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【書評】「SM初心者」におくる、今すぐ読みたくなるオススメSM本10冊

【書評】「SM初心者」におくる、今すぐ読みたくなるオススメSM本10冊

SMという性癖はたびたび作品の主題となることが多い。文学、写真、音楽、映画……。もちろん、官能に振り切った作品はもちろんたくさんあるのだけれど、そうではなく、歴史の重みであったり、芸術性であったり、文学性を感じられる作品もたくさんあります。
 
今回は数多あるSMを扱った作品の中でも、SMについて誠実に描写している作品について紹介していきます。
 
他ではなかなか取り上げられることが少ない作品も挙

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【書評】『墨谷渉』――芥川賞に最も近づいたM男

【書評】『墨谷渉』――芥川賞に最も近づいたM男

SMを題材にして描かれた文学作品で芥川賞候補作まで上り詰めた作家『墨谷渉』。

2007年に『パワー系181』で第31回すばる文学賞受賞して華々しくデビュー。2009年に『潰玉』で第140回芥川賞候補となりました。しかも、どちらの作品も痛みと傷を求めるどろっどろのハードなマゾヒズムが題材なのです。

『博士の愛した数式』で知られているあの小川洋子氏は「解釈ではなく、観察された暴力にこそ快楽は宿る。

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『T子の一発旅行』穀子【感想】

『T子の一発旅行』穀子【感想】

友人とインスタでぺちゃくちゃ喋ってた時に「出会いがないよ~ぴえんぴえん😭」って嘆いてたら

と返ってきました。

ふむ。

Tinderか……

それにしてもここ数年でマッチングアプリが一般に広く浸透してきました。noteでもマッチングアプリをテーマに記事を投稿している方を以前よりもたくさん見かけるようになった気がします。

そういえば少し昔、こんな本が話題になりました。

仕事も、そして私生活

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【書評】純猥談 佐伯ポインティ

【書評】純猥談 佐伯ポインティ

人よりも性に対して興味関心のある人(有りていに言えば裏垢を持って活動してるひとたち、そう、あなた達のことですよ😏)以外にも広く知られている佐伯ポインティ。

色っぽい遊びをまったくしてなさそうな人からも「ポって知ってる?」という話題に出て、その人気の高さを実感しました。彼がやっている「猥談バー」のことは以前からバズっていましたが、とくにこの流行病をきっかけに始めたショート動画が多くの人に知られる

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【書評】BL/GLの本懐『割り切った関係ですから。』

【書評】BL/GLの本懐『割り切った関係ですから。』

あなたを、あなたとして愛したい。

百合とかBLの面白いところの本質は「男と女」というラベルを取っ払うことで、愛の本質に到達することができるところにあると思っている。

男女の関係には「男はこうあるべき」とか「女はかくあるべき」とかそういった“決まりごと”が多すぎて、その“決まりごと”を指でなぞっているだけにしか見えない時が、稀によくあったりする。

でも、百合とかBLは違う。

“決まりごと”を

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【書評】李琴峰既刊本5冊+α一挙レビュー

【書評】李琴峰既刊本5冊+α一挙レビュー

今年もっとも読んだ作家が李琴峰。

もともと大の百合好きということもあって手に取ってみたのだけれど、甘々で切なく胸キュンな百合シーンと、人種や国家やセクシャリティといった重いテーマがマッシュされていて、それでいて、「良い話を読んだな」っていう満足感もあって、大好きな作家の1人になりました。

既刊本全5冊のレビューと+αの書評を書いてみるね。

『独り舞』(2018年、講談社)

都内の企業で働く

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