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#6 左ききの野良犬と逆さまの虹
〈持病〉
あなたの風邪はどこから?
そう綾瀬はるかに聞かれたら、きっとヘラヘラしながら「あっ、あの、僕身体強いんで、その、風邪とかひかないんですよ」と答えるだろう。
通年うっすら疲れている自覚はある。野菜は食べないし、魚なんて月に一回食べれば良い方だ。セブンイレブンとローソンが僕の台所だと胸を張って言える。
こんな不摂生な生活でも風邪をひいたり体調を崩さないのは不思議だ。
では、溜まった疲
#5 左ききの野良犬と逆さまの虹
〈悪口〉
一年ほど前から年上のお姉さんとよく立ち話をするようになった。
絹豆腐みたいに白い肌と手入れの行き届いた髪。
いつ見ても素材と仕立ての良いシャツを着ていて、とても綺麗な人だと思った。
その人は少し不気味なくらい生活感を感じない人で、僕の直感が「独身だ!」と叫んだ。
となれば先ずは挨拶からはじめようじゃないか。
猫より猫背な背をピンと伸ばして、いつもの低い声をお母さんが電話をとる時み
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少しだけ暖かさを含んだ、だけどまだ冷たい風がカーテンを揺らし、オレンジの陽射しが並べられた机に反射している。
放課後の校庭から聞こえる野球部の声が、二人きりの教室に僅かに届く。
「現実もゲームの世界みたいだったらいいのにね。」
「どうして?」
「次のクラス替えでもし私と田中くんが別々のクラスになったらさ、コンティニューして同じクラスになるまで何回でもやり直せるのに。」
「吉田さん…」
「
#3 左ききの野良犬と逆さまの虹
〈丁度いい例えとは〉
会社の各階にある会議室では昼休憩の時間になると各階の女性陣が集まって昼飯を食べながら談笑する小さな女子会が開催される。
男たちの立ち入りは暗黙の了解的に禁止されているのだが、13時からの会議の準備があったので思いつく最大限優しいノックをしてドアを開けた(優しすぎてノックの音は聞こえていなかったのかもしれない)
自分たちだけの空間に異物が混入した瞬間は決まって場が静まるもの
#2 左ききの野良犬と逆さまの虹
〈ウルトラドラマチック〉
最近のドラマは矢印が何方向にも伸びている不倫や痴情のもつれといったドロドロ系、伏線を張り巡らしすぎて収拾のつかないサスペンス系といったヘビー級があまりにも多くて観ていて疲れる。
という話を聞いた。
作り込むのは大いに結構だが、日々仕事に追われている我々としてはもう少しライトなドラマをリラックスして観たい。
イケパラとかブザービートとか(今の若い子は知らないかも)ライトで
#1 左ききの野良犬と逆さまの虹
〈口癖〉
服を作っているからなのか、物事の判断基準が
格好良いか格好悪いかになってきている。
それは服やモノに限らず、景色や音楽、振る舞いや佇まい、文章や言葉にも当てはまり、それらが僕の格好良いの琴線に触れたとき、「かっけぇ」と口からこぼれる。
この世界には格好良いが溢れていて、僕の口からはたくさんの「かっけぇ」がこぼれてしまう。口癖とまでは言わないが、言っているのを聞いた人は多いと思う。
胸の高鳴りは聞こえない
胸の高鳴りには素直に従いたい。
だけどそれは大人になるにつれ難しくなる。
後のことを考えてみたり、楽な方を選んでみたり、慣れや計算が絡んでは、その高鳴りを深く鎮めるのだ。
「台所でスパゲッティをゆでているときに、電話がかかってきた」
ねじまき鳥クロニクルの始まりの一文を読んだ時はページを捲る手が止まらなかった。
初めてバスケットボールを持った時は辺りが真っ暗になるまでリングにボールを放った。
怪物のコーデュロイセットアップ
「今回のターゲットは橙広告だ。内容次第では多少色もつけよう。U、頼んだぞ。」
「えぇ、分かったわ、ボス。私、失敗しないので。」
———・・・
大手広告代理店。
テレビCM、広告、近年ではウェブCMなど企業(クライアント)の広告活動を請け負う会社だ。
大手企業の広告活動を請け負う、それ即ちメディアを牛耳ると同意義である。
スポンサーが無ければテレビは作れない。
ウェブCMが無ければYouTu