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#本

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気になった本をただただ読む。そのまとめ。
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2021年7月の記事一覧

ストーリーとか人生は脈絡が無いからこそ面白いんじゃないの? 「竜とそばかすの姫」/細田守

ストーリーとか人生は脈絡が無いからこそ面白いんじゃないの? 「竜とそばかすの姫」/細田守

「竜とそばかすの姫」の文庫版を読了しました。

基本的に映画のストーリーラインとほとんど同じで、登場人物の背景や設定、心象描写などが詳しく書かれている感じです。

「映画」⇒「文庫本」⇒「映画」の流れで見てみると、また違った印象を得ることが出来そうです。

ふわっとしたストーリーライン「ふわっ、としたストーリー」と映画でも、文庫版でもそのように思いました。設定やその整合性、緻密性に関しては、「粗」

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《多様性》と《主観》のはざまで 「生命科学的思考」/高橋祥子

《多様性》と《主観》のはざまで 「生命科学的思考」/高橋祥子

会社に属している身の私ですが、「会社」へ自発的に属していたいとは1ミリも思ったことがありません。言ってしまえば、《報酬を得る》それだけのために仕方なく属している、ただそれだけが理由です。

そうは言いつつも、《報酬を得る》ためには、様々な種類の「課題」に取り組む必要があります。例えば、【現場レベルで展開すべき課題】【支店・支部レベルで展開すべき課題】【本社レベルで展開すべき課題】…と、多様ですね。

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五線譜で縛られたハーモニーに私自身を見た 「ハーモニー」/伊藤計劃

五線譜で縛られたハーモニーに私自身を見た 「ハーモニー」/伊藤計劃

ユートピアの臨界点を描き出した、国産SF小説「ハーモニー」を読了しました。(少しだけネタバレあります。)

あらすじ:21世紀後半、〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ駆逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する”ユートピア”。そんな社会に潜んだ3人の少女は餓死することを選択した。-それから13年。死ねな

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壁にひそむ神様を見つける 「進撃の巨人」/諌山創

壁にひそむ神様を見つける 「進撃の巨人」/諌山創

「進撃の巨人」に存在する《壁》こそ、壁内人類を物理的に守り、自己を開花させるような《神様》みたいなものなのだと思う。

そのように思う考え方、つまり《思想》とは何なのだろう、と考えてみる。

このような説明は、思想をすべからく説明し得ないものだ。ある個人Aが、ある特定の思想Bを持ち合わせていたとしても、その思想Bを持つ集団が、特定の性質を共有しているとはかぎらない。個人Aが思想Bに還元できても、思

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