールを受けてしまう。それでも何事もなかったかのように一塁へと小走りで向かった、ここからだ。
即座に盗塁を決めた櫻井の精神力と判断力が起点となり、後続のタイムリー2ベースでホームイン。この回は1点に終わるも、終盤のビッグイニングに繋がる流れを作った一幕だった。
ガッツ溢れる精神力
この試合とは別になるが、以下の動画ではリズミカルで軽快なグラブさばきを披露している。
自慢の守備
昌平2年は春からパワー全開
2024年春から低反発バットが新基準となった高校野球。冒頭でも記載した通り櫻井は、低反発だろうがお構いなし。
埼玉大会と関東大会で1本ずつスタンドに叩き込み、ホームラン量産体制に突入している。
新基準バットで11本塁打
2年生にして石塚超え
櫻井ユウヤは現在、高校通算26本塁打(2024年6月時点)。
ライバル校の花咲徳栄で主軸を担うプロ注目のドラフト上位候補、石塚裕惺の高校通算26発と同じペースで本塁打を量産している。
ちなみに昨年6月時点での2年生石塚裕惺は、高校通算20発に到達していない。
公式戦通算ホームラン数は石塚7本と、櫻井の5本を上回るが、まだ2年生。今夏の埼玉大会は熾烈なホームランダービーも見どころの1つだ。
石塚裕惺の高校通算本塁打数や2年時の成績などについては、こちらの記事で確認してくれ。
櫻井ユウヤ:全データ
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