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志望大学に受かったから後悔している

2019年1月のこと。

オレは電車に揺られながら
窓の外の景色を楽しんでいた。

でも、こんなことをしている場合ではなかった。


◇◇


高校3年生のときに圧倒的サボリをかまし
案の定、大学受験に大失敗。
浪人するハメとなってしまった。

正直コリゴリだった。

最後の合否通知浪人確定通知が来たとき
オレは絶望の淵に突き落とされた感覚に襲われた。

泣いた。自分が情けなすぎて泣いた。
さすがの怠け者のオレもこればかりは「ヤバイ」と。

これを機に改心し
4月から予備校に通って
再び志望校を目指す旅をスタートさせた。

毎日最低10時間の勉強。
電車の中でも単語帳を開き
休憩している間も英語の音声を聞き流していた。

こんな生活、二度と戻りたくない。
多分アタマがおかしくなっていたのだろう。

まぁ後がなかったからねぇ。
これでまた落ちたら…、考えたくもなかった。

このおかげか
8月の模試で総合偏差値は60中盤までいった。

志望校の判定もB判定。

でもどうやら気が緩んだらしい。
そこからだんだんとモチベーションが下がっていた。

なんとかしなければ…。
YouTubeに載っているモチベーション動画を見たり
ZARDの「負けないで」を聞いたりして自分を奮い立たせた。

たしかに一時的には上がったと思う。
それでも長期的に見ればやっぱり下がっていた。

モチベーションの低下が
成績にも反映されてしまったようだ。

志望校E判定お前がこの大学に行く資格はない

本番直前の模試で突きつけられた現実。
絶望なんてもんじゃない。

図書館で勉強スマホいじりをしていたオレは
すぐさまトイレに駆け込み誰にも知られずに涙を流した。

情けなかった。
また同じ轍を踏む気なのだろうか…。

やらなければならないことはわかっている。

でも、そんな状況下にもかかわらず
オレは自分自身を奮い立たせることが、できなかった。

ついに人生2度目のセンター試験を迎えた。
浪人としては初めての本番だったのでかなり緊張していたのを覚えている。

でも「どうにでもなれ」と思っていた自分もいた。
早くこの地獄が終わらないだろうかと思っていた。

センター試験が終わり、自己採点をした。
過去最高得点だった。

果たしてこれは運が良かったのか悪かったのか。
今思えば悪かったのだろう。

完全に吹っ切れてしまった。
とりあえず張っていた緊張の糸が緩んだ。

翌日から、勉強する気が全く起きなくなってしまった。
とりあえず予備校に行くふりはした。

もちろん行かない。
とりあえず行く当てもなく電車に揺られていた。

ときには熱海に行ったり。
ときには福島に行ったり。

もうとにかくどこかへ旅行がしたかった。
我慢していたものがこのとき溢れ出てしまったのだろう。

本当に両親には申し訳なかった。
こんなに親不孝の息子を見たらなんと思うだろうか…。

そんな罪悪感もありながら
結局のところモチベーションは上がらない。

そうして、志望校の入試本番を迎えた。
全く緊張していなかった。

もう正直落ちてもしょうがねぇや。
そんなことも考えていたと思う。

さほど手ごたえを覚えないまま
入試が終わった。

数日後、合格発表の日がやってきた。

少し緊張しながらも
どうせ落ちているだろうと思いながら
合否のページをスマホで見た。

目に飛び込んできたのは、オレの受験番号。

受かっていた。
いや、「受かってしまった」という言葉の方が
正しいかもしれない。

母親は泣いて喜んでいた。
親父も、まるで自分のことのように嬉しがっていた。

オレは正直、心の底から喜べなかった。
確かに合格したのは嬉しかった。

でも…。


◇◇


全国の受験生、聞いてほしいことがある。


受験はとにかく辛い。

だからモチベーションが落ちることなんて
しょっちゅうある。

数日くらいは息抜きしてもいいぞ。
君たちは十分に頑張っているから。

でもな、出し惜しみだけはしないでくれ。
オレは本当に後悔している。

せっかく第一志望校に受かったのに
心の底から喜ぶことができなかったから。

どうか最後までやりきってほしい。

それでもし落ちてしまったとしても
悔しくはあっても、絶対に後悔はしないはずだから。

不完全燃焼で終わってしまったときの気持ち悪さは
きっと一生残ると思うんだ。

自分のペースでいいよ。
ちょっとでもいいからやっていこう。



君たちの健闘を祈っています。


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